子育てママにインタビュー!子どもの興味や個性を活かす「我が家流」の教育費の使い方
子どもの将来の幸せを願うのは誰しも同じ。けれどもその「幸せ」の尺度は各々の家庭によって違うもの。何にお金をかけるかで、家庭の教育ポリシーが浮かび上がってきます。あなたの家庭ではどんな教育ポリシーを持って、どんなことにお金をかけていますか?
今回は幼児から中学生の子どもを持つ4人の母親にインタビュー。各家庭の教育ポリシーと、年間で何にどれくらいの費用をかけているのか聞いてみました。
中学受験を通して考える力をつけ、好きなことができる6年間を与えたい
●Yさん 長女(中1)
●中学受験:経験済
●教育ポリシー:よく考え行動し、生きていける力をつけてほしい。多感な時期に好きなことができる6年間を過ごさせたい。
●そのポリシーのもと、かけた教育費(小6時点)
Yさんによると、某大手進学塾を利用し、中学受験をする場合のごく平均的な出費だそうです。
月謝(週3日) 年間48万8400円(4万700円×12カ月)
春期講習(8日間) 5万円
夏期講習(24日間) 15万円
冬期講習(8日間) 6万2000円
夏期合宿(4泊5日) 8万2000円
全国統一テスト受験料など 5000円くらい
志望校対策コース 15万円~20万円(1万5000~2万×10カ月くらい)
正月特訓(5日間) 5万5000円
年間合計 104万2400円。
中学受験をする場合は、この他土曜講座とテスト 17万円(1年を通して)を受講する子や塾の勉強に追いつくための塾に通う子どもも多いそうです。
Yさんは、「募集を減らしている私立高校が多い現状では、公立中学から受験する際の選択肢が狭まってしまうのではないか。また、私立のほうが『建学の精神』に沿った特色ある教育が受けられるのではないか」という思いから、のべ20以上の学校を見学に行き、夫婦、親子でよく話し合い中学受験を決め、小4の夏休みより受験態勢を整えました。「公立校を否定するつもりはありませんが、夫婦親子でよく話し合いながら進路を決めていったことは良い経験になりました」。
進学塾より家族旅行。押しつけの勉強より自主的な「学びたい意欲」を伸ばしたい
●Cさん アメリカ人。日本人の夫との間に長男(小5)、長女(小2)。
●中学受験:しない予定
●教育ポリシー:国際ビジョンをもち、どこでも通用するような人材。異文化を受け入れられるような柔軟な思考をもつ人材に育てたい
●そのポリシーのもと、長男にかけた教育費(小5時点)
夏休みにインターナショナルのサマースクール 2週間で約10万円(毎年参加)
海外と国内に1回ずつの家族旅行 海外30万円・国内20万円(毎年実行※費用は家族分)
普段は、テレビや書籍を使って異文化を解説
年間合計 約60万円
Cさんは、「小さな時こそ、勉強だけにしばられることなくいろいろなことを体験させたい。本格的な受験は高校からでもいいのではないか」と考え、塾に通わせることはせず、家族旅行に時間やお金を使っています。「家族旅行をすると、共通話題について家族内で意見を交換したり、誤った先入観や認識を修正したりできます。また外国であればグローバルな視点を育てることができるし、家族の絆も深められ、ストレス発散もできます。まさに一石三鳥ですね」
国際的な視野をもつ子に育ってほしいと思うと、「では英会話を」となりがちですが、Cさんは、子どもに英会話を習わせてはいません。海外に行って子ども自身が「日本語しかしゃべれないと、コミュニケーションをとることもできず、おもしろくない。多国語を話すことができれば、もっともっと楽しめる」ということを肌で感じれば、自ずと英語に興味が向くようになるだろうと考えているからだそうです。
学ばせたいことは自分が主催。浮いたお金は海外旅行のための貯金に回す
●Rさん 長女(4歳) 次女(3歳) 長男(2歳)
●小学受験・中学受験:する気はない
●教育ポリシー:子ども自身の自主性を重んじ、子どもを信じ、能力の開花を待つ。
●そのポリシーのもと、かけている教育費(2016年時点)
年間合計 0円 なるべく海外旅行のために貯金をしておきたい
まだ子どもも小さいので教育費が0円と聞いてもそれほど違和感はないかもしれませんが、Rさんは「将来的にも小学・中学受験や塾などにお金をかける予定はない」と言い切ります。
Rさんはフィンランド人である夫の影響を受け、フィンランドの教育に非常に感銘を受けてきました。フィンランドで大切なことは「個の尊重」です。
アーティストであるRさんは、手作りワークショップや音楽家や外国人を呼んで子どもと楽しめるイベントを開催したり、家で子どもといっしょに絵を描いたり工作をしたりして楽しんでいます。
多様な経験を通じて、子どもたちが自分の興味のある分野を見つけ、親が一人ひとりの子どもの気持ちを尊重することができれば、子どもたちは自ら進む道を選び取って能力は開花するはずだとRさんは考えています。
自身がワークショップを開催すれば、多くの人とつながることができ、人に喜ばれ、自分の子どもも楽しむことができ、しかもお金もかかりません。
「なるべく教育費にお金はかけず、その分は海外旅行のために貯金をしています。ひとつでも多くの国を訪れて、友達を作って欲しいと考えているからです」
親子で山登り。心身を鍛え、何があっても乗り越えられる土台を作りたい
●Kさん 長女(小1) 長男(2歳)
●中学受験:身近に中高一貫の都立校があるため、するかもしれない。なるべくお金をかけずにすむ方法を模索したい。
●教育ポリシー:小さいうちは自然と対峙しながら心身を鍛える環境におきたい。
●そのポリシーのもと、長女にかけている教育費
親子山学校 0円(通常月謝4000円だが、Kさんは年間リーダーをしているため無料)
田んぼの学校 年間1万5000円
原っぱ大学 年間10万円
森林塾かずさの森 年間4万5000円(1万5000円×年3回※費用は親子の分)
登山用ウエアなど 10万円
くもん 年間 15万5520円(1万2960円×12カ月)
水泳 年間 9万9792円(8316円×12カ月)
年間合計 51万5312円
Kさんは「中学校受験を視野に入れつつも、なるべく進学塾は行かせたくない」と考えています。現在子どものために使うお金は、もっぱら自分自身の趣味でもある山登りやアウトドアです。子どもと一緒に登山をしているので、上記に入っていない項目でも交通費などを入れればかなりの金額となります。
では山登りは、子どもにとってどのようなメリットがあるのでしょうか。Kさんによれば、心身ともに鍛えられるといいます。
「精神的には、諦めない気持ち(諦めるわけにはいかない状況)、自己責任(誰のせいでもない世界)、継続力が少しずつ鍛えられます。身体的には歩く力、バランス感覚が養われていきます。親子山学校での親子・チームでの真剣な山登りでは、人を思いやる気持ちやリーダーシップも得て欲しいなと思っています。もう一つ、保育園でもない家庭でもない、第三の場所があることもメリットのひとつですね」。
Kさんは、登山の他にも子どもと一緒に「田んぼの学校」(田んぼや水路、ため池、里山などを遊びや学びの場として環境教育をしている)、原っぱ大学(親子のための遊びの学校)森林塾かずさの森(自然塾と半自給生活体験)などに参加しており、多くの自然体験を通して得られるメリットは計り知れないと感じています。
いかがでしたでしょうか。それぞれの家庭が「教育費」と考えるお金でも、随分と使い道は違うものですね。
人から見れば「どうしてそんなことにお金を使うの?」と思うようなこともあるかもしれません。けれどもそれが「我が家流」ということ。
まわりの情報に振り回されて本来自分が信じることから外れた使い方をしていたら、お金は活きてはこないでしょう。
「我が家流」ってなんだろう?と夫婦、家族でよく話し合い、活きたお金の使い方をしたいものですね。
取材・文:ライター 宗像陽子
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