FPが指南!結婚後のお金のハナシ Vol.3 子ども一人にいくらかかる? 教育費に備えたマネープラン
子ども一人にいくらかかる? 教育費に備えたマネープラン
子どもをひとり育てるのに1,000万円。教育費にも1,000万円。合計2,000万円かかるとよく耳にします。その金額だけを見るとびっくりしてしまいますが、実際のところはどうなのでしょうか。
もしそれが事実であるなら、子ども2人なら、4,000万。一般家庭には途方もない金額です。そこで、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに、子どもにかかるコストをどうやって準備すべきなのか、アドバイスをもらいました。
オール公立で約700万、オール私立なら約2,000万円
子どもにかかるコストは1人当たり2,000万円とは言いつつも、「意識すべきなのは、教育費です」と風呂内さん。「日常の養育費は日々の生活の中でかかってくるものですから、事前に準備しておくというよりも、その都度家計の中でやりくりしている家庭がほとんどです。気づけば“それだけかかっていた”という感じですから、収支がマイナスにさえなっていなければ、それほど気にする必要はありません」
そうなると、問題は教育費の1,000万円ですが、本当にそれだけのお金がかかるのでしょうか。まずはその実態を見てみましょう。
※小学校から高校までは学校給食費や学校外費も含む。
※参考データ
文部科学省平成26年度「子供の学習費調査」
文部科学省平成22年度国立大学の授業料、入学料及び検定料の調査結果について
文部科学省平成26年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人あたり)の調査結果について
この表は、文部科学省の「子どもの学習費調査」(平成26年度)などをもとに、風呂内さんが作成したものです。これを見ると、小学校から大学までずっと公立で過ごすと約700万円かかることになります。そして、中学から私立に通わせた場合は、約1,300万円、小学校からずっと私立だった場合は、なんと約2,000万円もかかる計算に。さらにこの表を応用すれば、小学校~高校まで公立で大学だけ私立というパターンなら、約900万円(文理平均)、小学校・中学は公立で高校・大学が私立であるなら、約1,080万円かかると考えられます。
つまり、“教育費1,000万円”というのは決して大げさな数字ではないことがわかります。しかもこれは、子ども1人あたりの額。1人増えるごとに、2倍、3倍……とかかってくることに。しかし、「だからといって、その金額を貯金しておかなくてはならない、ということではありません」と風呂内さんは言います。
準備しておくのは、「大学費用」だけでOK
「この金額は、あくまでトータルでかかる金額です。たとえば、小学校は6年間を通じての費用ですから、1年あたりで考えると、公立なら約30万円。月で換算すれば約2万6,000円と、日々のやりくりで充分まかなえる金額です」と風呂内さん。
むしろ、日々のやりくりでまかなえないなら、小学校から私立に入れるのはやめたほうがいいとのこと。できれば、中学校・高校も、やりくりできる範囲内で進学先を決めるのがいいようです。つまり、子どもの教育資金として準備しておくべきなのは、「大学費用」のみでOKなんだとか。
「国公立大学でも4年間で約250万円かかりますし、場合によっては下宿することになる可能性もあります。そうなると、さすがに月々のやりくりでは厳しいもの。ですから、まずは大学進学に向けて貯蓄を行うのがいいかと思います」
では、大学費用としてかかる250万~450万円をどのように貯めていけばいいのでしょうか。
児童手当を貯蓄すれば、約200万円貯まる
風呂内さんによると、もっとも効率的なのは、日本国内に住む0歳~中学校卒業までの児童に支給される「児童手当」をコツコツ貯蓄しておくことなのだそう。
「児童手当をすべて貯金していくと、200万近く貯まります。そうすると、国公立大学に進学すれば費用の多くが補填できますし、私立に行った場合も半分近くが準備できていることになります。ただし、児童手当の支給額には所得制限もありますので、高収入世帯はご注意ください」
また、教育資金として貯めていくと決めた場合は、「子供用の口座を作り、手をつけない」ことも大切です。
万が一に備えたいなら、「学資保険」も有効
児童手当を貯蓄するだけで学費の一部を備えられるのは、安心材料のひとつ。とはいえ、制度が変わらないとはいえませんし、それだけですべてがまかなえるわけではないのも事実です。そこで、児童手当とは別に学費を準備しておきたい人には「学資保険」に入ることも、選択肢のひとつに。
学資保険は、毎月一定の金額を保険料として積み立て、あらかじめ教育資金が必要になると設定した時期に給付金としてお金を受け取ることができる保険です。「そもそも保険で貯蓄をすることに対して賛否はありますが、強制的に積み立てができるという意味で、貯蓄が苦手な人には有効です。また、契約者が重度障害や死亡すると、その後の保険料が免除になりますので、特に専業主婦世帯などは安心かもしれませんね」
保険商品ですから、メリットがある一方で、当然デメリットもあります。
「学資保険も生命保険ですから、支払った保険料がすべて貯蓄に回るわけではありません。先ほど言った免除制度など“保障”を得るために、最初は元本が削られている状態ですから、中途解約をしてしまえば、損をします。また、契約時点の利率が満期まで固定されてしまいますので、その間に金利が上がった場合には不利になる可能性もあります。ですから、学資保険に入る場合には、そういったデメリットもふまえた上で、商品やプランを選ぶようにしましょう」
祖父母の援助を期待するなら……?
最近は、保険ではなく、親や祖父母が資産を運用して教育資金を準備する人も増えているそう。「0歳から19歳*の未成年を対象にした『ジュニアNISA』などもそうです。年間80万円以内の投資に対しては非課税であることに魅力を感じている人も多いようですね」。
*2023年1月1日より「19歳」と記載の箇所は「17歳」となります。
また、祖父母に教育資金を援助してもらうという意味では、平成25年にスタートした「教育資金の一括贈与」を利用するのも一案。「子どもや孫へ教育資金を贈与する場合、1,500万円までなら非課税になります。本来、孫が進学する都度、祖父母が学費を援助する分には贈与税はかかりませんが、こういう名目があると、援助のお願いを切り出しやすいと思いますよ」
「奨学金」を利用するなら、親子の話し合いが必須
もうひとつ、「どうしても大学に行きたいけれど、資金が用意できない」という人のために用意されているのが「奨学金」。ただし「安易に利用するのは避けましょう。利用する場合は十分慎重に検討しましょう」と風呂内さんは警告します。なぜなら、最近では、奨学金が返済できず自己破産する人も増えているなど、社会問題になっているからです。
「とはいえ、奨学金自体は一般的な借り入れに比べて金利も低く、優良な部類に入ります。問題は、“奨学金が借金である”ことを利用する時点で理解できていなかった学生がすごく多いこと。実際、借金だと理解している・していないで、滞納率が全然違うというデータもあるくらいです。ですから、奨学金を利用する場合は、まずは親子ともに、そこをしっかり理解しておくことが前提。その上で、借金をしてまで大学に行く必要があるのか、といったことを考えるべきです。また奨学金には、無利子で借りられる貸与型や、返済義務のない給付型もあります。これらは学力も重視されますので、そういったことも親子で話し合っておきたいものですね」
教育資金を準備する方法はさまざま。我が家の家計と相談しつつ、我が子が進みたい道を応援できる最適なマネープランを選びたいものですね。
取材協力:ファイナンシャルプランナー 風呂内亜矢
取材・文:ヨダヒロコ(六識)
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