教育資金

子どもが2人以上、小学生から始める教育費の貯め方


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    子どもが複数いる場合も、用意する教育資金は平等に

    子どもが2人、3人といる場合、中学・高校・大学と学齢が進むにつれて、それぞれの子どもが行きたい学校や選択コースは違ってくることがあります。ずっと公立か、途中から私立に進むのか、大学は文系か理系かといった違いでも、子どもにかかる教育費は1人ずつ異なることが多いものです。

    とはいえ、大学進学に向けて親が貯める教育資金は、「1人につきいくら」と目標額を決めて、なるべく同じ金額を準備できるようにしていきましょう。

    「うちは長男(長女)の中学受験でお金がかかったため、二男(二女)には公立にしてもらった」という話もあれば、「上の子の大学費用で貯蓄が底をつき、下の子どもの学費は奨学金で賄った」といった話もときどき聞きます。しかし、これはいいことではありません。きょうだいで差をつけられると、子どもの心に後々までわだかまりを残すこともあります。

    親としては、上の子どもの入園・入学などは初めてのことなので、ついついお金をかけてしまいがち。その分、2人目、3人目の子どもに影響が出ることも少なくありません。

    最終的に、子どもによってかかった費用に差が出てしまうのは仕方ありませんが、前もって準備する教育費は全員平等に、不公平のないように貯めることが大切です。

    一般的に、大学進学までに準備する教育資金は1人につき300万~500万円が理想的。子どもが2人以上いる場合は、1人につき300万円を目安にしましょう。2人なら合計600万円、3人なら900万円とかなりの額になりますが、子どもの年齢によって、必要となる時期や貯められる期間は異なるため、不可能な金額ではありません。

    現在の子どもの年齢をもとに、高校3年生までの具体的な貯め方を考えてみましょう。

    子ども2人が小学生でも、積立額を工夫すれば十分間に合う

    上の子ども(長男)は4月時点で小学5年生、下の子ども(二男)は小学2年生という3歳違いのご家庭の例で考えてみました。

    この場合、高校3年生までに長男は7年間、次男は10年間あります。目標額を1人300万円として、積立可能な期間で割ると、1年間に貯める金額は長男が約43万円、次男は30万円になります。しかし、中学3年まで月額1万円の児童手当が受給できる場合、その分を積立にまわせば、実際に家計から捻出する積立額は少なくて済みます。

    児童手当の分を除くと、長男は中学3年までは年間31万円が目標になるので、月々2万円で、ボーナスから年間7万円を積み立てればいいわけです。同様に二男は年間18万円を目標に、月々の積立額は1万5000円になります。このように考えて、毎年貯める金額を2人分合計して、家計にとって負担のない金額かどうかを考えてみましょう。

    中学卒業後は児童手当がなくなるため、それぞれ毎月の積立額を増やさなければなりません。それがいつになるか、どれくらい増やせるかが、ひとつのポイントです。

    子どもたちの高校卒業までの積立額を計算してみよう

    下の図表を見てください。

    長男は中学卒業後の高校1年と2年のときに児童手当の分だけ毎月1万円増やし、月々3万円ずつ貯めていけば、ボーナスは年間7万円と同じ金額で目標額に達します。

    二男も同様に、中学までは同じ積立額にして、高校入学後に毎月1万円増額し、2万5000円の積立にしてもいいのですが、そうすると長男の積立額を増やした6年目、7年目は、家計から捻出する金額が年間で61万円になり、少し重くなります。

    そこで、長男が高1・高2のときだけ、二男の積立額を減らし、2人分の合計額をそれまでと同じ月3万5000円に調整。その後、長男が高3になって目標額に達したら、その分を二男の積立にまわして月3万5000円を貯め、二男が高1・高2のときは月2万5000円に戻すのです。長男の積立がなくなったら、家計から捻出する分も減少しますから、大学の学費とは別に必要な、それぞれの受験費用などもやりくりしやすくなります。

    このように、子どもそれぞれの積立額と、合計で家計から捻出する分を1年ごとに書き出すと、将来、どの時期にどれくらい調整すればいいかがわかるため、目標達成までの積み立てプランも立てやすくなります。仮に長男が小学5年の7月から積立をスタートする場合は、高校3年の6月に目標額を達成することができ、余裕をもって受験にのぞめます。

    プランを立てたら積立先を決めて、数年ごとに見直しを

    前述のような考え方で、子ども1人ずつの積立額を決めたら、どんな預け先で貯めればいいかを検討しましょう。すでに子ども名義の銀行口座があれば、そこに積立預金をセットして貯めていくのもいいでしょう。児童手当は年に3回、4か月分ずつ振り込まれるので、入金されたらそれぞれの子ども名義の口座にそのつど移し替えるといいですね。そのほか、勤め先の財形貯蓄などを利用して貯める方法もあります。

    また、学資保険などに加入している場合や、今までにある程度の貯蓄が用意できている家庭は、これから積み立てるお金の一部はジュニアNISAを利用し、投資信託の積立にするという方法もあります。投資信託は価額が変動しますが、積立なら安いときは多く、高いときは少なく買うことで平均購入単価が低減し、運用効果を高めることも期待できます。

    子どもの教育費管理の口座を工夫してみる

    子ども2人の教育費をそれぞれ複数の口座で管理するのは大変と思ったら、夫婦で管理する口座を分けるのもひとつの方法です。たとえば、ジュニアNISAで積み立てる投資信託の選択や管理は夫が担当。妻は銀行などの口座で2人の子どもの児童手当と月々の積立を管理する、といった役割分担をするわけです。

    夫婦で貯まった金額や残高を定期的に確認し合えば、チェック機能も働き、積立を継続していくときのモチベーションも高まります。

    最初に積み立てプランを決めても、途中で収入や家計が大きく変動したら、夫婦でよく話し合い、状況に合わせて見直していくことも大切でしょう。

    「中学、高校に進むと塾代や部活費なども結構かかると聞いたので、わが家は小学校時代にボーナスから多めに貯めておき、中学に入ったら月々の積立だけにしました」という家庭もあります。逆に、妻がパートで働き出してから、毎月の積立額をアップしたケースも。

    子どもが小学生でも、まだまだ時間はあります。きょうだいの年齢差や家計の状況に合わせて、わが家なりのプランを立て、まずはスタートすることが肝心です。

    執筆:マネージャーナリスト 光田洋子

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