住宅ローン控除終了後の繰上げ返済のやり方をはじめ、保険の入り方、教育費や老後資金についての準備の仕方も教えてください
誰もがかかえる家計に関する悩み。悩みや疑問は人によりさまざまです。
「貯金ができない」「家計が赤字」「子どもの教育費や老後資金が心配」など、実際に寄せられたご相談に対し、家計の専門家であるファイナンシャル・プランナーが収入、支出、貯蓄額、家族構成などの状況を確認しながら具体的にアドバイスします!
住宅ローン控除終了後の繰上げ返済のやり方をはじめ、保険の入り方、教育費や老後資金についての準備の仕方も教えてください
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする「わが家の家計診断」。
今回の「わが家の家計診断」は3人のお子さんを育てつつ、数カ月前に仕事に復帰した主婦から、今のやりくりの仕方でいいのかどうか、というご相談です。ファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さんがアドバイスします!
住宅ローン控除の終了後に繰上げ返済をする予定です。時期や金額は問題ないですか?保険や教育費、老後資金についても不安です
子どもは9歳、5歳、1歳の3人で、私は3月まで専業主婦でしたが、4月から会社勤めを始めています。今後も、夫婦ともにフルタイムで勤務し、65歳まで働くことを希望しています。マイホームは約9年前に購入し、住宅ローン控除が終了するタイミングで、2024年の1月に800万円の繰上げ返済を予定しています。この時期や金額は妥当でしょうか?
保険については結婚当初からあまり加入せず、その分、現金でしっかり貯蓄しようと考えていましたが、子どもが3人になったので、もう少し加入したほうがいいだろうかと迷っています。子どもの教育については、高校までは公立で、その後は就職でも専門学校、大学でも、子どもが望むようにさせたいと思っていますが、進学費用についてはよく分からず、教育費の目標額なども考えていません。現在は夫婦でつみたてNISAをそれぞれ限度額まで積立てており、秋からは夫名義でiDeCoへの加入も検討しています。
家計のやりくりも含め、この先、今のやり方でやっていけるのか不安なので、いろいろと教えていただければ助かります。
相談者プロフィール こたつ(仮名)さん
性別:女性
年齢:37歳
職業:会社員
家族構成:
夫(40歳・会社員)
子ども3人(9歳、5歳、1歳)

こたつさんの家計内訳



住宅ローンの繰上げ返済はよいですが、保険は万一に備えて増額を。教育費や老後資金は口座を分けて管理し、計画的に貯めましょう

答えてくれたのは…
ファイナンシャル・プランナー
井戸美枝さん
ファイナンシャル・プランナーとして家計相談などを行なうほか、社会保険労務士として年金・保険・介護などの公的保障にも詳しく、マネーサイトや新聞・雑誌・本などの執筆、講演のほか、テレビ・ラジオなどにも出演し、活躍中。
アドバイス1: 住宅ローンは変動金利で現在は年1%未満のため、ローン控除の終了後に繰上げ返済をするのはいい考えです。金額も今の貯蓄から十分可能です
このご家庭の住宅ローンは、当初の借入額が2,500万円で、金利タイプは変動で年0.825%とのことです。住宅ローン控除の制度は2022年の入居分からから若干変わりましたが、このご家庭は改正前のとおり、10年間にわたりローン残高の1%の税額控除を受けられるので、支払う利息より控除額のほうが大きい状態です。そのため、ローン控除の終了する2023年まで待って、2024年の年明けに繰上げ返済をするのはいい考えだと思います。
現在の住宅ローンの適用金利や、ローン契約者の所得税額などによっては、住宅ローン控除を受けている間でも早めに繰上げ返済をしたほうがいい場合もありますが、相談者のご家庭では、計画通りのプランでいいでしょう。金額も現在の貯蓄から出せる範囲の800万円で問題ないと思います。
2024年1月に800万円の繰上げ返済を期間短縮型で実行すると、このローンの場合、返済期間は11年3カ月ほど短くなり、ご主人は50代半ばくらいで住宅ローンを完済できます。利息の軽減効果は約136万円で、その分だけ返済総額を減らせることになるので、ぜひ実行してください。
アドバイス2: 幼い子どもが3人の家庭にしては、万一のときの保障が少ないことは確かです。共働きになったので、夫だけでなく妻も、掛け捨て保険で死亡保障を増やしましょう
現在加入中の保険は、夫婦ともに同じタイプの終身保険で、死亡時の保障は夫が280万円、妻は200万円。子どもの学資保険代わりに加入した保険もありますが、これを含めても現在の夫の死亡保障額は850万円です。こたつさんが心配しているように、子ども3人で末の子がまだ1歳ということを考えると、万一のときの経済的リスクは高いですね。
夫の身に万一のことが起こった際には、妻子は遺族年金を受取れ、住宅ローンで団信に加入していれば、ローンの返済もなくなります。しかし、末の子どもが幼いことを考えると、妻は会社勤めを続けても時短勤務などが必要になるかもしれず、ベビーシッターや家事手伝いのヘルパーさんに頼るようなケースも出てきます。子ども3人の将来の教育費を貯めるのも大変です。
そのため、掛け捨てで保険料が比較的安い収入保障保険で、死亡保障を補いましょう。
夫の死亡時に月額10万円程度が受取れる内容で、保険期間は末子の年齢から余裕を見て65歳までにしましょう。一方、妻の身に万一のことが起こった際には、夫は遺族年金を受取れないことがほとんどなので、夫一人で子育てをしながら、今と同様の生活を維持するのはやはり厳しくなります。妻も同じ収入保障保険で、月額5万円程度の保障を確保しておくと安心です。
今の終身保険はそのまま継続しても、収入保障保険はそれぞれ2,000~3,000円台で加入できる保険が複数あるので、月々の保険料はそれほど負担にはなりません。
医療保障については、会社員は勤務先の健康保険で傷病手当金などの保障もあるので不要と割り切るのもいいですが、病気やけがで入院したときの支出が心配なら、夫婦で入院日額5,000円程度の終身医療保険に加入するのも一つの方法です。保険料を終身払いにすれば、こちらも負担は少なく、将来見直したり、解約したりする判断もしやすくなります。
アドバイス3: 月々の生活費以外はすべてボーナスから支払い、その支出がやや多いようです。ボーナスからも貯蓄を増やし、教育費は口座を分けて管理しながら貯めましょう
こたつさんはこの春まで専業主婦だったので、一部の引き落としは別口座で行なうものの、収入・支出の大半は夫のメイン口座で管理し、月々の生活費以外の支出は、口座に残ったお金とボーナスから支払うというやり方にしています。結果として、毎月の貯蓄は多いですが、ボーナスからはほとんど貯蓄ができていませんでした。
これからは妻の給与やボーナスも考えて、生活費や特別支出の予算を決め、毎月の貯蓄額とボーナスからの貯蓄分も決めて、お金の流れと口座の使い方を見直したほうがいいでしょう。妻の小遣いも月々の予算に組入れることが大切ですし、ボーナスからも年間40万円くらいは貯蓄に回したいところ。そのためにもボーナスからの支出を整理し、家族のイベントやレジャー費の予算を多めにとったら、他の支出は減らすなどして見直しましょう。
子ども3人の教育費については口座を分けて、児童手当もそこに入れ、プラス月々5万円くらいを積立てていきましょう。教育費に関する支払いもその口座から出し、誰のどんな費用で引出したかを通帳にメモすれば、年間でかかる教育費も把握しやすくなります。
子どもの進学費用については分からないとのことですが、国公立大学や私立の文系学部でも4年間で400万円程度、私立の理系学部では4年間で600万円程度はかかります。専門学校の場合も専攻する分野や学科でかなり異なりますが、平均の年間費用は私立文系と同じくらいで、修学期間も2年から4年までさまざまあります。
夫の低解約返戻金型終身保険を学費に充てることもできますが、これ以外に子ども3人の合計で1,000万円くらいは準備しておくほうがいいでしょう。月々5万円の積立貯蓄を続ければ、第一子の学費はそれで賄え、その後も積立を続ければ、第二子以降は夫の保険と積立てた貯蓄で賄えると思います。最終的に余ったら、それを老後資金に回せます。
夫婦の老後資金は、現在のつみたてNISAをベースにして、これから始めるiDeCoも65歳まで続ければ、ひとまず安心です。妻も給与が増えたらiDeCoに加入して、夫婦で老後の年金を増やしましょう。それ以外は、他の予算との兼ね合いで、積立額を調整しながら貯蓄で貯めていけばいいと思います。老後資金は運用で増やす分と貯蓄で貯める分の併用で続けることが大切です。
子ども3人はまだ幼いので、今後も繰上げ返済や教育資金のほかに、車の買い替えや家のリフォームなど、まとまった資金が必要になることがあります。目的が決まった貯蓄は定期預金や積立預金にして、生活費の口座とは分けておけば、貯蓄の管理もしやすくなります。夫婦で話し合い、少しずつ実践してみてください。
相談者こたつさんより
家計診断をしていただきありがとうございました。
お金のことは周囲にも相談できず、特に教育費や老後資金については漠然とした不安を抱えておりました。
住宅ローンの繰上げ返済は時期・金額ともに可能とのことでしたので、安心して行ないたいと思います。また、アドバイスいただいた収入保障保険への加入と、口座を分けた貯蓄管理はすぐにでも実践してみようと思います。
家族が将来困ることがないように今一度気を引き締め、しっかりと家計管理をしていきたいと思いました。今回はこのような機会をいただき、ありがとうございました。
取材・執筆/光田洋子
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