子ども3人とも高校から私立の予定。これからもっと効果的に貯蓄する方法は?
誰もがかかえる家計に関する悩み。悩みや疑問は人によりさまざまです。
「貯金ができない」「家計が赤字」「子どもの教育費や老後資金が心配」など、実際に寄せられたご相談に対し、家計の専門家であるファイナンシャル・プランナーが収入、支出、貯蓄額、家族構成などの状況を確認しながら具体的にアドバイスします!
子ども3人とも高校から私立の予定。これからもっと効果的に貯蓄する方法は?
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする「わが家の家計診断」。
今回は高校1年生から小学1年生まで3人のお子さんがいるご家庭で、共働きの妻からの相談です。ファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さんがアドバイスします。
夫の転職などで、最近ようやく収入が安定。月5万~10万円を貯蓄に回せるようになったので、効果的な貯蓄方法を知りたいです。子ども3人は高校から私立の予定です。
数年前まで、夫の転勤や転職で、貯蓄をしても使うことが多く、お金が貯まらない日々でした。しかし、今回転職した会社では昇給もあり、収入面では安心できるようになりました。数か月前から銀行で月2万円を投資信託で積み立てるなど、毎月5万~10万円は貯蓄に回せるため、効果的に貯めるにはどうしたらいいのか、目的別に分けるとすれば、具体的にどうすればいいか、また保険は見直したほうがいいかを教えてください。
子どもは私立高校1年の長男、中学1年の二男、小学1年の三男の3人で、長男は国公立大学を志望しています。下2人は高校から私立で、大学も私立の可能性あり。三男は中学から私立を受験するかもしれません。これから子どもの塾代などもかかるので、毎月の貯蓄はこれ以上増やさずに、上手に貯める方法を知りたいです。
相談者プロフィール しばわん(仮名)さん
千葉県在住
性別:女性
年齢:37歳
職業:会社員
家族構成
夫(40歳、会社員)
子ども3人(高1・15歳、中1・13歳、小1・6歳)

しばわんさんの家計内訳


末子が大学卒業まで、子ども3人の教育費の負担がこれから15年も続きます。
まずはその費用をしっかり貯蓄。運用効率を高めるなら非課税制度の活用を

答えてくれたのは…
ファイナンシャル・プランナー
井戸美枝さん
ファイナンシャル・プランナーとして家計相談などを行なうほか、社会保険労務士として年金・保険・介護などの公的保障にも詳しく、マネーサイトや新聞・雑誌・本などの執筆、講演のほか、テレビ・ラジオなどにも出演し、活躍中。
アドバイス1: 家族5人で食費や雑費、レジャー費はやや多め。今後の塾代などを考えて生活費の予算や臨時支出は、これ以上増やさないことが重要です
高校生のお子さんを筆頭に、育ち盛りの男の子3人を抱えるこのご家庭では、レジャー費は家族で外食などを楽しむために使い、雑費も食費の不足分や、お子さんのこまごまとした支出に使うことが多いそうです。今後、お子さんの塾代などがもっとかかるようになったら、このあたりの支出を見直す予定とのこと。それをしっかり実行して、生活費の予算はこれ以上、膨らませないことが大切です。
たとえば、食費はネットスーパーで必要なものだけ計画的に購入するなどして、月10万円の予算で納め、雑費から補てんする習慣をやめるのも一つの方法です。
当面のあいだ現在の支出の範囲で抑えられれば、月10万円に加え、児童手当の分も貯蓄に回すことができるはずです。
また、これまでは保険を見直す余裕がなかったそうですが、今は夫の保障が少ないのではないかと気にしています。相談者(妻)が資格を持っているので、夫に何かあった場合、妻が働き方を変えれば十分な収入が見込めると考えて、今の保障にしていました。とすれば、このご家庭では夫よりも妻の死亡保障が問題でしょう。
共働きで妻も働き手として重要な場合、夫と同程度の死亡保障が必要です。妻に万一のことがあっても、夫が亡くなったときのように遺族厚生年金は受け取れないからです。そのため、妻の死亡保障を夫と同じ2000万円に増額しておくと安心です。
掛け金が増える分は、雑費の中から捻出できる程度ですし、場合によっては子ども3人の共済をやめて、その費用を妻の掛け金に回してもいいでしょう。
アドバイス2: 3年後、6年後、9年後には年間200万円以上の教育費がかかります。そのための資金の準備は、専用の口座に取り分けて貯めましょう
ご相談にあたり、今後の大きな支出予定について、「3年後、長男の大学入学と二男の私立高校入学で150万円?」と予想されていました。しかし、教育費としてかかるお金の見積もりは、やや甘いかもしれません。そこで、子ども3人の進学予定に合わせて、これから毎年どれくらいの教育費がかかりそうかを、各種調査の平均額で試算してみました。
長男は国立大学で、二男・三男は私立高校、私立大学文系に進む場合で考えた結果です。
(高校までは文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」、国立大学は平成29年度の授業料・入学料の標準額、私立大学は文部科学省「平成28年度入学者の初年度納付金の平均額の調査」より)
長男の大学入学と二男の高校入学が重なる3年後は、小学4年生になる三男の中学受験に備えた塾通いも始まります。3人分を合わせると、年間250万円以上になる見込み。
さらに、6年後は長男が大学4年で、二男の大学入学と三男の中学入学が重なるため、受験費用を合わせると、年間230万~250万円。9年後は二男が大学4年で、三男が高校入学となり、やはり230万円程度は必要です。
それ以外の年も、3年後からは毎年150万~200万円はかかりそうですが、もっとも大変な時期は3年後、6年後、9年後と3年ごとにやってきて、三男が大学を卒業する15年後まで、家計にとっては相当な負担が続きます。その費用をどうするかが問題です。
毎月の塾代などは家計の中からやりくりするとしても、まとまった金額で支払う大学の学費などは、貯蓄で準備することが欠かせません。
そこで、これから積み立てる貯蓄の約半分は、子ども3人の教育費として専用口座をつくり、その口座で貯めることをおすすめします。子ども1人ずつ、それぞれの名義に分けて口座をつくる方法もありますが、このご家庭では末子の年齢が離れているため、1つの口座で3人分の教育費をまとめて貯めてもいいでしょう。
たとえば、毎月貯蓄している10万円のうち5万円と、児童手当の分を教育費専用の口座に移して積み立てます。さらに、ボーナスからの貯蓄のうち約半分の70万円を教育費の口座に移せば、年間で130万円以上貯まります。10年続ければ累積で1300万円強です。これくらいあれば、3人の大学入学時や在学中にそのつど引き出しても、長男の国公立大学、二男・三男の私立大学文系の4年間の学費は賄えるでしょう。10年経過後も続ければ、3人のうち誰かの進学先が変わっても、資金面で対応しやすくなります。
毎月の貯蓄のうち、教育費以外の残りの5万円は月によって変動するとしても、生活費とは別の貯蓄口座で貯めましょう。家計の急変や家族旅行などの臨時の支出は、この予備の貯蓄から引き出すようにして、教育費の口座は学費以外には手を付けないことがポイントです。
アドバイス3: ボーナスからの貯蓄を利用して、つみたてNISAで老後資金も準備して。投資信託の積み立てをするなら、非課税枠を利用するのがもっとも効率的!
相談者は最近、銀行での貯蓄2万円を投資信託に回すようにしたそうですが、これは何か目的があってのことでしょうか。たとえば、将来の老後資金など長期的なプランで運用するつもりなら、投資信託の積み立てはたしかに適しています。しかし、それならば運用益などに税金がかからない現行の非課税制度を利用しないともったいないですね。
先ほどボーナスからの貯蓄150万円のうち、70万円を教育費の準備に回すよう提案しましたが、残りの約80万円を利用して、夫婦で「つみたてNISA」を始めてはいかがでしょう。
つみたてNISAの非課税枠は一人につき年間40万円。夫婦で同時に始めれば、それぞれ月3万3300円は積み立てられます。つみたてNISAで積み立てられる投資信託は、どれも運用中に引かれる信託報酬が低く、長期投資に適したものばかり。運用で得られる利益が最長20年間も非課税になるため、その分だけ通常の口座で積み立てるより効率的に資金を増やせます。
つみたてNISAを取り扱う金融機関で申し込み、毎月の積立額と商品を指定すれば、本人の銀行口座などから自動振り替えで積み立てられるものもあるので、手間もかかりません。ボーナスから夫婦それぞれ年間40万円を自分の口座に残しておけばいいのです。始めたばかりの月2万円の投資信託の積立は、場合によってはタイミングを見てやめてもいいでしょう。
目的別の貯蓄といっても、あまり細かく分けすぎると自由度がきかなくなり、長く続けるのは難しくなります。相談者のご家庭では、教育資金用、老後資金用、その他の貯蓄の3つだけで十分です。この3つを生活費用の口座とは分けて、夫婦で管理していきましょう。
相談者しばわんさんより
今回相談してみて、いちばん目からウロコだったのは妻の保険を見直すという点です。
もともと保険料はあまりかかってなかったので、さっそく見直していきたいと思います。
毎月の出費は、今後の貯蓄なども見据えてムダを省くよう努めたいと思います。収入が増えてから、これまで我慢してきたことを抑えきれていないところがあると自覚しました。
「仕事で忙しく時間がないから、夕ご飯は出来合いでいいか」とか、「毎日頑張っているから、ご褒美に外食を奮発しよう!」とか。何かと理由をつけて、お金をかけていたので。
これまでの我慢も、だいぶ解消しましたし、気を引き締めて取り組みたいと思います。
貯蓄の仕方は、もう少し目的を持つべきだったようなので、これからは口座や目的をはっきりさせて貯蓄していきます。全体的に収入が増えたことで、余計な緩みがあるようなので、気持ちを新たに頑張っていきたいと思います。
取材・執筆/光田洋子
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