どうつくる?4人の子どもの教育資金と2年後購入予定の住宅資金
誰もがかかえる家計に関する悩み。悩みや疑問は人によりさまざまです。
「貯金ができない」「家計が赤字」「子どもの教育費や老後資金が心配」など、実際に寄せられたご相談に対し、家計の専門家であるファイナンシャルプランナーが収入、支出、貯蓄額、家族構成などの状況を確認しながら具体的にアドバイスします!
どうつくる?4人の子どもの教育資金と2年後購入予定の住宅資金
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする「わが家の家計診断」。
今回は中学生を筆頭に4人のお子さんがいる家庭からの相談です。ファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さんがアドバイスします。
2年後に一戸建ての家を購入希望。子どもは4人いますが、教育資金と住宅資金をどうしたらいい?
現在、中学1年の長男は公立の中高一貫校に在学中で、下の子ども3人も公立の中高一貫校を受験させる予定。全員、高校までは公立で、大学もできれば国立か、私大の場合は自宅通学で考えており、教育資金のための保険にも加入済み。2年後に都内に一戸建ての家を購入希望。予算は5000万円くらい。この住宅資金と教育資金の確保が目下の課題です。そのために投資も考えていますが、夫婦ともにこれまで投資は未経験です。
相談者プロフィール ままふふ(仮名)さん
東京都在住
性別:女性
年齢:42歳
職業:パート勤務
家族構成
夫(43歳、会社員)
子ども4人
13歳(中1)、10歳(小4)、
8歳(小2)、5歳(保育園・年中)

ままふふさんの家計内訳


このままでは赤字に…貯蓄方法を見直しましょう

答えてくれたのは…
ファイナンシャル・プランナー
井戸美枝さん
ファイナンシャル・プランナーとして家計相談などを行うほか、社会保険労務士として年金・保険・介護などの公的保障にも詳しく、マネーサイトや新聞・雑誌・本などの執筆、講演のほか、テレビ・ラジオなどにも出演し、活躍中。
アドバイス1 家計にムダな支出はありませんが、毎月の貯蓄が児童手当の分だけでは不十分
奥さまのパート収入を含めて手取り月収は50万円以上ありますが、長男の学校関連費や末っ子の保育料もかかるため、お子さん4人の教育費は月10万円以上と多いですね。保険料も気になりますが、貯蓄を兼ねた保険が多いのが特徴。それ以外は特にムダ遣いも見当たらないため、現状の家計で支出を抑え、貯蓄を増やすのは難しいかもしれません。
今は、児童手当の分の月5万円を貯蓄していますが、2年後の住宅購入や将来のお子さんの教育費を考えると、けっして十分な金額とはいえません。現在の収支では毎月3万円程度の黒字があり、そのまま口座に残しているそうなので、これをまず積み立てなどにまわし、毎月8万円の貯蓄を確保していきましょう。
2年後には長男が高校に入るので、その分の児童手当は減額になります。その頃には第2子の受験などで教育費も膨らんでいきますが、できるだけ毎月の家計から8万円くらいの貯蓄を続けましょう。具体的な貯め方は後で説明します。
アドバイス2 子ども4人の大学資金は大半を保険で賄えますが、解約時期には注意して
ままふふさんのご家庭では、貯蓄を兼ねた保険にたくさん加入しています(上の図表参照)。
このうち、(1)~(6)の6本は加入から一定期間後に解約すると、払い戻し金が支払った保険料の総額を上回るため、貯蓄代わりに勧められることが多い保険です。
実際に5年ほど前に勧められて加入したものが多いようですが、上手に活用すれば、6本の合計で1500万円以上の資金を捻出できます。この分と(7)の学資保険を子ども4人の大学進学費用に充てれば、初年度納付金や在学中の学費の多くをカバーできそうです。不足する分として1人当たり100万~200万円を貯蓄で準備すればいいでしょう。
ただしこれらの保険は、保険料の払い込み期間中に解約すると、払い戻し金が通常の70%程度に抑えられるため、支払った保険料を下回る元本割れになることに注意が必要です。
今一度、それぞれの保険の保険証券や設計書を見て、払い戻し金が保険料の総額を上回る時期(通常は保険料の払込満了後)を確認し、それ以降に解約するようにしてください。前納済みの保険でも、解約時期によっては損をしてしまう場合がありますので、一定期間を経過しているか確認することが必要です。
また、ご主人が万一の際の生活保障になる収入保障保険は、60歳で終了します。ちょうど末の子が大学を卒業するころですが、それまでに(1)~(6)の保険をすべて解約してしまうと、60歳以降の死亡保障がゼロになるため、奥さまにとってやや不安が残ります。
将来の大学費用のかかり方によっては、6本のうち1本は死亡保障として長く残しておき、65歳以降に解約して、夫婦の老後資金に充てるのも一つの方法です。
アドバイス3 住宅購入時のローンは4000万円までに抑えるのがポイントです
2年後くらいに住宅を購入したいとの希望ですが、現在保有する1000万円の貯蓄から、頭金に充てられるのは財形貯蓄の500万円程度です。購入時には諸費用として200万~300万円かかりますし、手元の貯蓄も200万円程度は残しておくべきだからです。
頭金500万円で、住宅の購入額が5000万円だと住宅ローンは4500万円。念のため、購入額が4500万円で住宅ローンは4000万円のケースも加え、2つのケースで住宅ローンの毎月返済額を試算してみました(どちらも金利は固定で2%、元利均等返済、ボーナス払いなし)。
ご主人の年齢は2年後に45歳ですから、返済期間を25年にしたいところですが、そうすると4500万円のローンでは毎月の返済額が約19万円になってしまいます。30年返済でも16万6328円、35年返済では14万9068円になります。
一方、住宅ローンが4000万円の場合、毎月の返済額は30年返済で14万7847円、35年返済では13万2505円です。
現在の家賃12万8000円から考えても、住宅ローンは4000万円までに抑え、当初は返済期間を35年で組んで、様子を見ながら繰り上げ返済をしていくのが現実的でしょう。そのためにも、住宅の購入額は4500万円までに抑えることが重要です。
ご主人は財形貯蓄の積立終了後も500万円を同口座に保有しているため、ローンとして「財形持家融資」を利用することもできます。この融資は5年ごとに金利を見直す固定金利で、一般的な長期固定のローンより金利は低め。2年後の金利水準はわかりませんが、現在の財形持家融資の金利水準なら、30年返済でも当初の毎月返済額は現在の家賃並みになります。5年後の金利上昇が不安な場合は、半分を財形持家融資にして、残り半分を長期固定金利のフラット35にするという方法もあります。
アドバイス4 貯蓄は積立預金と「つみたてNISA」に分け、ボーナスからの貯蓄で繰り上げ返済を
最初に説明したように、毎月の貯蓄額を児童手当の5万円とは別に3万円増やしたら、5万円は現在の普通口座から自動的に積み立てられる「積立定期預金」に移しましょう。生活費と同じ口座に入れたままだと、確実に貯蓄として残せるとは限らないからです。
毎月5万円の積み立てを続ければ、10年で600万円。子ども1人当たり150万円の教育資金に充てられます。長男の大学入学は6年後ですが、最初は保険の払い戻し金から賄って、在学中の不足分などに少しずつ貯蓄を充てるようにするといいでしょう。下の子どもも同じように考えてください。
新たに増やす3万円の貯蓄は、年内は口座に残しておき、来年からは老後資金として「つみたてNISA」で投資信託の積み立てを始めましょう。ご夫婦ともに投資経験はないけれど、やってみたいという気持ちは強いようです。住宅資金のように、近いうちに確実に必要な資金には投資商品は向きませんが、老後資金のように長期的なプランで準備する資金には「積立」「分散」というポイントさえ押さえれば、投資のリスクを低減できます。
2018年から始まる「つみたてNISA」は年間40万円を限度に投資でき、運用益が最長20年にわたり非課税になるため、40代の家庭の老後資金づくりには最適の手段になります。まずは夫婦どちらかの名義で月3万円ずつ、バランス型の投資信託で積み立てましょう。収入が増えるなどして積立額を増やせるようになったら、もう一方の名義で新たに「つみたてNISA」の口座を開設し、夫婦で投資信託の積み立てをしていくといいでしょう。
加入中の個人年金保険と退職金に加え、「つみたてNISA」での運用成果も合わせれば、夫婦の老後資金もある程度の目処がつきます。
ボーナスからの貯蓄30万円は、繰り上げ返済の資金として定期預金などに入れて確保しておきます。5年後(住宅購入から3年後)に150万円になったら、1回目の繰り上げ返済で返済期間を短縮しましょう。同じように数年ごとに100万~200万円の繰り上げ返済を続ければ、ご主人の定年または再雇用後のリタイア時期までにローンを完済することも可能。
新居に引っ越して住宅ローンの返済が始まったら、家計の見直しが必要になりますが、できるだけ支出は抑えて、教育資金と老後資金の積み立ては続けるように工夫してください。
相談者ままふふさんより
教育・住宅・老後の資金を建設的にアドバイスいただき、ありがとうございました。
現状、家計的に無駄な出費がないことから、貯蓄を今より月3万円増やす方法に早急に対応したいです。また子ども達が私立高校へ進学する可能性が頭から抜けていましたので、やはり収入アップを目指し、教育資金を確保する必要があると思うと身が引き締まる思いです。
住宅の購入希望エリアは相場が5000万円以上。エリアは変えたくないため、今回のアドバイスで現状を目の当たりにし、購入時期等も見直す必要があると実感しました。
投資信託もこれから勉強し、ぜひ始めていきたいと思います。住宅購入・老後資金の確保とこれから十数年は家計が厳しい状況が続きますが、一方で家族との思い出づくりも大切にしていきたいと思います。
教育資金づくりのポイントは、早いスタート&長く貯め続けること
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