教育費の準備どうする?共働き、専業主婦、育休中3つのケーススタディ
誰もがかかえる家計に関する悩み。悩みや疑問は人によりさまざまです。
「貯金ができない」「家計が赤字」「子どもの教育費や老後資金が心配」など、実際に寄せられたご相談に対し、家計の専門家であるファイナンシャルプランナーが収入、支出、貯蓄額、家族構成などの状況を確認しながら具体的にアドバイスします!
教育費の準備どうする?共働き、専業主婦、育休中3つのケーススタディ
8月5日、6日に開催された『ママキッズフェスタ・住まいフェスタ in MAKUHARI』の大和証券のブースでは、SODATTEの「わが家の家計診断」で活躍中のファイナンシャル・プランナー 井戸美枝さんが、家計や子育てに関するお金のセミナーを実施。会場に訪れた皆さんの中から、特別にその場でリアルな家計診断を行ないました。今回はその一部をまとめて紹介します。
【相談1】公務員の共働き夫婦:毎月10万円の貯蓄でも、教育費は大丈夫?

この調子ならば教育費は大丈夫。新たな積立分は「つみたてNISA」で
ご夫婦ともに30代半ばで公務員の共働きというご家庭。奥さまは今、育休中のため、収入は通常より低いものの、世帯収入は高めで安定しています。
現在の貯蓄は毎月10万円で、ボーナスからも約半分は子ども名義の預金にしています。しかし、貯蓄はこの調子でいいのか、教育費として足りるのかが心配です。
井戸さんが月々の収支をチェックしたところ、家計をしっかり把握できていない部分もありました。「共働きで余裕があると、収支の把握もざっくりになりがち。まずは2人の収入から貯蓄に回す分とこづかいをそれぞれ取り分けたら、残りのお金は1つにまとめ、そこから生活費の予算を立てて使うようにしましょう」とアドバイス。
このご家庭の場合、月10万円の貯蓄をしていても、まだ3~4万円程度の黒字が出ることが判明。これをそのまま給与口座に残していると、いつのまにか使ってしまうことになります。黒字の分は、将来のためにしっかり積み立てることをお勧めします。
現在の貯蓄をそのまま続ければ、財形年金貯蓄以外はすべて教育資金に充てられます。大学進学までには10年以上の時間があるため、育休明けに増える収入も子ども名義の預金に移せば、2人の子どもの進学費用の目途はつきます。
そこで、新たに積み立てる分は夫婦の老後資金に向けて、2018年からスタートする「つみたてNISA」を利用し、安定運用が見込める投資信託の積立に回すといいでしょう。このご家庭の場合、月に約3万円、年間で40万円の投資枠を目一杯使い、20年間積み立てを続ければ、収益が非課税になる分、複利効果で有利に増やせます。
【相談2】専業主婦のご家庭:教育資金は贈与で準備、手元の資金を投資に回す方法は?

毎月の積立分は「NISA」で資産運用を
お子さんは1人で、「教育資金の一括贈与」の非課税制度を利用し、親御さんから1,000万円の贈与を受けているほか、学資保険もあるため、教育資金については心配ないという会社員のご主人です。
家計については、住まいのマンションにローン負担はなく、住居費は管理費・修繕積立金のみで固定支出が少ないため、生活費を引き出しても毎月10万円くらいは口座に残ります。そうして貯めた普通預金の貯蓄が1,200万円くらいあるため、ご主人はこれを投資に回したいと考え、どのような商品にどうやって投資したらいいかというご相談です。
これに対し、井戸さんは「待った!」を掛けました。親からの援助もある恵まれたご家庭とはいえ、これから先、何があるかはわかりません。いざという時のために、すぐに使える貯蓄を残しておくことは大切だからです。手元の貯蓄1,200万円は定期預金などに預け替え、これから貯められる月10万円を投資に回すことをお勧めしました。
理由は、これまで投資の経験がない初心者が、いきなり1,200万円という大金を使って投資をするのは、リスクが高くなるからです。一度にまとまった資金を投資するよりも、毎月少しずつ投資するほうが、投資先だけでなく、お金と時間も分散できて、投資のリスクを抑えられます。さらに、毎月10万円の投資なら、年間120万円の非課税枠がある従来型のNISAを利用することもできます。
例えば、月10万円をNISAで投資する場合、国内株式型、国内債券型、外国株式型、外国債券型の4種類の投資信託に2万5000円ずつ振り分けます。これで基本の国際分散投資が実現でき、毎月購入し続ければ、積立投資と同じ効果が期待できます。定期的に運用状況をチェックして、途中で購入する投資信託を変えることも可能。これをNISAの利用が可能な2023年まで続ければ、ある程度の投資体験を積むことができます。
その後は家計の状況を見ながら、積立投資を続けてもいいですし、運用成果によっては一部を払い戻して、預貯金などに移し替えるのもいいでしょう。
【相談3】育休中のご家庭:育休明けはどれくらい働けばいい?2人分の教育費は?

パート勤務増で貯蓄ペースをUP、子ども名義の口座で定期預金を
ご主人は会社員で、奥さまはパート勤務ですが、秋に第2子の出産を控えて育休中というご家庭です。現在は手取り収入が31万~33万円で、毎月の貯蓄は生活費の残り2万円程度。ただし、育休が明けて仕事に復帰すれば、世帯の手取り収入は月4万円くらいアップする予定。今後の教育資金の増やし方や家計の見直し方について相談されました。
井戸さんが拝見したところ、毎月の支出については大きな無駄はないようですが、保険の入り方について伺うと、ご主人、奥さまともに複数の保険に加入していて、保障のダブりもあるようです。これらの保険を見直せば、月1万円くらい保険料を節約できます。
奥さまは育休が明けたら、まずは今まで通りの働き方を続けましょう。現在の貯蓄2万円は保育料などでなくなりますが、収入が4万円増えたら、保険料の節約分と合わせて月5万円の貯蓄は可能になります。そのためにも、お子さんが2人になっても生活費を増やさないように工夫することが重要です。下の子が小学校に入学する頃になったら、パート勤務をもう少し増やして、貯蓄ペースを上げればいいでしょう。
貯蓄の方法については、第2子の出産後は児童手当が2人分で月2万5000円になるため、この分はそれぞれの子ども名義の定期預金などに移し、将来の教育費のベースにすることをお勧めします。生活費から貯める分も、10万円貯まったら、その都度2人の子どもの定期預金に5万円ずつ移し替えます。児童手当の分と合わせて1人につき300万~400万円を貯めるのが理想です。
また、生活費から貯めるお金のうち、月1万円は2018年1月から始まる「つみたてNISA」の積立に回すのもいいでしょう。マイホームは取得済みなので、次は教育資金と同時に、老後資金の準備も少しずつ始めておきたいからです。このご家庭でも、月1万円くらいなら無理なく続けることができるでしょう。
※相談者の個人情報を守るため、家計データなどは一部加工・修正しています。

答えてくれたのは…
ファイナンシャル・プランナー
井戸美枝さん
ファイナンシャル・プランナーとして家計相談などを行うほか、社会保険労務士として年金・保険・介護などの公的保障にも詳しく、マネーサイトや新聞・雑誌・本などの執筆、講演のほか、テレビ・ラジオなどにも出演し、活躍中。
取材・執筆/光田洋子
教育資金づくりのポイントは、早いスタート&長く貯め続けること
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