プログラミング教室に通わせる親が急増!子どもの習い事の最新事情をくわしく紹介
小学校では2020年度から、中学校では2021年度から必修化された“プログラミング”。その影響もあり、近年習い事としての人気も急上昇中です。そこで今回は、子ども向けプログラミング教室LITALICOワンダーを運営する株式会社LITALICO・毛利優介さんにお話を伺い、習い事の観点から見るプログラミング教育の最新事情を教えていただきました。
目次
プログラミング教室にはどんな子どもが通っているの?
2010年代前半から日本でも徐々に重要性が注目されてきたICT教育。なかでも、政府が義務教育でのプログラミングを必修化すると発表した2016年からは、子ども向けプログラミング教育市場も急拡大しています。
習い事としての人気が高まる中で、教室に足を運ぶ親や子どもたちにも変化があったと、毛利さんは話します。
毛利さん:初めは“情報感度の高い親御さんが、お子さんに勧めて通い始める”というパターンが多かったです。このとき世間的には、先進的な習い事として捉えられていたように思います。それが今は、そろばんやピアノ・水泳などと同じように、どんなお子さんも、当たり前に選べる習い事の一つとして定着してきていると感じますね。
さらに、ここ数年はおうち時間が増えたことで、教室に通い始めるきっかけも多様化してきているようです。
毛利さん:自宅でゲームをしたり、動画を観たりする時間が増えたことで、「せっかくPCやゲーム機に向かうのなら、遊ぶだけではなく学びに活かしてほしい」というお考えでいらっしゃる方が増えてきたように思います。
また、親御さんの勧めではなく、お子さん自らの希望で「ロボットをつくってみたい」「将来ゲームクリエイターになりたいから通いたい」「YouTuberの動画を見て、テクノロジーを使ったものづくりをしてみたくなった」などの理由から始めるケースも増えてきている印象です。
プログラミングにあまり親しみがない親世代からすると、難しそうなイメージを持ちがちですが、実際に通っているのは、どのような子どもが多いのでしょうか。毛利さんによると、特にPCが好きな子が多いというわけでもなく、スキルレベルも興味もさまざまな子どもたちが通っているのだそう。
毛利さん:教室によって違いがあると思いますが、私たちの運営するLITALICOワンダーの場合は、機械を触るのが大好きで、家のPCを使いこなしているようなお子さんもいれば、PCを全く触ったことがなかったというお子さんもいらっしゃいます。子どもは吸収が早いですから、初めはPCを使えなくても、あっという間に習得していますね。年齢も、年長~高校生までとさまざま。通い始めるのが多い年齢は年長~小学校低学年ですが、年齢や興味に沿った学習ができるため、始める年齢に早い・遅いということは全くないと考えています。
何をどう学ぶの?授業中の雰囲気は?プログラミング教室の実態とは
プログラミング教室に通う子どもたちについて知れたところで、実際にプログラミング教室ではどのような授業が行なわれているのか、また、子どもたちはどんな様子で取組んでいるのか伺いました。
<プログラミング教室で行なうことの例>
- PCの使い方の初歩的なスキルの習得
- プログラミングソフトや簡単なコードを使ったゲームの制作
- 音や動きに反応するセンサーやモーターを組合わせたロボットの制作
- HTMLやCSSの記述を使ったアプリケーションの制作
毛利さん:「プログラミング」と一口に言ってもできることは幅広いため、教室によってもかなり違いがあります。LITALICOワンダーでは、お子さんの興味に合わせて好きなコースを選んで通うことができます。大きく分けると、ゲームをつくるコースと、ロボットをつくるコースです。
取材時、教室の様子を見せてもらうと、学校の教室のように黒板に向かって並ぶようなつくりではなく、決まった席のない開放的な空間で、子どもたちがそれぞれ自由に活動していました。先生が一方的に教えるのではなく、子どもたちのやりたいことに寄り添い、サポートしながら一緒にものづくりをしていくというスタイル。子どもたちの表情は、勉強しているというより、遊んでいるような楽しい雰囲気です。
▲教室の様子。「遊び場」のような楽しい空間づくりを心がけているとのことです。
毛利さん:私たちは「子どもが主役」ということをモットーにしています。ベースとなるカリキュラムはありますが、お子さん自身が何をしたいか、どんなものをつくりたいかに合わせて、それぞれ個別のプロジェクトに取組みます。年齢で区切ることもなく、年長から高校生まで同じ空間で、好きなことを好きなペースで進められる授業を行なっているんです。
さらに、制作した作品を発表する機会も大切にしていると、毛利さんは話します。
毛利さん:半年に1回、制作発表のイベントを行なっています。お子さんは自分の作品をプレゼンし、それを受けて、プロのエンジニアやクリエイターから直接フィードバックがもらえます。自分の作品を認めてもらえると自信がつき自己肯定感も上がるので、子どもたちにとって良い経験になっていると感じます。
▲作品の発表イベント「ワンダーメイクフェス」の様子。自分たちの作品について、子どもたちが自信に溢れた表情でいきいきとプレゼンしている姿が印象的です。
プログラミング教育で、これからの時代を生き抜く力が身に付く!
「楽しく学びながら好きなものをつくり、発表し、認められる。」その経験は子どもの人生において貴重な経験になりそうですが、プログラミングを習うと、どのような力を伸ばすことができるのでしょうか。プログラミング教育を通して身に付く力について伺いました。
毛利さん:基本的なPCスキルやプログラミングスキル、理系的な思考が身に付くのはもちろんですが、それだけではありません。LITALICOワンダーが目指すプログラミング教育には、AI(人工知能)には替えられない、“創造力”の源泉となる“自分で考える力”や“創造に対する主体性”を養うことができると考えています。
具体的にどのような能力を差すのでしょうか。より詳しくお聞きしました。
試行錯誤し、問題解決する力
毛利さん:ゲームでもロボットでも、プログラムを組んで動かしたときに、初めから完璧で思い通りに動くということはまずありません。そこで、思い通りにならなかった原因を考え、修正し、試すということを何度も繰り返す必要があります。その活動の中で、自分で考えて試行錯誤し、必要な技術を習得し、自力で問題を解決していく力が身につきます。
主体性
毛利さん:自分がどうしたいのかを考え、自分で問題解決し、表現する経験を積むことで、主体性が身に付くと考えています。受動的な姿勢では、自分の思うようなものをつくることができないので、“何がつくりたいの?”“どうすればつくれるかな?”を子ども目線で問い続けることで、必然的に主体的になっていくんですよね。そうして出来上がった作品を褒めてもらえたり認めてもらえたりすると、成功体験が増え、何事にも能動的に働きかけられる人間に成長していけると思っています。
学校の授業とは別に、習い事として学ばせる意味は?
プログラミング教育のもたらす効果には期待が持てそうですね。ただ、小・中学校でも必修化されている今、あえて習い事として学ぶ意味はあるのでしょうか?
毛利さん:学校で扱っているプログラミング教育と、私たちのプログラミング教室で行なっていることは、全く違う場合が多いです。学校でのプログラミング教育は、まだ明確に内容が決められておらず、それぞれの学校で自由に実施されているため、学校や先生のスキルなどによって授業の内容や進め方が異なります。また学校では、大人数に一度に教えるという特性上、全員が同じ活動をするという形式が多くなってしまいがちです。そういった点で、プログラミングについて「自分の好きなことを思う存分やり、専門の講師に教えてもらえる」という経験は、習い事ならではと言え、私たちのような教室に来て初めて叶うことではないかと思います。
わが子に合ったプログラミング教室を選ぶには?
習い事としてプログラミング教室に通わせる魅力についてわかりましたが、増加し続けるプログラミング教室の中から、わが子に合った教室を選ぶにはどのようなポイントがあるのでしょうか。
毛利さん:プログラミングに関わらず、お子さんが何か活動するにあたり、一番大切なのは「本人のやる気が続くかどうか」だと思います。ワイワイ交流しながら活動するのが楽しい子もいれば、黙々と集中してPCに向かいたい子もいますし、自宅でオンライン学習する方が落ち着いて取組めるという子もいるでしょう。学ぶ内容やつくるものも、本人がやりたいことを尊重することが、能力を伸ばしてあげる一番の近道のはずです。
なので、できるだけ複数の教室を見て、お子さんがやる気を持って続けられそうな環境を選ぶのが良いと思います。
自分の人生に自信を持って、強く生き抜ける子を育てたい
最後に毛利さんから、日々育児や仕事に奮闘するSODATTE読者の皆さんにメッセージをいただきました。
毛利さん:変化が激しく先の読めない時代ですが、私たちはプログラミング教室での学びを通じて、「主体的に自分の人生を切り拓き、自分の決断に自信を持てる子」を育てていきたいと思っています。その力があれば、どのような変化が訪れても強く生きていけるはずです。私自身プライベートでは1児の父ですが、自分の子にもそういう人間になってほしいと思います。
毎日のように「子育てってこんなに大変なのか」と実感していますが、親子ともに幸せで過ごせるように日々を楽しみながら、読者のみなさんと一緒に私も頑張っていきたいと思います。
<プロフィール>
毛利 優介(もうり ゆうすけ)さん
神戸大学卒。株式会社LITALICOに入社後、発達が気になるお子様向けの幼児教室・学習塾LITALICOジュニアで指導員を経験した後、IT×ものづくり教室LITALICOワンダーのサービス立ち上げに参加。指導スタッフ、教室長、エリアマネージャー、サービス責任者を経て、2019年より事業責任者としてLITALICOワンダーの運営を担当。両親は小学校の先生、教室でのニックネームは「もーりー」。
取材・執筆/渡邊 桜
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