子育て

てぃ先生の子育てお悩み相談室 vol.2


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    日々成長していく子どもたち。いつの間にかできるようになっていることが増えていて、驚くこともしばしば。でも、成長を近くで見ていく中では、「うちの子、大丈夫かな?」「なんでこうなっちゃうんだろう?」と悩むこともあるでしょう。例えば、お友達に噛みついたり、モノを床に叩きつけたりすることに困った経験をもつパパ・ママもいるのでは?今回も、子育てのお悩みを、カリスマ保育士のてぃ先生がスッキリ答えてくれます!

    お悩み①

    かんしゃくを起こすと、お友達に噛みついたり、モノを床に叩きつけたりする癖があり、何度注意しても直りません。保育園でも大変なので、どのような心理なのか、どう言ったら直るのか悩んでいます。(30代男性・子どもの年齢:1~2歳)

    就学前のお子さんは、言語的な成長よりも、身体的な成長のほうが圧倒的に早いもの。泣いて何かを訴える赤ちゃんの頃を思い出してください。しゃべる前に、お座りしたり、立ち上がったりしますよね。

    つまり、噛みついたり、モノを投げたりするのは、相手に何かを伝えようとするときに、まだ言葉をうまく使えない段階だからなんです。そのため、身体的な表現で伝えようとしているんですね。だから、「お友達を噛んじゃダメ!」と叱っても、その癖は治らないでしょう。叩く、ひっかくなど別の行動に変わるだけです。

    噛みついたり、モノを床に叩きつけるのは、何か理由があるはずなんです。では、どのようにしたら良いのでしょうか。

    <こんな風に対応してみよう>

    「噛みついたらダメ」という前に、お子さんがどういう気持ちになって、相手のお子さんを噛んだのかを聞いてみましょう。

    でもこのときも、きっと上手に言葉にできないでしょう。そのため、お子さんが感じていそうな内容を、まずは大人が言葉にして伝えてあげましょう。

    「そのおもちゃで遊びたかったのに、先に〇〇君が使っちゃったから、イヤだったのね」

    というように。大人がきちんと言葉にして、「あなたの気持ちはわかったよ」と伝えることで、お子さんは「ちゃんと分かってくれた」と安心感が得られます。

    気持ちが落ち着いたら、「噛まなくても相手に気持ちを伝えられるんだ」とお子さんも理解できるようになっていきますし、この言葉の積み重ねで語彙力も増えていき、自然と噛みつきなどの癖が減っていくはずですよ。

    お悩み②

    何事も言わないとやらないのですが、言うと怒ってきます。何も言わなくても行動できるようにするためにはどうしたら良いのでしょうか。また、子どもの機嫌を損なわずに上手く注意する方法があれば教えてください。(40代女性・子どもの年齢:3~5歳)

    基本的に、役割がないと子どもはやりません。一番わかりやすい例が、お風呂です。お風呂に入るときのことを考えてみましょう。服を脱いだら、体や頭を洗ってもらい、出たら体を拭かれて、ドライヤーで髪の毛を乾かされて……というように一連の流れの中に子どもの役割ってないんですよね。

    子どもにやってほしいことがあるのならば、「これがあなたの役割です」ということを明確にしてみましょう。このとき、大事なのが「子ども本人のため」ではなく、「家族の一員として」「パパやママのため」と誰かの役に立つことが、本人にも分かることが大切です。ただし、兄弟がいる場合、「下の子のため」だとなかなか動いてもらいにくいので、ちょっと注意したほうがいいかもしれません。

    そして役割を決めたら、それをちゃんとルーティンの中に組込んでみましょう。

    そうすればお子さんがやってくれないということは、少なくなくなりますよ。

    <こんな工夫でさらに効果が>

    役割を決めたら習慣化するのが大事。このとき、「可視化」を取入れるのがオススメ。

    ホワイトボードに文字とイラストで書かれたマグネットを貼って、役割を終えたら、「終了ゾーン」に持っていくというように、視覚で分かるようにしておくと子どもがわかりやすくなります。市販のお支度ボードを活用するのが手軽です。

    そしてお子さんに役割を促すとき、「〇〇しなさい」という言い方を避けるのも一案です。例えば、お片づけをして欲しいのであれば、「このおもちゃ、どこにしまうんだっけ?ママ忘れちゃった」というように、子どもに教えを請うと「ここだよ」と嬉々として動いてくれますよ。

    お悩み③

    子どもが食べ物の好き嫌いが多く、食事を残します。改善したいのですが、どうしたらいいのでしょうか?(40代男性・子どもの年齢:3~5歳)

    これ、結論から言うと改善しなくていいです!!

    例えば、昔の食糧難の時代では、好き嫌いせずになんでも食べないと、そこに含まれる栄養素が取れないため成長に関わる事態となってしまうことがあったかもしれません。でも、さまざまな食材が豊富にある現代では、食べられないものがいくつかあっても、栄養不足になるようなことはほぼないですよね。食生活は時代とともに変わっていくもの。

    食べられるものから栄養を摂ろう!くらいの気持ちでいいのではないでしょうか。

    好き嫌いをなくそうと思うがあまり、「ひとくちだけ食べてみよう。これを食べないとデザートないよ」とアーンと食べさせることをしたことないですか?

    これはできるかぎり避けたほうがいいと思います。同じことを大人にやるかといったらやらないですよね。でも、子どもが相手だと、なぜか「これは教育だから、しつけだから」と思い込んでしまう。

    特に就学前のお子さんの場合は、とにかく楽しく食べることが一番大事。それ以外のことなんて、あまり考え込まなくていいですよ。

    <もしどうしても食べさせたいなら……>

    子どもは、親しみのあるものなら食べやすい傾向があります。

    例えば、ニンジンが嫌いだとしましょう。普段、調理した後のニンジンしか目にしていないのであれば、まず買いものに出かけて、ニンジンを一緒に買うところからはじめてみましょう。

    このとき、カゴを持って、ニンジンを選び、レジでお金を払ったら、袋に入れて家に持って帰るまでの一連の動きを子どもにやってもらいましょう。このとき、「どのニンジンがいいかな?」と楽しくおしゃべりしながら買い物をしてみてくださいね。

    家に帰ったら、「〇〇ちゃんが買ってくれたニンジン、すごく赤くておいしそうだね。お料理する前に匂いを嗅いでみようか」などと五感をフルに使って、ニンジンを観察してみましょう。

    そして、「どうやって切ろうか?」と聞き、アイディアを出してもらい料理にもできる範囲で参加してもらいましょう。

    このように調理してできあがったものだと、その食材に親しみを感じて、子どもが食べやすくなりますよ。

    <食事のとき、ここはちょっと注意しよう>

    食事の配膳や食べる順番について、どのようなルールにしていますか?実は、今、保育園では、デザートも同じお盆の上に一緒に出すようにしています。これは、食べ物に価値の差をつけない等、色々な理由があるのですが、大人って「ニンジン食べたら、デザートを食べていいよ」というように、無意識のうちにニンジンよりもデザートのほうが、相対的に価値が上であるという表現をしてしまいがち。

    知らず知らずのうちに、子どもが嫌いな食べ物の価値基準をもっと下げて、更に苦手意識が大きくなってしまっている場合があるので、ちょっとここは注意するといいかもしれません。

    毎日の生活の中で生まれる、子どもの困りごと。疲れているときは、特にパパ・ママも思わずイライラとしてしまうこともあるでしょう。でも、ちょっとした工夫や、成長に関する知識があることで、すんなり乗り越えられるなら、取入れない手はないですよね。

    笑顔の毎日のために、困ったときは、ぜひこの連載をチェックしてみてくださいね。

    <プロフィール>

    てぃ先生

    保育士。ちょっと笑えて、可愛らしい子どもの日常をつぶやいたTwitterが大人気の日本一有名な男性保育士。子育ての悩みや疑問に答えるYouTubeチャンネルは、理論と実践が「わかりやすい」「ためになる」と65万人以上のチャンネル登録者数を誇る。『子育て○×図鑑』『子育てで困ったら、これやってみ!』など著書多数。

    執筆/中山美里

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