これだけはやっておきたい!家族みんなで考える防災虎の巻
「10年に1度」「100年に1度」の災害が毎年のように発生する昨今。「うちは防災袋を買ってあるから大丈夫」と安心してしまうのは危険です。「大事なのは家族みんなが自分の身を守れるようにすること。想像して備えるべき」と説く、防災士であり防災食アドバイザーとしても活躍する今泉マユ子さんに、家庭ですぐに実践できる備え方を教えていただきました。
目次
家具の転倒防止は基本中の基本!
家庭での防災というと、真っ先に水や食料などの備蓄を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、「その前にやるべきことがあります」と、今泉さんは話します。
「命を守ることが大前提です。だから何より先に家の中の安全対策を行なうべき。家具の転倒防止対策が十分か確認しましょう」
対策をとるときは、ぜひ親子で家の中を見回してほしいとも。「寝ているときに地震が来たらどうしよう。棚からこれが落ちてきたら痛いよね」などと親子で想像することで、子どもの防災意識を育てることができ、家の中の安全な場所も分かって、いざというとき逃げ込むことができるようになります。
「ものを出しっぱなしにしていると避難するとき邪魔になるな、などと分かると、子どもが日ごろから片づけをするようになるかもしれませんよ(笑)」
安全対策ができたうえで、今泉さんは以下の3つの面での備えを提案します。
- 家族で防災ルールをつくる
- 防災用品を揃える
- 体験しておく
「こんなときはどうする?」を家族で想像する
さっそく、防災ルールから。
「必ずしも家で家族が揃っているときに被災するとは限りません。お父さんとお母さんは職場、子どもは塾など、バラバラに被災することもあります。そのときにどうするか決めておくことが大事です」
ここでも子どもに想像を促すことがポイント。親が決めて「こういうときはこうしようね」と言っても、子どもが覚えていられるとは限りません。
下記は話し合っておきたい内容例です。「うちには犬がいるから、ペット連れで行ける避難所も確認しておこう」など、それぞれの家庭に応じて足し引きすることが大切です。
「1回話し合っても忘れてしまうかもしれません。ときどき話題にして確認しましょう」
●連絡を取り合う方法
□電話がつながらなかったらどうするか
□お互いの携帯電話の番号はすぐに分かるか
□災害伝言ダイヤルの使い方の確認
□公衆電話の使い方の確認
●避難の仕方
□はじめにどこに避難するのか、そこが危険な場合はどうするのか
□外出先で被災したときはどこに避難するのか
□家族が落ち合う場所はどこか
□会えない場合は誰が探しに行くのか
□貴重品袋や避難袋は誰が持ち出すのか
●防災マップづくり
□行動範囲の中で危険なポイントはどこか
□避難所はどこか
□避難所に行く安全なルートはどこか
「子どもが1人で家にいるときに災害が起こることも考えられます。心細くなると子どもは外に飛び出してしまい危険なこともあるもの。近所に身を寄せられる家をつくっておくこともお勧めします」
お隣さんや近所のママ友と助け合い協定を結んでおくとよさそうです。
備蓄品は慣れた味のものを分散させて
防災用品は2種類あります。1つは非常用持ち出し袋など、災害時に身を守りながら避難所まで持っていくためのもの。もう1つは備蓄用の水や食品、簡易トイレなど、自宅での避難生活で使うもの。
「非常用持ち出し袋は、すぐに持ち出せるように玄関など、避難動線上に置いておくこと。ふだん持ち歩いているバッグも入れられるよう、余裕をもって詰めておくことがコツです」
入れておきたいものとしては、以下が挙げられます。自身の家庭の状況に合わせて備えておきましょう。
●ないと困るもの
食料、飲み物、常備薬、マスク
●あるとよいもの
食事に使うもの:お箸セット、折りたためるシリコンコップ、ミニコンロ、電気ケトル
衛生用品:ウエットティッシュ、体をふくシート、ティッシュやトイレットペーパー、ポリ袋、ドライシャンプー、スリッパ、着替え、バスタオル
電化製品関連:モバイルバッテリー、電源タップ、延長コード、懐中電灯、ラジオ、イヤホン
季節用品:冬=使い捨てカイロ、マフラー、手袋、レッグウオーマー、夏=虫よけスプレー、汗ふきシート
その他:紙とペン、本やトランプなど充電の必要がなく時間をつぶせるもの
●寝るときにあるとよいもの
音対策:耳栓
光対策:アイマスク、タオル
居心地アップ対策:プチプチシート、簡易マット、バスタオル、簡易枕、クッション
防犯対策:サコッシュ(ひも付きの小型バッグ)
このほか、眼鏡や、小さい子どもがいる場合はおむつ、女の子がいる家庭は生理用品など、家庭ごとに必要なものを用意。また、できるだけ持ち出し袋(リュックサック)は防水に。中に入れるものはそれぞれポリ袋に小分けにして入れておく。
上記とは別に、最低限のものは日ごろから携行することが大切だとも。
「水、食品、モバイルバッテリー、大判ハンカチ、ウエットティッシュ(必要に応じて懐中電灯、ホイッスル、生理用品など)を1つのポーチにまとめておき、カバンを替えても持ち歩くように習慣づけるといいですね」
非常用持ち出し袋も携行ポーチも、家族の分をそれぞれがつくること。
「何が入っているのか分からなければ、いざというとき役に立ちませんね。子どもの分は子どもと一緒に詰めることが大切です」
一方の備蓄品に関しては、「まずは水。そして食べもの。さらに簡易トイレも用意すること」と今泉さん。水は1日1人3Lを、最低3日分、できれば7日分用意します。トイレは1日何回行くかによりますが、家族の人数×トイレの回数×3日分は最低限用意することをお勧めします。
「食品ですが、食べている姿を想像できるものを選んでください。どれだけ備蓄に適した食材であっても、好みの味ではなかったり、上手に調理できなかったりすれば、もしものときに活用できません。缶詰やレトルト食品など、普段使いしているものの中から家族が好きなもの、食べ慣れているものを選んで備蓄することがポイントです。非常時は、食べ慣れたものを口にするだけで、ホッとするものです」
今泉さんは、これらを衣装ケースなどフタのついた箱に詰めて、各部屋に分散させておくことを勧めます。
「地震などで家具が倒壊して閉じ込められても大丈夫なように、うちは子ども部屋にも寝室にも用意しています」
車の中にも用意すると、なお安心です。もしものときはその場所で食べられるように、食具、ウエットティッシュ、ゴミ袋も一緒に置いておくのがお勧めとのこと。ゴミは衣装ケースに入れてフタを閉めれば臭いを封じ込むことができます。
▲今泉家のストックの一例。
▲缶詰などは、側面にも賞味期限を記入しておくと、古いものもすぐに見つけられる。
体験しておくことが大事。親子でお湯ポチャ調理にトライ!
大切なのは「体験しておくこと」と、今泉さんが強調します。
「缶詰を用意しておいても子どもが開け方を知らない、停電で暗い中で簡易トイレの説明書きを読めないということはあり得ます。あらかじめ使ってみることは大事です」
食べものや水なら、定期的に使って買い足すというローリングストックが注目されています。
「お給料日前の数日間は備蓄しているものを食べるなどと決め、ルーティーンにしておくといいですね。子どもに“賞味期限の近いものを持ってきて”と頼み、新しく買ったものを収納してもらう。そうすると、子どももどこに何がどの程度あるのかを覚えてくれます」
備蓄品を食べるときの調理法も、災害時を想定したものに挑戦してみましょう。今泉さんがお勧めする「お湯ポチャ」調理法は、高密度ポリエチレン製のポリ袋に食材を入れ、お湯につけて調理するという方法で、洗い物を出さず水も節約できます。子どもでも簡単につくれるので、親子でトライを!
共通のつくり方
① 高密度ポリエチレン製ポリ袋に材料を全て入れ、空気を抜きながらねじり上げ、袋の上のほうを結ぶ。
② 鍋底に皿を敷き1/2の水を入れる。皿の上に①を乗せ、フタをして火にかける。
③ 沸騰したら中火にして20分間加熱し、火を止めてフタをしたまま10分間蒸らす。
※複数同時調理する場合は、時間差で入れても、長い加熱時間にあわせて入れておいても大丈夫です。
お湯ポチャレシピ® ごはん
(材料1合分)
米(無洗米)…1合(150g)
水…1カップ(200ml)
※加熱時間:沸騰後20分余熱10分
お湯ポチャレシピ® 高野豆腐の麻婆豆腐
(材料3人分)
一口高野豆腐…小18個(約53g)
水…1カップ(200ml)
レトルト麻婆豆腐のもと…1袋(3人分用)(トロミが別添えタイプのものは全て入れる)
※加熱時間:沸騰後15分余熱5分
お湯ポチャレシピ® 切り干し大根の味噌汁
(材料1人分)
切り干し大根(長い場合はキッチンバサミで切る)…5g
すり白ごま…大さじ1
水…1カップ(200ml)
顆粒だし…小さじ1/3
味噌…小さじ2
※加熱時間:沸騰後5分
▲異なる味付けのものを一緒に調理できるのがお湯ポチャレシピの魅力
▲お椀などに盛り付ければ、非常時とは思えない食事に
「食事面以外でも、体験しておくことは大切です。例えば公衆電話。使い方が分からない子どもは多いですね」
災害伝言ダイヤルは、毎月1・15日に体験できるので、家族やおじいちゃん、おばあちゃんも一緒に体験してみるとよさそうです。防災マップをつくったら、その道を散歩してみることも忘れずに。
「私は停電ごっこや断水ごっこを勧めます。この日は電気を使わない、水道の水を使わないと決め、生活してみるのです。空き缶を洗えないと臭いが気になるからフタ付きのゴミ箱があるといいなど、いろいろ発見できると思いますよ」
子どもと一緒にわいわい話しながら挑戦するのは、きっと楽しい経験となるはず。
「身構えず、気軽に生活に組み込んでほしいですね」
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株式会社オフィスRM 代表取締役
管理栄養士、防災士、日本災害食学会災害食専門員
今泉 マユ子さん
(文/松田 慶子)
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