子育て

読解力が大事!これからの子どもに「必要な力」を伸ばす方法


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    AI(人工知能)の進化が進み、「将来、多くの仕事をAIが行なうようになる」という話を聞いたことがある方も多いでしょう。とはいえ、現在のところはAIの強みが発揮できない領域もあり、その代表が「読解力」だといわれています。さらに、実はすべての学習のベースにもなるといいます。これからの時代を生きていく子どもたちに必須ともいえる「読解力」を伸ばすには、どんな方法があるのでしょうか。忙しい共働き家庭でも自宅で取組める方法について、学習のプロに伺いました。

    <専門家プロフィール>

    伊藤 敏雄さん

    学習・教育アドバイザー(専門は勉強法・指導法)。情報サイトAll About「学習・受験」ガイド。「勉強はやる気とやり方で決まる!」をキャッチフレーズに、心理学や行動科学にもとづいた効果的な勉強のやり方を指導。生徒の約9割が偏差値アップ。著書に『子どもがつまずかない教師の教え方10の「原理・原則」』(東洋館出版社)等。

    「読解力」ってどんな力?

    「読解力」というと、「国語の問題を解く力」だと限定して考えがちですが、実は幅広い教科に必要だそう。

    「読解力はすべての教科の土台となります」と、学習・教育アドバイザーで、情報サイトAll About「学習・受験」ガイドをつとめる伊藤敏雄さんはいいます。

    「読解力とは、“文字や記号から、意味を考える力”のことです。国語の問題を解くことだけにとどまらず、算数の問題で問われている意味を理解したり、歴史の説明をしている文章を読み取ったりと、幅広い教科に必要な力です。また、読解力がないと、『読んで理解してみよう』という前向きな気持ちや、『理解できた。うれしい!』という自尊心が下がってしまうので、ぜひ重視していただきたいですね」(伊藤さん)

    ところが近年、日本の子どもの「読解力」が低下傾向にあることをご存じでしょうか。OECDが行なっているPISA調査(OECD加盟国を中心に、義務教育修了段階(15歳)を対象に3年ごとに実施される国際的な学習到達度テスト)によると、日本の子どもの読解力は、2012年で65カ国中4位だったのが、2015年では70カ国中8位、2018年では77カ国中15位と徐々に下降しています。点数も、最新の点数は近年に比べ12~34点低い結果で、OECD平均との差も小さくなってきています。(※文部科学省 国立教育政策研究所「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)~2018年調査国際結果の要約~」(令和元年12月)より)

    日本の子どもの読解力が下がっている要因には、さまざまなことが考えられるそう。

    「学校の授業では以前と比べ、グループワークや生徒同士で話し合うカリキュラムが増えたほか、最近は、SNSで写真、動画などを見る機会が増えています。必然的に文字を書いたり、文章を読んだりする機会が減ってしまい、読解力の低下につながっていると考えられます」(伊藤さん)

    「読解力」は幅広い教科や将来の仕事にも必要な力

    読解力は、小さいうちから身につけておくことが大切だと伊藤さんは指摘します。

    「読解力が身につかないまま大きくなってしまうと、文章を単に目で追っているだけで、内容がなかなか頭に入りません。どれだけ勉強をしても内容を読み取れなければ、知識や思考が積上がらなくなってしまいます。

    小さいうちに読解力がしっかり身につけば、文字や記号を通じて情報をどんどん得ることができ、学ぶことが楽しくなります。『文章を読んでわかった』という成功体験を味わうことで、読むことにもっとチャレンジしたくなるでしょう」(伊藤さん)

    「理解できて楽しい」「もっと読みたい」と感じる力は、国語だけでなく、幅広い教科に必要な力。小学生や中高生、大学生だけでなく、社会人になっても、学びはずっと続いていきます。「読解力をつけることで、“学びを楽しむ”という好循環にもつなげていただきたいですね」(伊藤さん)

    また、最近はAIの進化についても話題です。AIの数学の学力は東大レベルに肉薄しているといわれますが、一方で読解力については、まだまだAIの苦手分野とされています。そのため、「将来、AIに仕事を奪われる時代が来るのではないか」という不安を感じる親御さんにとっても、子どもに“読解力”をつけさせることは大切なことではないでしょうか。

    「読解力をつけるためには、その子にあった方法で対応していくことが大切。集団教育である学校で個別対応をするのは難しいため、ぜひご家庭でフォローをして、読解力を伸ばしてあげてほしいですね」(伊藤さん)

    家族で「読解力」をチェックしてみよう

    では、「読解力」がどれくらいついているか、ここで確認してみましょう。「子どもだけでなく、親御さんも含めて、家族で取組んでみることがおすすめです」と伊藤さん。以下の3つの問題を、ぜひチェックしてみてください。

    ※出典:新井紀子著『AIに負けない子どもを育てる』(東洋経済新報社,2019年)より抜粋


    Q1)レベル:易 (係り受け解析の問題) ※書籍p.50より

    「水にしずむ鉄でできたボルトとナットも、鉄より密度の大きい水銀にはうかぶ」

    この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

    「ボルトは(  )にうかぶ」

    ①水銀 ②鉄 ③水 ④氷

    Q2)レベル:難(照応解決の問題) ※書籍p.56より

    「穀類・いも類・砂糖の主な成分は炭水化物である。穀類・いも類には炭水化物のうちでんぷんが多く、砂糖はそのほとんどがしょ糖である」

    この文脈において、「そのほとんど」とは何のほとんどを指すか。最も適切なものを1つ選びなさい。

    ①穀類・いも類 ②炭水化物 ③でんぷん ④たんぱく質

    Q3)レベル:超難(推論の問題) ※書籍p.65より

    「日本の面積は、約3800万haです。1990年から2010年の間、毎年世界全体で失われた森林の面積は、日本の面積の約18%にあたります」

    上記の文に書かれたことが正しいとき、以下の文に書かれたことは正しいか。「正しい」、「まちがっている」、これだけからは「判断できない」のうちから答えなさい。

    1990年から20年間に、日本の面積の3倍以上の森林が世界全体で失われた。

    ①正しい ②まちがっている ③判断できない


    いかがでしょうか。「簡単にわかった」という方もいれば、「すべて間違えてしまった。読解力不足を感じる」という方もいるかもしれません。では、実際に読解力を家庭でつけていくには、どんな方法があるでしょうか。

    家庭で「読解力」を育むには、音読や暗唱がおすすめ

    わが子の「読解力」を身につけさせたいと思ったときに、親が本を選んできて「読みなさい!」と子どもに与えるのは厳禁だそう。「なぜなら、本とは、“親が与えるもの”ではなく、“子ども自らが読みたいものを自分で選ぶもの”だからです。本を読む前に、家庭で取組んでおきたいことが実はたくさんあります」と伊藤さん。ポイントを3つ教えていただきました。

    ポイント1:語彙力をつける

    「文章から情報を読み取るためには、ある程度の『語彙力』が必要です。英語の長文についての研究では、「テキスト中の単語のうち95~98%が既知語であれば、文脈から自然に語彙を学習することが可能」とされています。また、「わからない単語の割合がそれ以上だと、内容理解もままならないため、文脈から効果的に単語を習得することはきわめて困難」とされています(中田達也著『英単語学習の科学』研究社,2019年,p.22より)。同様に、社会科の教科書などで、長引く不況のことを『慢性的な不況』と表現されていても、“慢性的”や、そもそも”不況“の言葉がわからないと意味を理解できません。そのために『語彙力』をつけておくことが重要なのです。

    「『唇をかみしめた』『骨が折れる』といった慣用句なども含めて、小さいうちから語彙を増やしておきたいですね」(伊藤さん)

    ポイント2:音読をして、親がツッコミを入れる

    「学校の宿題でもよく出ると思いますが、“音読”もおすすめです。視覚や聴覚を使うので、ワーキングメモリーと呼ばれる記憶力を鍛える効果があります。すらすら読めるようになったら『どんなお話だった?』『1段落目はなんて書いてあった?』といった具合にツッコミを入れてあげてください。ツッコまれた内容を考えることで、より読解力が高まります」

    ポイント3:暗唱をする

    「音読のさらにステップアップとして、“暗唱”も非常に効果的です。“暗唱”は、インプットと、実際に口に出すというアウトプットができるので効果大。短い文章からでもいいので、ぜひ試してみてください」(伊藤さん)

    では、幼児から小学校高学年以上まで、子どもの年齢に応じて読解力を高めるには、どんなことがおすすめでしょうか。

    「文字が読めない幼児のうちは、『歌を歌うこと』もおすすめです。歌詞を記憶して口に出すことで記憶力が鍛えられます。絵本の一部を暗唱して、口に出すのもいいですね。

    文字の読み書きができるようになった小学校低学年からは、言葉を覚えて語彙力をつけ、音読をしたり、暗唱をしたりするといいでしょう。

    小学校高学年からは、引き続き語彙力を増やし、音読や暗唱をしたときに『要約すると、どんな話だった?』などと親御さんから質問して、子どもに短い文章で要約させてみると、読解力がさらに深まります」(伊藤さん)

    本を読むのが苦手な子なら、学びにつながるような“マンガ”もおすすめだそう。

    「例えば、歴史や雑学のマンガを読むと、理解が進みやすくなり、歴史や理科などの教科書を楽しく読むようになります。また小説から読むことが好きになる子もいるので、ライトノベルもいいですね。親御さんが本や新聞を読むなど、“文章が周りに自然にある環境”をつくるのもいいでしょう」(伊藤さん)

    また、意外なところですが「算数を鍛えること」も、読解力向上に効果があるといいます。

    「算数の学力を上げると、読解力が上がるケースも多々あります。小さいうちなら、折り紙を使うのも手。『折り紙を半分に折るのを、3回繰り返したら、全部で何マスになる?』と聞くと、『2×3=6マス』と答える子が多いのです。実際に折り紙を折ってみると、『2×2×2=8マス』が正解だとわかります。このように具体的なものを見て、抽象的に考えることを鍛えられると、読解力アップにつながります」(伊藤さん)

    これからの新しい時代を生きる子どもたちにとって、より必要になる“読解力”。ぜひ今回のアドバイスを、ご家庭でお子さんに“読解力”を身につけるヒントにしてみてください。

    取材・文/西山美紀

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