子育て

これからの新しい勉強スタイルとなるか?小学生向けオンライン学習のメリットと活用法


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    新型コロナウイルスの感染拡大は、学校教育にも大きな影響を与えました。相次ぐ休校や分散登校により、勉強の場は自宅にシフトしましたが、慣れない環境に戸惑う子どもも少なくないでしょう。そこで今回は、急速に拡大する自宅でのオンライン学習について、特に休校の影響が大きいとされる小学生がどう活用していけばよいか、子どものインターネット教育に詳しい金子由李さんにお話を伺いました。

    (専門家プロフィール)

    ●金子由李さん

    幼稚園教諭、保育士を経てIT業界へ。キッズソフトレビューや「子供とインターネット」に関する記事執筆、コンテンツ制作、キッズコンテンツ紹介、コンテンツへのアドバイスなどを行なっている。子どもがコンピュータやインターネットを活用するためのノウハウを、パパ・ママの目線でわかりやすく発信。

    家庭での学習がより一層重要に

    小学校をはじめ、多くの学校・教育機関が休校、閉鎖というかつて経験したことがない事態に陥った2020年前半。異例の自宅待機の中、学校に通う子を持つ親はいろいろと不安を抱いたはず。

    子どもの運動不足やストレスなど、心身の状態も心配ですが、同時に「学習の遅れ」も気になるところではないでしょうか。

    学習の遅れについて、学校側もプリント配布やリモート授業など独自の対策をしてくれたものの、結果的に家庭学習の比重がより一層重くなった、そんな状況と言えるでしょう。その状況の解決策として、ここにきて注目を集めているのが「オンライン学習」です。

    オンライン学習、その内容は多種多様

    オンライン学習とはパソコンやタブレット、スマホなどを使い、インターネット(もしくはアプリ)を利用して行なう学習スタイル全般を指します。しかし、形はそうであっても、実際の内容は多岐にわたっています。特に小学生向けとなると、低学年と高学年では勉強の質、量とも大きく異なるため、それこそ多種多様。そこで、まずは大枠を理解するために以下の2つに大別します。

    (1)学校の授業や受験に直結したもの

    学校の授業の補習や受験対策が主な目的。主に大手学習塾などが提供している有料のオンライン学習サービス。教材(ネット配信や専用タブレットの配布)による学習と添削指導、授業などのコンテンツ映像の配信、少人数(マンツーマンもしくは数名)向けのライブ授業など、形式はさまざま。

    (2)目的や興味に合わせて楽しみながら学習するもの

    インターネットで配信されている、利用・閲覧が無料の学習関連サイトを活用する方法。低学年向けには、漢字・計算・地名・英単語などをゲーム感覚で学べるものが中心。中高学年向けには、社会・経済・科学などを、動画も交えながらわかりやすく解説しているサイトが人気。官公庁や自治体が配信しているものも。

    では、これらさまざまなオンライン学習を取入れる利点、効果はどこにあるのでしょうか。上手な活用法とともに見ていきましょう。

    オンライン学習のメリット

    (1)気軽に学べる

    オンライン学習のメリットと聞かれ、やはりすぐに思い浮かぶのは「自宅で手軽にできる」「利用したい時間に自分のペースで勉強ができる」といったことでしょう。

    「最近では無料授業動画を公開する塾講師や学習系YouTuberも登場しています。必要な単元だけをピックアップして利用できること、動画やゲームなどで気軽に学習できることも大きなメリットです。無料でダウンロードできるプリント教材は、見やすさや問題数などで市販のドリルに引けを取らないクオリティーのものもたくさんあります」

    (2)一人一人に合った内容が選べる

    他には、「子ども一人一人に合わせた学習プログラムを選択できるという点に大きなメリットがある」と、金子さんは言います。

    「例えば、小学校低学年のオンライン学習では、視覚や聴覚にも訴えるアニメーション授業や、『なぜ?どうして?』に応える写真や動画、ゲーム性のある練習問題が多くあります。これらは学習への敷居を下げることにより、学校の勉強を補完して子どもに自信をつけることができます。また、意欲のあるお子さんであれば一歩進んで、学校の授業プラスアルファの学習レベルや応用問題などに積極的に取組むこともできます」

    有料のオンライン学習サービスの具体的なメリットにも触れておきましょう。かかるコストは小学生の場合、教材タイプで月額3000円前後。少人数のライブ授業の受講であれば月額1万円前後が一般的です。

    「教科書や授業とリンクした内容で効率的に予習・復習が行なえます。さらに、中学受験を視野に入れているご家庭では、受験勉強はもちろん、苦手な科目を残さないために基本からしっかり学び直す機会が重要であり、場所や時間を選ばず学べるオンライン学習は力強い味方になってくれることでしょう」

    「繰り返し」の学習とこまめな確認でより効果的に

    勉強ツールとしてクオリティーが高いものが多く、充分学習効果が期待できるオンライン学習。しかし、有効なものにできるかどうか、使う側にそれが問われるのもまたオンライン学習の特徴と言えるでしょう。もちろん、お子さん任せではなく、親のフォローも欠かせません。

    「学習した内容の習熟には、インプット・アウトプットのバランスが大切です。動画を視聴し、簡単な例題を解くだけでは、お子さんの学習が『わかったつもり』で止まっているかもしれません。お子さんの学習の進捗状況や確認テストの結果などから、苦手なところやつまずきがないか小まめに確認してあげてください」

    金子さんは、「特に小学生の学習内容には『繰り返し』による根気強いトレーニングが必要な単元が多い」と指摘。そのサポートとして、プリント教材が役立つと言います。

    「計算や書き取りの練習であればプリント教材に取組む時間を充分に取る、漢字や英単語などは忘れているものがないか時間を空けて再チェックする、といった過程をプラスするだけでも成績はグッと上がります」

    プリント教材は、学校が配布するもの、市販のものでもいいですが、先に触れたように、無料でダウンロードできる教材を用意しているオンライン学習サイトも少なくありません。学年別の漢字練習や九九の表、世界地図などをダウンロードできるサイトもあります。これらを有効活用するのも、オンライン学習の上手な使い方と言えるでしょう。

    有料のオンライン学習は事前に親子で無料体験を

    オンライン学習のメリットや活用ポイントはわかったとしても、実際の利用については不安に思う親もいるのでは。やはり一番気になるのは継続できるかどうかでしょう。一度試してみたものの、結局続かなかったという経験のある方もいるかもしれません。金子さんは、その原因として、学習スタイルが子どもの性格や学習の習熟度に合っていない点を指摘します。

    「有料のオンライン学習の場合で言えば、自分のペースでコツコツ続けられるお子さんや苦手な科目が明確なお子さんは、授業動画を視聴し練習問題を解くタイプが向いていると思います。一人では長続きしないお子さんや講師からの声掛けがモチベーションになるというお子さんなら、マンツーマンや少人数で講師と会話しながら学ぶものから始めてはいかがでしょう」

    各社の有料オンライン学習サービスには、無料体験やサンプル動画が用意されているケースが一般的です。子どもが興味を持って視聴できる授業が行なわれているか、画面は見づらくないか、演習問題の量やレベルは適切かなど、入会前にチェックしておくといいでしょう。金子さんは「授業参観の感覚でお子さんと一緒に動画を視聴してみるのもおすすめ」と言います。

    もう一つ、継続できない、集中して勉強できない理由として、自宅の学習環境そのものに問題がある場合も考えられます。

    「パソコンやタブレット、スマホにゲームや動画アプリなどが入っていることで、学習に集中できていないということはないでしょうか。アプリの利用時間を制限する、大人が見ているそばで学習を進めるなど、学習と遊びの時間にメリハリをつけましょう。また、お子さんが学習しているそばで親がスマホを触っていたり、テレビを見ていたりすると、それだけでお子さんの集中を削ぐきっかけになってしまいます。そういう点もご注意ください」

    オンライン学習のデメリットと対処法

    これまでメリットや活用ポイントを見てきましたが、使い方によっては学習のデメリットになるケースもないわけではありません。それに関する注意点も金子さんに伺いました。

    「無料サイトの場合は、学校教科書の内容に沿っていないサイトも多く、お子さんにぴったりの教材を探しづらかったり、科目や単元によって情報量が偏っていたりすることがあります。そのため、お子さんに必要なものをピックアップする手間が発生してしまいます。また、無料サイトの画面レイアウトには広告が含まれている場合があるので、お子さんが学習と関係のない広告ページを見てしまう可能性も考えられます」

    関連して言えば、パソコンやタブレット、スマホをお子さんが使用することで、誤って有害な情報にアクセスするケースも想定されます。そういったトラブルを未然に防ぐために、フィルタリングアプリの活用も検討してほしいと、金子さんはアドバイスします。

    「フィルタリングアプリでは、インターネットの利用履歴を確認できるほか、スマホやタブレットの使用時間帯の制限も可能。お子さんが思わぬトラブルに巻き込まれることがないよう、オンライン学習はもちろん、お子さんとインターネットの付き合い方も見守ってほしいと思います」

    今後、新型コロナウイルスの感染状況によっては、再び休校措置が取られる可能性も否定できません。子どもに合ったオンライン学習サービスを見つけておくことは、学習の遅れや受験などへの不安を縮小する一助となってくれるのではないでしょうか。

    文/清水京武

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