工作でワクワクしよう!おうちで楽しむ親子のものづくり
家の中で過ごす時間が多くなった昨今。お子さんをもつご家庭からは、「家でできる遊びに飽きた」「テレビゲームばかりになってしまう」という悩みも聞かれるようになりました。そこで今回は、工作番組で“ワクワクさん”としてお馴染みの久保田雅人さんにインタビュー。家の中でできる工作の楽しみ方から、子どもの創造力を高める方法までたっぷりお聞きしました!
目次
親子で楽しむ工作の時間、それは心の触れ合いの時間
毎日、元気いっぱいの子どもたち。家で過ごすときは「何をしたらいいの?」と困ってしまうご家庭もあるでしょう。
久保田さんは、「そんなときはぜひ親子で工作をしてほしい」と話します。
とはいえ、「絵や工作に自信がないからできない」と思われる方も多いのではないでしょうか。
「『テレビ番組のお手本のように、うまく作れない!』とおっしゃる方が多いのですが、うまく作れなくていいんです。僕は23年間、テレビで工作をやってきましたが、どんなにうまく作っても、子どもの目の前で作ってあげるインパクトには絶対敵いません。
一緒に作っていると親子の会話が生まれますよね。上手に作ることよりも、工作の時間を親と過ごしたという思い出のほうがずっと大切なんです。親が自分のために工作を教えてくれた、一緒に作ってくれた、という体験は記憶にも残ります。だから、ぜひ一緒に作ってください」
また、思い出になること以外に、親にとってうれしい効果もあると言います。
「大人にとっては簡単なことでも、子どもにとってはものすごく難しいことがたくさんあります。自分にはできないことを、難なくやってのける姿に『うちの親ってすごい!』と子どもは目を輝かせ、尊敬するものです。
子どもが楽しんでくれた上に、親としての株も上がるのですから、こんなにうれしいことはないでしょう(笑)」
子どものやる気に火をつけるコツとは?
「さあ、作ろう!」と声をかけ、いざ、始めてみても困ることが1つあります。それは、子どもって興味がないと見向きもしないこと。そして、飽きっぽいこと。最初は楽しんでいても、すぐに他に気持ちが向いてしまうのは日常茶飯事です。
「親がやって見せると、子どもたちに『やってみたい』という気持ちが出てきます。だから、まずはお父さん、お母さんが、先にやって見せてください。それでも集中力が続かない、飽きて放り出してしまう場合は、そのまま無理にやらせようとせず、親が発想を変えたほうがいいでしょう。もしかしたら、その工作が少し難しすぎるといった問題があるのかもしれません」と久保田さん。
では、そんなときはどうしたら興味を持ち続けられるのでしょうか。
小学校低学年くらいまで:うまくできない時は手助けを。オススメ小道具は「目玉シール」
うまくできなくなった時には親が手助けをしてあげる、興味を引出す方向に少し道案内をしてあげると、興味が長続きするそう。
「例えば、画用紙を渡して『何か描いてごらん』といっても、絵が苦手な子はただグチャグチャと塗りつぶすだけになりがちです。一通りグチャグチャにしたら、もう飽きちゃう。でも、ここに目玉を貼ってみるとどうなるか?『オバケだ!』などと、子どもは再び興味を持ちます。こんなふうに、ちょっとした仕掛けを大人が用意しておいてあげるといいですよ」
▲グチャグチャの落書きの上に、自作の目玉シールを貼る久保田さん。
「両面テープで貼れる目玉シールを作ってあげるのがオススメです。どんな物でも、目玉を付けるだけで、一瞬で顔になってしまいます。落書きでも、きれいにできなかった工作でも、目玉を付けると急に生き物に見えてきて、作ったものが命を持つようになるんですよね」
ただ、久保田さんいわく、これに異議を唱えてくる子もいるのだそうです。
「『こんなの目じゃない』と言い出す子どもも出てきます。そんな時は失敗したと思わずに、『じゃあ、どういうのが目なの?』と聞いてみてください。すると、『目はもっと小さいよ』『笑っている目がいい』と発想が広がっていく。これが豊かな想像力・創造力に繋がっていくんです」
小学校中学年くらいから:最後まで見守るのが◎。できあがったら会話をしよう
大きくなるにつれ、子どもは親からあれこれ言われるのを好まなくなるもの。もし途中で飽きてしまっても、無理にやらせようとすると逆効果の場合もあるそう。
「小学校中学年くらいになったら、子どもから声をかけてこない限りは、途中で口を出したくなるのをグッとこらえ、時間がかかっても自分の力で最後までやらせてあげるのがオススメです。
そして、できあがった後には必ず『いいねえ』と言ってあげてください。褒められると、やる気が出てきます。そして、『ここはどうやって作ったの?』などと質問してあげるといいでしょう。喜んで説明してくれます。こうしたコミュニケーションで、やる気がどんどん大きくなります」
身近な物、捨てようとしていた物で工作しよう!
家の中の工作では、ここまで出てきた他に、「物を大切にすること」も学ばせることができると、久保田さんは言います。
久保田さんがテレビ番組で紹介してきた工作は、牛乳パックやストローなど、身近にあるもので作れるのが特徴。見慣れた日用品が、みるみるうちに遊び道具になっていく。その不思議さは、いつだって子どもの心を掴みます。
「工作用にいろんな材料を取っておくといいですよ。物を大切にする感覚は、言葉で伝えるよりも、経験させてあげるほうがずっと身につきます。だから、捨てようとする前に『これは使えるかも?』と思ったら、少しでもいいので取っておいてください。
工作をして、遊んで、ボロボロになったら、子ども自身に捨てさせましょう。親が勝手に捨てるのではなく、必ず本人の意志で、自らの手で捨てさせてほしいです。最後に見送る経験をするから、物の大切さがわかるようになっていくんじゃないかな。物を大事にして“使い尽くす”大人になってほしいですね」
自分で作った、愛着のある物を捨てる。そのことで、すべての物に人の想いや手間がかかっていて、無駄にしてはいけないということを感じられるのですね。
今回はせっかくなので、廃材や身近なものですぐに作れる簡単な工作も紹介していただきました。
包装紙でパックンおばけづくり(未就学児~小学校低学年向け)
【用意するもの】
- 包装紙
- 目玉シール
- 両面テープ
【作り方】
①包装紙やいらない紙をグチャグチャに丸めたあと、一度伸ばします。
②両面テープを指につけ、包装紙を持ち、目玉をつけて完成。
▲手を開いたり閉じたりして遊べます。紙がビリビリに破けても、おばけや妖怪に見立てれば楽しめます。
「『こんなものでいいの?』と思う親御さんもいらっしゃると思いますが、子どもは喜びますよ。家で工作をする時は、できるだけ少ない材料でやるのがいいです。いろんなものを用意しなきゃいけないとなると、それだけで億劫になってしまいます」
紙パックでお相撲さんづくり(未就学児~小学校高学年向け)
【用意するもの】
- 飲料の紙パック
- 空き箱
【作り方】
①牛乳パックなど、紙パック飲料の口を開ける。
②口が開いた方を下にして、空き箱の上に置くだけで完成。
お好みで、顔や手を作って貼り付けるなど、自由にカスタマイズできます。
▲色画用紙で作った顔と手を付けたお相撲さん。
▲空き箱の両端を拳でトントンと叩くと、紙パックのお相撲さんでトントン相撲ができます。(久保田さんと取材スタッフで対戦させていただきました。)
「小学校5~6年にもなると、しっぽをつけて恐竜にするなど、すごい発展をしていくんですよ。自由度が高い工作だと、自分で考えてどんどん作れますね。工作が苦手な場合でも、自分が作ったもので親とこんな風に対決できたら、子どもはとっても楽しんでくれます」と久保田さん。
ティッシュの球&ラップの芯で射的遊び(小学生低学年以上)
【用意するもの】
- ラップの芯
- ティッシュペーパー
- セロハンテープ
- 輪ゴム
- 的(まと)になるもの トイレットペーパーの芯、空き箱など
【作り方】
①ラップの芯に切り込みを入れる。
②ティッシュペーパーを丸め、セロハンテープで留めて球を作る。
③切り込みに輪ゴムを差し込み、②で作った球をセット。まとに当てて遊ぶ。
「作った物を捨てるのは名残惜しくなるかもしれませんが、一緒に遊んでいるところを動画で撮影したり、できあがった作品を写真に撮ったりしておくと、後から見ることもできるので思い出作りになりますよ」
こうした物で子どもと遊ぶときに、親に気を付けてほしいことがあると、久保田さんは話します。それは、必ず“真剣勝負”をすること。
「子どもは親と対決するのが大好きです、ただ、ここで注意してほしいのが、手を抜いたり、わざと負けたりしない、ということ。子どもは大人の嘘を見抜きます。『子どもだからって手加減されている』と感じると、一気に冷めてしまうんです。大人も本気を出して真剣に遊んだほうが、『もっと、もっと!』『負けるもんか』とノッてきますよ」
真剣な姿はカッコいい!だから自信を持って
最後に、久保田さんから読者の皆様へのメッセージをいただきました。
「仕事と子育ての両立は本当に大変ですよね。僕は全国の幼稚園や保育園、学校に講演で呼ばれることも多いのですが、そのときに、仕事服を着たまま、自転車の前と後ろに子どもを乗せて送り迎えしている親御さんをよく見かけます。汗だくになって自転車を漕いでいて、ご本人はもしかしたら『こんなに必死でかっこ悪い』と思っているかもしれませんね。でも、真剣に頑張っている姿って、本当にかっこいいなって思います」
久保田さん自身、3人のお子さんのお父さん。すでにみんな立派に成人していますが、今でもかつての幼い頃を思い出すそう。
「僕はあまりいいお父さんじゃなかったかもしれない。家に帰るのはいつも、3人が寝ている時間。でもね、その寝顔を見ていると、明日も頑張ろうと思えました。子供を育てるのは大変だけど、必ず楽しみがある。それを見出してほしいですね」
子どもが親から守られて生きている時間って、長い人生の中では実は多くありません。外に出られず悶々としがちな日には、親子で工作をして、心が触れ合う時間を作ってみてはいかがでしょう?
子どもはワクワクと心を弾ませつつ、「お父さん、すごい!」「お母さんって器用だな」と親の新たな一面を見つけてくれるはずですから。
<久保田雅人さんプロフィール>
1990~2013年に放映されていた子ども向け番組『つくってあそぼ』(NHK/Eテレ)に“ワクワクさん”として出演。現在は2019年2月からスタートしたYoutubeチャンネル『ワクワクさんチャンネル』で工作番組を公開している他、全国各地で工作ショーや講演活動を行なっている。
造形アイデア/ヒダ オサム
取材・執筆/中山 美里
写真/フカヤマ ノリユキ
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