子育て

理科が嫌いな子どもはいない!?でんじろう先生に聞く、科学で育む子どもの力


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    時代によって変わっていく「学び」。ゆとり教育が廃止され、英語やプログラミング授業が必須となるほか、大学入試改革をめぐるニュースも話題に。「今後の教育はどうなるのだろう?親としてどうしたらいいのだろう?」と不安に感じている方は、多くいらっしゃるのではないでしょうか。

    なかでも理数科目は、学年が上がるにつれて「苦手科目」になる子どもも多いもの。そこで今回は、サイエンスプロデューサーの米村でんじろう先生にお話を伺い、科学が子どもの成長にどう影響するのか、また、どうしたら楽しく科学を学べるかについて伺いました。

    子どもの「なぜ」「どうして」は科学そのもの!

    子どもは、好きなことは集中して取組むけれど、嫌いなことには顔を背けがちです。特に理系科目は、学年が上がるほどに苦手意識を持ち、「嫌い」と感じる子どもも増えていきます。

    ところがでんじろう先生は、「子どもはみんな理科が好きなんですよ」と話します。

    「私が行なっているサイエンスライブショーのことを、子どもたちは、『これは理科だ』とは捉えていません。面白いか、面白くないかだけなんです。『これは理科』『遊びでなく勉強の一部』というふうにジャンル分けしているのは大人のほう。子どもたちは、『なんで?』『どうして?』と外の世界になんでも興味を持つものです」

    子どもが興味を持つ対象には、「科学」が多く含まれています。例えば「空はなぜ青いの?」「虹はなぜ七色なの?」といった質問は、誰もが尋ねた経験があるのではないでしょうか。

    「子どもは知的好奇心が旺盛です。だから、いろいろ聞いてきますよね。でも、年齢が上がるにつれて、だんだん聞かなくなってくる。中学生くらいになるとほとんど質問することはなくなります。まわりの反応を見て『質問ばかりしていては悪い』『聞いてもあしらわれるからいいや』などと思ってしまうんですね」

    いつしか“日常的で素朴な疑問”だった理科が、“学校の授業で学ぶだけ”になり、テストで点数が取れないと、「理科は苦手。キライ」となってしまいます。

    学ぶ意欲をもっと高める“科学実験”

    子どもが疑問を投げかけてきたとき、親がしっかりと答えてあげたほうが良いのは言わずもがな。でも、忙しかったり、うまく答えられないことを聞かれたりすると、おざなりにしてしまいがちです。

    「親もわからないことがあるのは当然。そんなときは拒否せずに、『なんでだろう、不思議だね』と相手にしてあげるだけでも十分ですよ。また、子どもは成長過程の中で、しつこいくらいに質問してくる時期があります。これは好奇心や学ぶ意欲が成長している時期なんだと思います。あまり質問されてばかりいると適当にあしらいたくなることもあると思いますが、こういう時期にしっかり対応してあげると、子どもの学習意欲をもっと高められると思います」

    最近では、ネットですぐに調べられるので、質問されたことを親がパソコンやスマホで調べて、子どもに「~と書いてあったよ」と伝えても良いですね。

    「毎回は難しいですが、折に触れてちょっとした実験のような“お試し体験”も取入れてみましょう。話を聞いたり文字で読んだりするだけでなく、実体験をすることで、『知る』『学ぶ』ことがもっと好きになりますし、記憶に残る深い学びになります。

    例えば、紅茶を飲むときにレモン汁を入れると色が薄くなりますね。『ほら、見てて。色が変わるよ』と言いながらレモン汁を入れると、『本当だ!』と子どもはとても興味を持ちます。そして、実際に自分でもレモン汁を入れる体験をさせると、記憶にしっかり残ります。そうすれば、将来理科で酸性、アルカリ性について学んだときにも、身近な体験と結びつけて考えることができます」

    このように、「実験」といっても、身近なものを使って簡単にできることがたくさんあるのです。

    「例えば、重曹とクエン酸を混ぜて泡を出したり、ゴムを伸ばして熱を発生させたりと、自宅でもできる実験はたくさんありますよ」

    ▲「ゴムを伸ばして熱を発生させる実験」を体験させてもらう取材班。ゴムは伸びたり縮んだりするときに、温度が変わる性質を持っているとのこと。ゴム風船を急激に伸ばして肌に当てると「温かい!」とびっくり。

    子どもには、主体的にいろいろな実験をやらせてほしいとでんじろう先生は言います。

    「しっかりと準備された学校の授業と違って、自分で考えて実験をすると、その多くが失敗するかもしれません。だけど、失敗していいんです。成功を求める必要は全くありません。まずは取組んでみようという意欲を大切にしてあげましょう。また、失敗したら『どうして失敗したんだろう?』と自分で考えますよね。これも大事な体験です」

    でんじろう先生ご自身も、幼少時代には身の回りの植物や虫と触れ合ったり、家の中のもので実験したりして過ごしたそうです。その中で、たくさんの失敗を経験し、今に至っていると教えてくれました。

    「現代の子どもたちの遊びというとゲームが主流かと思いますが、ゲームはどんなにリアルな表現でも、“疑似体験”です。生き物を触ったり家庭で実験したりと、“実体験”をすることで、起こった現象を身を以て感じる機会を多く持ってほしいですね」

    ▲サイエンスショーでも大人気の「空気砲」を出したり、ドライヤーの風で風船をクルクル回したりと、いろいろな実験を見せてくださいました。

    科学が育てる“人間として必要な力”

    このように、疑問を持ったり、実験をしたりして科学に親しむことは、子どもの成長にとってどんな良いことがあるのでしょうか?

    でんじろう先生は、「科学には、生きていく上で必要な力を育む要素がたくさんある」と話します。

    「科学に親しんでいると、まず、何か不思議なことや問題が出てきたときに、『なぜだろう?』と思う知的好奇心が生まれます。その後、『調べてみよう』という探究心が出てきて、それでもわからないと『考えてみよう』と考察力が発揮されます。

    その後、自分でなんとか解決したいと、あれこれ工夫する中で、発見能力が磨かれたり、何度も失敗してチャレンジする忍耐力が育まれたりしていきます。このような過程を何度も繰り返していくことで、問題解決能力が伸ばされていきます。これらは、生きていく中でとても大事な能力ではないでしょうか」

    「科学体験は、決して科学者のような専門家になる人だけに必要なものではありません。

    例えば、理科的な能力が身についていれば、大人になって洗濯をした際に『どうすればこのシミが抜けるだろう?』、仕事では『この問題を解決するにはどんな方法があるかな?まずは試してみよう』などいろいろなところで活かせますよ。

    現代で、怖い伝染病が駆逐されているのは、パスツールやコッホ、北里柴三郎といった研究者たちの試行錯誤の結果。『なんで病気になるのかな?』と疑問を持ち、『どうしたら治るだろう』と工夫して、コツコツと実験の成果を積重ねたことで、ワクチンや薬が開発され、多くの人の命が救われました。理科の勉強は、身の回りに起こる問題に対処していくもの。ぜひ、楽しみながら、遊ぶように学んでほしいですね」

    子どもの疑問に答えたり、親子で一緒に実験をしたりすることで、子どもがこれからの時代を逞しく生き抜くための力を育んでいきたいですね。

    <米村でんじろう先生プロフィール>

    サイエンスプロデューサー。都立高校の教師を経て現職に。サイエンスショーの企画や演出を行なうほか、テレビ番組や書籍の監修、実験装置の開発などを手掛ける。出演テレビ番組に『でんじろうのTHE実験』(フジテレビ)、『でんじろう先生のはぴエネ!』(中京テレビ)など。主な著作に『米村でんじろうのイッキによめる!おもしろ科学』シリーズなど多数。

    取材・執筆/中山 美里
    写真/フカヤマ ノリユキ

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