子育て

子どもに平等な教育機会を。NPO法人の活動から考える「わたし」にもできることとは?


    • Facebook
    • Twitter
    • Hatena
    • Line

    日本の子どもの7人に1人は「貧困」

    子どもたちの未来のためのキーワードSDGs。これは2015年の国連総会で採択された「持続可能な開発目標」のことです。17の目標が設定されており、特に子どもの成長に関連深い目標としては「貧困」「飢餓」「保健」「教育」などが挙げられます。そんなSDGsに関連することで、日本には「貧困」や「教育格差」の問題があることをご存知でしょうか。

    とはいえ、「日本には義務教育で9年間も教育を受ける機会があるはずで、高校への進学率も非常に高いのでは?」と疑問に思う方もいると思います。

    しかし日本の子どもの貧困率は2015年で13.9%で、この数字は子どもの7人に1人は貧困状態にあることを意味します。さらにこれを一人親世帯に限ってみると、50.8%という高さに。(厚生労働省『平成28年 国民生活基礎調査』より)

    そして、これが教育格差を生む要因の一つになっているのです。「教育格差を終わらせる。」という目標を掲げ、この問題の解決に取り組むNPO法人「Learning for All(以下LFA)」。その広報担当の石神駿一さんは言います。

    「貧困による教育機会の格差は将来の選択肢を狭め、所得格差を生みます。つまり貧困は次世代に連鎖していくのです。こうした格差の連鎖と固定化を放置することは、例えば、本来なら一定の所得を得て、消費や納税などで社会の発展に貢献できたはずの人材を失うことも意味します。そしてそれは社会保障費の負担増につながるなど、誰にとってもマイナスの結果しか生み出さないと考えています」

    義務教育があっても学ぶ機会は平等ではない

    「教育格差の話で言えば、日本は小中学校が義務教育ですし、多くの人が高校進学もしています。そのため、正直ピンとこない人も多いかもしれません。でも、当たり前に行くと思われている高校でさえ、家庭環境によって大きな違いがあるのです。また、家庭の経済状況は、学年が上がるにつれ学力差を生むことも調査によって明らかになっています。塾に通わせる余裕や落ち着いて勉強できる環境がないこと、そして低年齢のうちに家庭で培われる生活習慣や基礎的な学力不足などの影響が示唆されているといえるでしょう」

    一人ひとりが当事者意識を持つべき社会の問題。では私たちに何ができるのでしょうか。LFAの活動詳細を通してそれを考えていきましょう。

    教育面で地域・学校と連携するNPO法人の活動

    NPO法人LFAは、学習や生活面、発達に困難を抱えた子どもたちが、自立するために必要な力をつけるために、「質の高い学習機会・育ちの場」の提供に取り組んでいます。

    石神さんによると、学習支援事業では地域・学校と協力して公民館や学内に「学習支援教室」を設置。自治体のケースワーカーや教育委員会と連携して生徒を紹介してもらうことで、本当に学習支援が必要な子どもたちを対象に、放課後や土日の時間帯を使って、子どもたち一人ひとりと向き合って勉強を教えていると言います。教師はLFAで30時間以上の厳しい研修を受けた大学生ボランティアが担当しています。

    地域連携型/生活保護世帯を担当する地域のケースワーカーからの紹介で、子どもたちを公民館などに集めて学習を支援します。

    学校連携型/対象となり得る子どもたちの多い学校と連携し、学校内(空き教室・体育館など)に教室を設置して学習を支援します。

    「LFAは単なる進学目的の塾とは異なり、これまで成績がふるわず、また家庭でもあまり認められないなど自己否定に陥っていた子どもたちに、『やればできる』という自己肯定感を持たせ、自分自身で将来の可能性を拡げる力を養うことも重視しています。このためLFAの教師は子ども一人ひとりの異なる状況や課題に寄り添って指導し、教えるテキストも生徒ごとにオリジナルの内容を用意しています。また、本人が自立して生きられるように、生活習慣の改善にまで踏み込んだ指導も行なっています」(石神さん。以下同)

    加えて指導に対するフィードバックを行なう学生スタッフも各学習支援教室に配置し、振り返りを徹底し、授業のやり方や教材を改善する努力を続けているとのこと。

    「また研修の内容は動画コンテンツとしてオンライン化してあり、LFAの教師は自宅でも内容を確認できます。これらのコンテンツを日本各地で学習支援に携わるさまざまな団体にも利用してもらい、全国で学習支援の質の向上に役立ててもらう『学習支援ナレッジ展開』も進めています」

    LFAの学習支援ナレッジ展開は「大和証券グループ 輝く未来へ こども応援基金」第1回(2017年度)、第2回(2018年度)の支援を受けており、今後は新たなe-Learningコンテンツの追加、導入団体へのフォローアップなどを進める予定だそうです。

    社会的孤立をなくし、誰もが自分事として貧困の解消を考える社会に

    ただ、これまでの活動を通じて、石神さんは「貧困は経済的困窮だけが原因ではない」との思いがLFA全体で強まっていると指摘します。

    「子どもたちの過ごす世界が自分の親や貧困層の世帯だけで閉じ、多様な人々との接点を失った社会的孤立状態にあることを私たちは問題視しています。孤立によって社会には多様な将来の選択肢があることをイメージできず、そこに学習環境や愛着形成の機会に恵まれないといった要因が複合的に積み重なることが、貧困の連鎖に強く影響していると考えるからです。LFAで大学生が教師役を務めるのは、子どもたちが少し年上の大学生と接する中で、新たなロールモデルを見つける機会になればといった観点も含まれています」

    このような孤立を少しでも解消するには、貧困の子どもたちの周囲にいる友人や家族、地域社会など、身近なところから支援を差し伸べる必要もあると石神さんは言います。

    「直接的な支援以外に、NPO法人への寄付などでもいいでしょう。特に私たちLFAは1人の賛同者から1億円の寄付をいただくより、1億人の賛同者から1円ずついただくことに意義を感じています。現在の日本の貧困はすぐに命を失う可能性が低いためか、多くの人がこの問題から何となく目をそらしがちです。そこで寄付の呼びかけなども含めた積極的な情報発信によって、改めて貧困や格差の問題を意識してもらい、これらを他人事ではなく自分事にしてもらいたいと考えているのです」

    その意味で国連によるSDGsという目標設定は、貧困や格差の問題を自分事にする大きな意味を持つと石神さんは期待しています。

    「SDGsによって、日本も含め世界には貧困や格差、環境保護や都市環境の整備といった多様な問題があることが明確になりました。この目標は、2030年のゴールを目指して私たち一人ひとりがその解決を考え、実行するきっかけになるはずです」

    一人ひとりにできること。LFAのホームページには下記のようなことが書かれています。

    • 子どもの貧困は私たち全員の問題だという当事者意識を持つこと
    • ニュースやブログを読んで課題をシェアすること
    • 子どもたちの問題に取り組む団体のサポーターになること

    自分たちの子どもも含め、これからの社会を担っていく子どもたちの7人に1人が、平等な教育機会がないことで多様な可能性を奪われてしまう。そんな日本の現状に歯止めをかけ、未来のために「わたし」にもできること、今から始めてみませんか。

    取材・文:SODATTE編集部

    <関連記事>

    「SDGs」をもとに行動すれば世界は変わる!国連採択の目標を第一人者の蟹江教授に聞きました

    業界を変えたベンチャー企業社長が考える、「子育ての原則」と「子ども達の未来」

    <関連サイト>

    世界インパクト投資ファンド

    社会課題解決応援ファンド (愛称)笑顔のかけはし

    わたしの未来へつみたて投資。

    <関連キーワード>


      RECOMMENDED この記事を読んでいる方へのオススメ

      カテゴリーごとの記事をみる


      TOP

      SODATTEアンケート