子どもの才能を伸ばすには、家族のコミュニケーションがポイント?
我が子にはどんな才能があるのだろう。プロにはなれなくても心豊かな人生を送ってほしい。そのためには親はどうするべきなのでしょうか。
今回お話を伺ったよしおかゆうみさんは、ゴルフのトッププロ石川遼選手をはじめ、プロを目指すジュニアを指導する吉岡徹治監督の妻として、また心理カウンセラーとして、ジュニアやその家族と身近に接し、サポートを続けています。
8歳までは好奇心の赴くままにたっぷり遊ばせる
よしおかさんは、子どもの才能を開花させるために必要なのは、8歳までは好奇心の赴くままにたくさん遊ばせることといいます。
「音楽や芸事、スポーツなど2~3歳のころから始めたほうがいいものもありますから、小さい時期から習いごとをさせることを否定はしませんが」と前置きをした上で「遊びが少なかった子は、失敗を怖れて挑む勇気が持てなかったり、一定以上のレベルから先に伸びるために必要な創造性が乏しかったりしがちです」とよしおかさん。トップレベルの選手は、低学年のうちにたくさんの遊びを経験しているそうです。
「遊び」には、かっちりと決められたプログラムはなく「なんだろう?」と興味をもったことを自分からやってみて、ワクワクと夢中になるような体験。その繰り返しの中で創造力は育まれるといいます。
場の雰囲気が良いところを選ぶ
そんな「遊び」は、昔であれば「原っぱで1日遊んでこい」の一言ですみました。しかし今の世の中にそういった環境はありませんから、異年齢交流ができるコミュニティや習い事を探すこととなります。場探しのポイントはなんでしょうか。
「その中で人と人とが醸し出す雰囲気をよく見ましょう。技術云々よりも子どもに人として良い影響を与えてくれるかどうか、しっかりと確かめて決めること。その道のプロになれる子はほんのひとにぎりですが、雰囲気のよいところである程度上達した特技とそこで得た経験は、その後の人生を豊かなものにしてくれるはずですよ」(よしおかさん)。
やめるか続けるかは、子どもが決める
しかし、本来好きであったはずの習い事を大嫌いになってやめる例があります。大嫌いになるのか、その後の人生を豊かなものにしてくれるのか、その分岐点はどこにあるのでしょうか。
「多くは、親の想いの押し付けです」とよしおかさんはきっぱり。
過干渉であったり、親の夢を子どもに押し付けていると必ずどこかで無理が生じます。親の想いを背負いきれず、やめるときにはそれが大嫌いになってしまうといいます。もったいないですね。
また、習い事をやめたいという子どもに「あなたがやるって言って始めたんでしょう?だからやめてはいけない」と親は言いがちです。しかしそれは違うとよしおかさん。
「やってみなければわからないのは当たり前。すべて習い事はおためしだと思ってください。何らかの工夫をしてもやる気が出ないようなら、もう十分満足したと判断してやめればよいのです。むしろ『やめたい』と言えるような親子関係でなければいけません」。
経済的なサポートは、無理をしすぎない
逆に、もっと上を目指して続けたいと子どもに言われたときに親が直面するのは経済的な問題です。これについてはどのように考えていけばよいのでしょうか。ゴルフの場合を例に取ってみます。
よしおかさんは「まずは親が無理をせず、しっかり生活を守ること」といいます。当たり前のようですが、レベルが上がるにつれ、継続するだけでも莫大な経済的な負担がかかります。ゴルフで言えば、試合に出るための参加費、宿泊代、交通費、用具類にかかる費用など。ジュニアの場合は試合に遠征する時には親もついていかなければいけません。親が子どもについてまわっているうちに親の仕事が成り立たなくなったりしては元も子もありません。
親が収入をすべてつぎ込んだ上で、子どもがいつまでたってもプロテストに合格せず、すねをかじられ続けるという例も悲惨です。親の老後も子どもの人生も、誰も保証してくれません。
定期的に経済計画を見直し、家計を工夫する
どれだけ、経済的なサポートができるのか、金額や期間は家庭によって異なりますが、お金持ちが得をするということは決してありません。いつまでもダラダラと湯水のごとく経済的なサポートを続けても、それで上手くなるということはないからです。
「家庭の状況を見据えて図にし、定期的に家族で見直すことがとても大事」と、よしおかさんは言います。「食事のついでに話すのではなく、『今日は大事な話をしよう』と子どもにしっかり向き合う時間を定期的にとるのです」。
よしおかさんは「子どもはお腹で話を聞く」という表現をしました。親子で対等な立場になり、子どもの意見を尊重する態度を忘れなければ、子どもは本心を語ります。
たとえば「10個の大会に出場するのは、経済的な面でむずかしい。3つ選ぶとしたらどの大会に出たい?」など、より目標を絞ることで、本人もよりモチベーションがあがるでしょう。
また「家は狭くなるけれど、ゴルフ場の近くに引っ越してなるべく安く練習させてもらえるように交渉してみようか」と、支出を減らすアイデアも生まれてくるでしょう。
進路を決める時期には、子ども自身に覚悟や見通しをもたせましょう。「○歳までは金銭的にサポートしよう。それでプロになれなかったら諦めて違う道に進むか、自力で切り拓くかだ」という言い方でもいいでしょう。
どの家庭にも通用する「家族会議」の重要性
NGなのは「こんなにお金をかけてやっているのに、なぜ成績があがらないんだ」と恩着せがましい言い方をすることです。
定期的に会議をするというこの方法は、何もプロを目指す子どもに有効なばかりではありません。習い事をやりすぎていないか、他の兄弟が振り回されていないか、すべての家庭のすべての問題に使えそうですね。
「今、いろいろ習っているけれど少し疲れていない?少し習い事を減らしてみようか。減らすとすれば、何をやめる?」と聞けば
「これはあまり楽しくないからやめようかな。こっちは続けたい」と答える子ども。
「やめたい理由は、ほかにあるのかな?」
そんな会話から、違う本音を引き出すこともできるのです。家の状況も子どもの状況も常に変化しますから、定期的に家庭の地図を広げ、状況と進むべき道を確認していきましょう。「子どもが本音を言える場をつくることが大切」とよしおかさんは繰り返し語りました。
8つのポケットを活用する
また、プロを目指すためにはお金が必要ですが、現代は6つのポケットから8つのポケットまであると言われています。両親ばかりでなく、祖父母、ひいてはおじ・おばのポケット(財布)まで頼りにせざるを得ない状況も実際にはあるようです。
現在祖父母からの贈与は、教育資金口座開設などの一定の条件を満たすと1500万円までは非課税です。使い切らなければその分に税金がかかるということですから、思わずポケットの数を数えて、我が子の可能性とを両天秤にかけ、こっそり皮算用をしてしまう親も多いのかもしれません。
<取材協力>
よしおかゆうみ
専門は乳幼児保育、児童・発達心理学。長年幼児教育に携わる傍ら、乳幼児期と思春期~青年期との連続性、自己表現と友達関係の発達など、実践研究に取り組む。
一般社団法人アジアジュニアゴルフ協会、AJGAメンタルスクール 主宰/カウンセラー/講師
文:ライター 宗像陽子
<参考(国税庁サイト)> 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
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