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ママのスタイルは十人十色#5「出産、起業、地方移住……めまぐるしい変化の中で見つけた、自分のワークライフスタイル


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    赤ちゃんが生まれる、新しい家族の形がはじまる……。これまで暮らしてきた生活に“子ども”という存在が加わると、世界の見え方がびっくりするほど変わってきます。見えなかったこと、気づかなかったことが、どんどん現れて驚くばかり。自ずと、生き方だって変わってきます。読者の皆さまにも、出産を機に人生が大きく変わった経験を持つ方がいらっしゃるかもしれませんね。今回は、産後間もない時期に、ママ友と出会えて交流ができる『Fiika(フィーカ)』を立ち上げた森屋千絵さんにお話を聞きました。

    これまで良いと信じていたことは、思い込みだったのかもしれない……

    大学を卒業後、外資系企業を3社経験し、営業職や貿易トレーダーとしてまさにバリバリと働くキャリアウーマンだった森屋千絵さん。便利な都心に住むことが幸せのかたちだと疑うことはありませんでした。

    しかし、子どもが生まれ、これまで持っていた生活観や仕事観が揺らぐようになったそう。

    「2020年夏まで目黒区に住んでいました。どこに行くにも出やすくて、すごく便利な場所です。私は、そういうところで過ごすのが好きだと思っていたんですよね。でも、コロナの影響で保育園が休園になり、伊豆にいる親族に子どもを見てもらうために二拠点生活をするようになって気持ちに変化が起きました。

    伊豆で二拠点生活を始めると、豊かな自然に囲まれた広い公園など、子どもを育てていく上でのびのびと過ごせる環境であることに気づきました。東京にいるとどうしても公園が混んでいたり、マンション住まいのため足音が気になったりしますよね。

    子どもが喜びそうなイベントや知育学習に良さそうな展覧会に行ったとしても、『今日は楽しかったね。何が1番楽しかった?』と聞いてみると、案外、河原でハトを追いかけたり、公園でどろんこ遊びをしたという他愛もないことだったりします。

    小さな子どもを育てるという視点で見てみると、都心よりも郊外のほうがいいのかもしれないと思い、引っ越しという選択肢を考えるようになりました」

    リモートワークやワーケーションといった働き方が定着しつつあることも背中を押す一因となり、2020年の夏に森屋さん一家は静岡県の伊豆に移住しました。

    起業家の人生って楽しそう 憧れを持ちつつ実行できなかった独身時代

    移住するとなると、気になるのは仕事のことです。森屋さん一家は、どのように対応したのでしょうか。

    実は、移住から遡ること約2年。森屋さんは出産直後に会社を立ち上げ、ママ友マッチングアプリ『Fiika』のリリースを行ないました。

    それにしても、赤ちゃんが生まれて慌ただしい生活が始まったばかりのタイミングで、なぜ独立準備を始めたのでしょう?

    「大学卒業後、OBOGが集まる機会があったのですが、起業された方が楽しそうな人生を送っていたんです。そのときから、『いつか起業したい』と憧れを持つようになりました。けれども、本を読んで勉強をしても実践には結びつかなくて……。どんなことができるのかなと考えるばかりでした。ところが、出産をしてみたら、保活から始まり、気が合うママ友が見つからなかったり、育児に必要な情報をうまく拾えなかったり……とさまざまな課題があることに気づいたんです。そんな問題を解決したいと思い、『Fiika』のアイディアが生まれました」

    「産後に児童館に行った際、同じ月齢の子どもを持つママが少なくて育児の相談をしづらい。仲良くなれそうなママがいても、私は正社員で復職を考えているけど、向こうは専業主婦で2人目を考えていて話が合わない……そんなことが度々ありました。これから復職するママが励ましあったり、お互いに相談しながら高め合えるような関係づくりができたりしたらいいなと思い、サービスを立ち上げようと決めました」

    また、復職しいざ会社に戻ってみると、さらなる課題が見つかりました。

    「同じ部署に子どものいる共働き女性がいなかったことや、制度や受け入れ態勢が整っていなかったこともあり、働きづらさを感じることが多かったです」

    育児と2つの仕事の両立が困難になっていき、森屋さんはそれまでの勤め先を退職することにしました。そして保育園が休園になったり、リモートワークが推進されるなど、生活スタイルにも大きな変化が起きていきます。起業したことで会社に縛られずに働ける環境も手にしていたこともあり、移住という選択を自然にとることができたのです。

    森屋さんが考える、仕事と子育ての理想のスタイルとは?

    働く場所は会社に縛られない、業務内容も自分で決められる……それは理想の仕事のスタイルに近いと森屋さんはいいます。その中で、仕事と育児を両立するために、気をつけていることを聞いてみました。

    「子育てしているとフルタイムで働いていても、やはり仕事時間は短くなりがちです。そのため、集中できる時間と場所を確保することを意識しています。例えば掃除、洗濯、食器洗いといった家事はスマート家電を活用し、時間を節約しています。また、子どもも3歳になりお手伝いができるようになってきたので、掃除は一緒にやって親子の時間にするなど工夫をしています」

    また、子育てに関してはその時々で理想が変わってくるという森屋さん。

    「コロナ禍前に仕事で香港や中国に行った際に、現地で働くエネルギッシュなお母さんたちのパワーに驚き、家族でシンガポールに旅行をした際には、3歳くらいで3カ国語を当たり前のように話す子どもたちを多く見ました。知人の結婚式でも、世界のさまざまな国で生活した経験がある方のお話を伺いました。

    グローバル化が進む昨今、様々な国籍の方と一緒に働くことや、海外で生活することなどは、珍しいことではなくなってきていると思います。

    そんな社会を生きていく上で英語は必須です。どうやったら早く英語を覚えられるのかと考えたときに、とりあえずできることをやっていこうと家庭での会話を英語にすることにしたんです。今、子どもは保育園ではお友達や先生と日本語を話し、家では英語を使っています」

    英語育児を実践していることもあり、経営者として「日本にいなくても大丈夫」と判断できたら、いつかは海外に住みたいと考えているそうです。

    「いつになるかはわからないですが、どこかの時点で多様性に触れる環境で生活したいなと思っています」

    共に助け合う戦友のような存在、そんなママ友と出会える世の中を目指して

    仕事も育児も、理想に近い環境をご自分の手で切り開いてきた森屋さん。もちろん、他のママと同じように悩んだことも多くありました。

    「ワーママって、世の中では増えているといわれていますが、働き方はさまざま。育児のスタイルもさまざまです。お互いに分かり合いたくて話していても、共感してもらえずに寂しくなってしまうことってありますよね。特に、育児をしていると、視野も活動範囲も狭くなりがちです」

    特に育休中は、赤ちゃんと2人きりで過ごす時間も長く、すべての行動が赤ちゃん中心です。自分の時間、精神的余裕、育児以外のことをする体力がなくなっていき、なんとなく孤独、不安、戸惑いを抱えてしまう……。

    「育児をしていく中で、助けて欲しいときは助けてと言える、1人でやるのではなく助け合う……そんな風であるといいですよね。それに戦友がいるとすごく心強いもの。日本でも、女性が繋がって切磋琢磨しあうことは大切なことだと思っています」

    世の中では、“ママ友”というと「子どもを介したおつきあい」であり、学生時代の友人のような、心を許せる存在にはなりにくいと思っている方もいるかもしれません。でもそれは関係性次第。きっと、分かり合える相手はママになってからも見つかるはず。

    「ママ友はリアルの場で見つけてもいいし、アプリを使うのも安心で便利な方法。だから、一歩踏み出してみてください」

    かつて、森屋さんはママ友を作りたいと思い、マンションのフリースペースで子育て中のファミリーが集う会を開催しました。その中の何人かとは、食事を一緒にして保活の情報交換をするなど、家族ぐるみの良いおつきあいに発展したそう。

    いつもと違うことをしたり、いつもと違う場所に行ったりすると、きっと視野も広がって、新たな発見があると思いますよ」

    ママのスタイルは十人十色 森屋千絵さんの色は白

    「ライフステージにおいて、興味があることや楽しいことは変わっていきます。その時々で、白いキャンバスにいろんな色で絵を描けたらいいよねと意味を込めて、自分の会社に株式会社クレヨンという名前をつけました。変化に柔軟に対応しながら生きていく中では、人生を彩る色が変わっていきます。これからも、いつでも白の上にいろんな色を塗っていけたらいいなと思います」

    (取材・執筆/中山美里)

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