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Withコロナ時代の転職事情「変化の激しい現代、自分らしいキャリアを築き続けるには?」


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    新型コロナウイルスの影響によって、社会や個人を取り巻く状況が大きく変化している昨今。これを機に、自分のキャリアを見つめ直している人も少なくないのではないでしょうか?そこで、キャリアコンサルタントの土屋美乃さんに、Withコロナ時代の転職事情やキャリア形成についてお聞きしました。

    今、求人市場はどう変化している?

    テレワークなど働き方改革の急速な普及や、新型コロナウイルスによる経済への打撃など、今は「働くこと」にまつわる変化がめまぐるしい時期。

    「自分らしいキャリアの実現」を支援するエスキャリアの代表・土屋美乃さんのもとにも、相談が増えているとのこと。

    「今、完全失業率は2020年2月から上昇傾向にある(※1)一方で、有効求人倍率は今年に入って低下し続けている(※2)という現実があります。

    実際に私たちの元にも、勤務先との契約更新がされなかったなどの悩みを持って相談にいらっしゃる方は増えていますね。

    ただ実は、就職・転職の市場に長年関わってきた立場からすると、やっときたか、という感覚なんです。というのも、2008年に起きたリーマンショックからの回復以降、日本では有効求人倍率が高水準の状態が長く続いていました。景気の変動と共に求人状況は7~8年周期で波を打つと言われており、いい時もあれば悪い時もあるもの。2015~16年頃から、そろそろ低下しはじめるのではないかと言われていたんです」

    ※1総務省統計局「労働力調査 2020年令和2年7月分」
    ※2 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和2年8月分)について」

    つまり、仮に新型コロナウイルスの流行がなかったとしても、何らかの形で経済や雇用の悪化が起こる可能性はあったということ。とはいえ、いま現在不安を抱えている方は、「現実的にどう立ち向かえばいいの?」と疑問が浮かびます。しかし、過度な心配はしなくて大丈夫、と土屋さんは話します。

    「求人市場は低下してきていますが、この状態は一過性のものだと考えています。いずれ元に戻りますし、そもそも採用自体がゼロになるわけではありません。大手の企業で大規模なリストラが行なわれる事例もありますが、逆に、ここぞと中途採用に力を入れている企業もあります」

    市場全体の求人数が減少しているため、今は買い手市場。余力がある企業ほど良い人材の採用に積極的であるという一面もあるとのことです。

    とはいえ、全体的に厳しい傾向にあるのも事実。

    変化の激しい現代の雇用環境の中で、どのようにキャリア形成をしていくと良いのでしょうか。よくある相談ケースと、土屋さんからのアドバイスを見ていきましょう。

    【ケース①】
    テレワークを行なっている会社が多い中、勤務先はそういった体制ができておらず、社会の変化に対応できていないと感じます。不満や不信感が溜まってきているのですが、転職した方が良いでしょうか?

    「アナログな会社なのでほぼ毎日出社しています」という声を、相談の際にとても多く聞きます。でも、どこに勤めていようと隣の芝生は青く見えるもの。

    「なぜ転職したくなってしまっているのか」「ストレスが溢れてしまっているのか」理由を見つけ出すことが先決です。

    その上で、自分の人生において大切なこと、優先順位を見つめ直してみましょう。

    また、人は欠けている部分に目がいく性質を持っています。不満が溜まった時は敢えて、勤め先の良いところ、恵まれているところをピックアップしてノートなどに書き出してみるのもオススメです。案外欠点はごく一部で、良いことの方が多いかもしれませんよ。

    さて、ここである方のケースをご紹介しましょう。ある企業に10年以上勤めてきた方が、ベテランになり業務量が増え、それが負担になったと相談に来たことがありました。「中堅に仕事を押し付ける組織の文化が嫌い」「この会社に未来はない」とはじめのうちは仰っていたのですが、よくよくお話を聞いていくと、コロナの影響や多忙により趣味を続けられなくなったことがストレスになっていることがわかりました。

    責任感が強く真面目な人は、仕事を一番に考えてしまう傾向があるんですよね。そのため、人生を仕事から優先に考えるのではなく、趣味から考えることも選択肢の1つであるという話をしました。例えば、サーフィンが好きな人は海の近くに住んで、そこから通える範囲で勤務先を選んだりしますよね。

    そういう人生もあると紹介したところ、「10年以上やってきて、仕事自体は嫌ではないし、勤務先も総合的に考えれば悪くない。趣味を再開して、配置転換の希望も視野に入れる」という結論になりました。

    もちろん、昨今は働き方改革もあり、ICTを活用したテレワークの実施が求められていることは確かです。ただ、その波に乗れていないことが、転職する理由になるほど優先順位の高いことなのかどうか、自分の今のモヤモヤは本当にそのことが原因なのか、慎重に考えた方が良いでしょう。

    【ケース②】
    コロナの影響もあり同僚が何人も退職し、その分の業務もかさんで心身ともに限界です。でも、今のご時世で転職先がすぐに見つかるとは思えないし、忙しくて転職活動にあてられる時間も多くありません。どうしたら良いでしょうか?

    転職の相談に来る方を見ていると、「次の仕事を見つけないと、辞めてはいけない」と思い込んでいる人が多いことに気づかされます。もちろん、退職したら貯金もないし暮らしていけないというケースでは、間を空けないことが必要です。一方で、夫婦共働き家庭や、ある程度の貯蓄があるなど、転職を急がなくてもいい場合は、まずは退職をして一度お休みすることを勧めることもあります。

    つまり、状況を整えてから自分自身にゆとりを持った状態で転職先を探すのです。

    この場合、お休み中には学び直しをしたり、周囲にキャリアの相談をしたりすることもできますね。人生の中で、数カ月休んでも挽回できますよ。

    このような転職の場合だけでなく、女性はライフイベントでキャリアを中断せざるを得ないこともあります。それでも、しっかり一度キャリアを築いた方なら、数年でも感覚を取り戻せています。それをキャリアのブランクと捉えるのではなく、キャリアの節目に必要な休暇(キャリアブレイク)としてポジティブに捉えてみてください。自分の人生ですから、自分の身体や心をいたわることも大切です。

    【ケース③】
    コロナの流行前に、すぐに転職するつもりで会社を辞めました。しかし、退職後に流行が拡大して転職先がなかなか決まりません。転職で成功するにはどうしたら良いのでしょうか?

    まず、転職市場が低迷している時期は量で勝負するしかありません。さらに、今の時期は時間がかかっても仕方ないと割り切ることも必要です。採用側も厳しい状況をわかっていますから、多少離職期間があっても理解してくれます。

    キャリアを自分らしく築いていくためには、自分の持ち味を知ることが大切です。私が代表を務めるエスキャリアでは、ストレングスファインダー®という強みを見つける診断ツール等を使っていますが、自分自身を知ることができる方法はたくさんあり、今ではネットで無料診断もできます。自分一人で考え込むのではなく、そういったツールを使ったり、キャリアコンサルタントやキャリアカウンセラーなどの専門家に相談したりして、客観的に自分の長所や立ち位置を見つけていくと良いでしょう。

    また、企業が準備してくれた研修ではなく、自分自身で学び直しを選択できるようであれば一層良いですね。

    これからの社会では何を求められているかということと、自分ができることの接点を探りながら、自分で手を打っていける人は企業からも求められる人材です。この学び直しの方向性を決めていくためにも、普段から興味関心の方向や自分の強みを知っておくと良いでしょう。

    その際に、1つ知っておいて欲しいことがあります。学び直しやキャリアチェンジは、キャリア形成において一時停止してしまったように感じたり、時にはキャリアダウンのようにも感じたりするものです。新しいことを学んだり、やったことのない業務をしたりすると、作業能率が落ちたり自信を失ったりすることもあります。でも、それは次のステージに移り飛躍するために必要なこと。恐れずに、思い切って学び直しや新しいチャレンジをしていきましょう。

    自分の人生を自分のものとして、選択しながら動いていける自立的・自発的な人なら、必ず良い転職をすることができますよ。

    3つの「あ」で自分らしいキャリア+人生を手に入れて!

    「子育てをしながら働いている人は、家事も育児も仕事も、必死で頑張っているという場合が多いです。そんな方にはどうか『頑張りすぎないで』『無理しないで』と伝えたい思いで相談事業を運営しています」

    今がうまくいっていなくても、不遇だと感じていても、それはWithコロナという時代による部分が少なからずあるのではないでしょうか。突如、流行したこの病によって、フラストレーションを抱え、ストレスを溜めている方に、3つの「あ」を覚えておいて欲しいと土屋さんは言います。

    「3つの『あ』とは、『焦らず・慌てず・でも諦めず』。これからは、100年キャリアと言われる時代です。長い人生の中では暗闇を歩んでいるように感じる時期もあるかもしれませんが、全ての経験には必ず人生にとって意味やメッセージがあり、それが自分らしさを形づくっていきます。人生のキャンバスに、自分らしい色を選びながら、じっくりと自由な絵を描いてくださいね」

    人生の中で様々な色の時期を経て、ふと振り返ってみたら、自分らしい色彩豊かな絵になっていた……そんな時には不遇な時代が良い下地になったと笑顔で思い出せるのではないでしょうか。

    <プロフィール>
    土屋美乃さん

    国家資格キャリアコンサルタント、女性のためのキャリア支援を行なう株式会社エスキャリア代表取締役。大学卒業後、人材紹介を手掛けるリクルートエージェントを経て、キャリアカウンセラーとして独立。キャリアに関するカウンセリングだけでなく、転職支援サービスや人材育成など、女性のキャリアをトータルで考えサポートしている。

    取材・執筆/中山美里

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