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「夢を育てよ」#3 30歳から雑誌「VERY」専属モデルへ。クリス-ウェブ 佳子さんに聞く、人生を「しなやかに美しく」生きる力を育むもの


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    「夢を育てよ~素敵なあの人に聞いた、夢と備えの話~」。シリーズ第3回は雑誌「VERY」専属モデルやラジオDJ、コラムニストとしても活躍するクリス-ウェブ 佳子さん。12年前、28歳の時に公園で2人の娘と遊んでいたところを編集者に”発掘”され、読者モデルへ。その2年後には人気雑誌「VERY」の専属モデルとなり、どんどん活躍の場を広げ続けています。もともと結婚前にファッション業界で仕事をしていたとはいえ、専業主婦として子育てに専念していた日常から、自分がカメラの前に立ってフラッシュやスポットライトを浴びる華やかな世界へと大転身。そんな劇的な変化を乗り越えさせてくれたのは、「任せてくれた人の期待に応えたい」というプロ意識と、何よりも家族の存在だったと佳子さんは語ります。モデルデビューから10年目、娘さんたちはもうティーンエイジャーになり、ご自身は離婚も経験するなど、目まぐるしく駆け抜けてきたこれまで。その当時はまだ珍しかったキャリアウーマンのお母様に育てられた佳子さんの仕事観や子育て観、そして夢を実現するための時間やお金の使い方など、「これまで」と「これから」をたっぷりうかがいました。

    クリス-ウェブ 佳子さんプロフィール

    モデル・コラムニスト。
    1979年10月、島根生まれ、大阪育ち。
    4年半にわたるニューヨーク生活や国際結婚により、インターナショナルな交友関係を持つ。バイヤー、PRなど幅広い職業経験で培われた独自のセンスが話題となり、2011年より雑誌「VERY」専属モデルに。
    ストレートな物言いと広い見識で、トークショーやイベント、空間・商品プロデュースの分野でも才覚を発揮する。2017年にはエッセイ集「考える女」(光文社刊)、2018年にはトラベル本「TRIP with KIDS ―こありっぷ―」(講談社刊)を発行。

    28歳で運命の出会い、予期しないことが仕事になっていった

    『VERY』の誌面でずっと拝見してきた、あの知的で弾けるような笑顔。朝イチの撮影とインタビューにもかかわらず、クリス-ウェブ 佳子さんはそこに立つだけで周囲をパッと明るくする光を放っていました。同世代女性にとって憧れの生活を謳歌しているように見える彼女ですが、エッセイでは「モデル業は決してずっと目指していた夢というわけではなかった」と書いています。

    「18歳の時に大学を休学して単身ニューヨークへ渡り、4年半を過ごしました。それから日本に戻り、ファッションビジネスに携わりたいとの思いで、アパレル会社にアタッシュ・ドゥ・プレス(広報)として入社。裏方の自分が、まさかカメラの前に立つとはその当時思ってもいませんでした」

    25歳で長女、続いて翌年に次女を出産。そして転機は28歳の時、2人の娘さんと公園で遊んでいた時のこと。「光文社の編集者の方に声をかけていただき、読者モデルとして誌面に出るようになりました。すると2年後に、今度は専属モデルにならないかとのお話をいただいたんです」。当時は知人の紹介でPR会社に転職をしようかと考えていたという佳子さんですが、「人に与えられた役を演じ、託されるのもいいのかも」と30歳で本格的にモデル業をスタート。

    「モデルとしてはいわゆる”賞味期限”も見えていながらのスタートでした。だからこそ、マネージャーさんが『早くあなたという人間を知ってもらうために』とブログ執筆を勧めてくれたんです。書き始めてみたら多くの反響をいただき、トークショーやラジオ、コラム、インテリアや不動産……自分の「好き」を発信していくことで予期していなかったことが次々と仕事になっていきました」

    もはや”クリス-ウェブ 佳子”というお仕事、そして生き方を実現しているのだと感じさせられますが、佳子さんの魅力は、もともと裏方側でお仕事をされていたプロ意識から、そんなご自身をしっかり俯瞰しているところにも表れています。

    「仕事は一人ではコンプリートできないものが多いので、チームワークを大切にしています。最近は『この人と仕事をしたい!』という気持ちと、そのためにはどうしたらいいかを考えるのが大きなモチベーションです」

    と語る佳子さんからは、大人になったご自身を心から謳歌し、本当にお仕事が好きで楽しんでいること、そして何より”人”をすごく大切にしていることが伝わってきます。

    母58歳の時に初めて2人でランチ。働く両親を見て育ったからこそ大切にしてきたこと

    そんな佳子さんの仕事観や子育て観、そして人生観には、ご両親の強い影響があるのだそう。

    「母はキャリアウーマンで、生後3カ月の時に私を保育園に預けて仕事復帰。父は建築士で、当時NPOで学童保育の立ち上げも行なっていたので、放課後はよくそこで過ごしました」

    今の時代からすれば珍しくない共働きですが、当時は先進的な家庭だったのではないでしょうか。幼い頃の佳子さんはお母様への複雑な思いがあったと言います。

    「子ども心に、もしかして母は家族より仕事のほうが好きなのかもしれないと思っていました。思春期の子どもによくあることですが、その気持ちを母本人には伝えられず、自分の殻に閉じこもってしまったようなこともあったんです」。そのお母様とストレートに話ができたと感じたのは、佳子さんが大人になってから。歳を重ねてなお忙しくしているお父様や、2人目を出産した妹さんのことなど、家族のサポートをするために退職したお母様と、初めて渋谷でランチをした時だと言います。なぜあんなに仕事をしていたのか、それは家計が理由だったのかと尋ねた佳子さんに、お母様は「仕事が好きだったから」と答えられたそうです。のちに佳子さんはエッセイの中で、「母の気持ちにもっと寄り添えばよかった」と書いています。

    佳子さんが大切にしてきたこと、それはかつてのお母様との関係を反面教師として佳子さん自身が戒めてきた「働く母親」としての姿。

    「旅の仕事をしていた時、長女の中学最初の運動会に出られなくなってしまい、いつもは冷静な長女が『ママは仕事のほうが大事なんでしょ!』と感情を爆発させたんです。私も同じことを母に言いたかったのに言えなかった。見方を変えれば、母が私にできなかった弁明のチャンスを娘がくれたんだと思えて。私は『弁明の機会をくれてありがとう』と、自分の気持ちや考えを素直に伝えることができました。母は『子育てを見逃した』と言っていたので、私はそうならないように一時は専業主婦の道を選んだ。でも今は、家族がいるからこそ、自分が働ける、頑張ることができると思っています」

    深夜の掃除が気分転換。そして「安物買いの銭失いはしない」お金の使い方

    家庭を大事にしながらお仕事を続ける佳子さんは、一体どうやって時間をやりくりしているのでしょうか。すると「私はショートスリーパーで、動いているのが好きなんです」と納得の言葉が。「私にとっては掃除がメディテーション(瞑想)。掃除は確実に片付いていくから好きなんです。料理よりもお皿洗いのほうが大好きなくらい、片付けることが好きです」というほどのキレイ好きなんだとか。仕事から帰宅した深夜にも掃除をすることがあるため、家はいつもピカピカのようです。

    もちろん休む時はしっかり休みます。「完全にオフの日は、ベッドの上で1日過ごすことも。そんな時は、子どもたちがベッドまで朝食を運んでくれたりもするんです」

    忙しい佳子さんですが、意外にもお買い物はネットショッピングよりも実店舗派。「もちろんPCやスマホで気軽に世界のトレンドを見られるのはとても楽しいのですが、実際買う時はできるだけお店で実物を手にして、店員さんとコミュニケーションをしながら、自分の五感を使って選び、買いたいと考えています」というスタイルも特徴的です。

    そこには、お父様の影響もあるそう。「『着道楽』を自称する父からは常々『安物買いの銭失いはするな』と言われて育ちました。お休みの日には、父が母の服をデパートで見立てるところについていき、それが家族の思い出として胸に刻まれています。母親が忙しかったこともあり、父の仕事部屋で勉強したりと、父から影響を受けたことは多いですね」

    「お金について、私はラジオなどで“好き”だと公言しています。日本はお金の話を避ける風潮がありますが、もっとお金の話はオープンにしていいし、自分で正しくお金を稼いで貯めたり、本当に必要なことに使うのは、楽しいし大切なことだと思うんです」

    「クイッター(=すぐやめる人)」ではなく「次を選ぶ人」。佳子流の子育て、そして離婚

    海外経験も長く、国際結婚をしていた佳子さんの子育ては、私たちが新鮮に学べることがたくさん。インデペンデント(独立)した人間に育ってほしいと、娘さんたちは6歳で飛行機にひとりで乗ったのだとか。また、娘さんたちには人生の選択肢を広げるための経済的な自立を勧めています。そして人としての引き出しを増やすためにも、海外に連れて行った時はさまざまな世界の実情を見る体験をさせているそうです。その影響か、長女はボランティアや海外留学にも積極的に関心を持つ女性へ育ちました。

    そんな風通しのいい佳子さんのおうちは、思春期である娘さんたちの友だちが集まり、まるで”部室”のようになっているそう。「わが家には、金曜や土曜は子どもの友だちがほぼ毎週お泊りに来ています。親には言えないこともここでは言えるようで、思う存分吐き出して行ったらいいよ、という感じですね」

    さらに、「子どもには自分で習い事を選ばせます」と佳子さんは言います。なぜなら自分で選んだ物事には自分の責任が伴い、きちんと向き合うから。例えば長女は自分で選んだ塾に通い始めたのち、「塾に行くことがいいかどうかわからない」と言って自らやめたとのこと。

    「私の幼い頃は、毎日習い事漬けで嫌になってしまい、次々にやめてしまっていました。大学もニューヨークに行ってしまい中退、お仕事もさほど長続きせず、長い間クイッター(=すぐ辞める人)であることがコンプレックスだったんです。でも後に『あなたはちゃんと次の可能性を見つけてからやめている。諦めているのではなくて、次を選んで決断しているのよ』とある人に言われ、すごく救われました。そして、モデルのお仕事はもうすぐ丸10年。クイッターは卒業できたかなと感じています。子どもたちにも、自分自身の力で決断して生きてもらいたいと思っています」

    そして、佳子さんにも最近大きな決断がありました。「じっくりと5年間かけて、”幸せな離婚”ではなく”幸せに離婚”しました。離婚は結婚よりもたくさん考えるべきことがあって、勢いでできる結婚とは別物です」

    たくさん考えた結果としての”幸せに離婚”が叶って、今は節目の日には前夫と娘たちとともに食卓を囲むことがあるくらい、関係性は良好とのこと。「バツイチなんて言葉があるけれど、『バツ』っていうと何か悪いことをしたみたい。むしろ『マル』にしたらイメージも変わるかもしれないですよね(笑)」。佳子さんの体験をうかがっていると、本当にそうだと感じられます。

    よく観察し寄り添う。人を大切にする佳子さんの「これから」

    「いろんな人の影響、教えの伏線を回収してきた」と語る佳子さんの今後の夢や目標はなんでしょうか。

    「自分が人に育ててもらったので、自分も人を育てていきたいんです。後進の育成も子育ても、人を育てるという意味で等しく至高な仕事だと私は思っています」。自身のマネージャーさんたちにもたくさん情報提供などをしているそう。

    「今、とても応援したい子がいて、その子に私が教えてもらってきたことをちょっとずつ共有しています。例えば、『自分は何が得意で何がしたいか、考えて書いてみて』と伝えたら、ものすごく頑張って書いてきてくれて、すごくうれしかったんです。できることややりたいことをちゃんと棚卸しして、周りにも知ってもらい、観察してもらう。そういう風に得意なこと・やりたいことを育てていく、伸ばしていくことが重要なんだと思います」

    「子育てでも、よく観察することが大事。こうなってほしいと親の夢を託すのではなくて、子どもを一人の人間としてよく見てほしいなと思います。すると、自ずとその子が何をしたいかが見えてくるんですよね。そんなに正しく導かなきゃ、とか肩肘張らなくていいと思うんです。逆に、たまには子どもになだめてもらうとか、なぐさめてもらうとかも大事で、時々ちょっと頼りないくらいの親のほうが子どもは実は居心地良かったりするんじゃないかな」

    最後に、佳子さんならではのメッセージをいただきました。

    「自転車事故で顔をケガした時、友人に言われたんです。『よかったね。療養中は積極的に怠けていいよ!』って(笑)」

    「子育てや人生も同じ。頑張りすぎてしまう人は、積極的に『怠けることを頑張る』と考えてみるといいかもしれませんね」

    子どもや周りの人、そして自分自身を『よく観察し寄り添うこと』。この姿勢こそが、人生をしなやかに美しく生きる力を育んでいくのではないでしょうか。

    取材・執筆/河崎環 写真/山田英博

    これまでの夢や目標

    大学1年生の時に音楽と衝撃的な出会いをし、そのままニューヨークへ。帰国後はバイヤー、プレスを経験し結婚・出産。ずっと裏方だった自分がカメラの前に立つとは思っていませんでした。

    夢を実現するためにやってきたこと

    自分の「好き」を発信し続けたら、どんどん仕事の幅が広がっていきました。人との出会いを大切にして、長年の友人たちとどう素敵な仕事をするかが、今は一番のモチベーション。

    大切な時間やお金の使い方

    私にとって、掃除は無になれる、瞑想の時間のようなもの。急に思い立つと深夜でも掃除を始めてしまうほど!
    お買い物は、できるだけお店で実物を見て、店員さんと話をして、自分の五感を使って選びます。

    お子さんの可能性を伸ばすために大切にしていること

    自分で選び、責任を取ることを教えたい。まずは人生の選択肢を広げるための、経済的な自立。そして人間としての引き出しを増やすため、海外に連れて行った時はさまざまな現実を見る体験をさせています。

    これからの夢や目標

    自分が人に育ててもらったので、今度は自分が後進を育てていきたいです。
    頑張っている子たちは、とにかく応援したい!

    読者へのメッセージ

    時々ちょっと頼りないくらいの親のほうが、子どもは居心地がいいんじゃないかなと思っています。頑張りすぎちゃう人は、「積極的に怠けることを頑張る」と考えてみては?

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