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「職業人生の専門家」に聞いた、転職で失敗しないために気を付けたい「3つのこと」


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    進学、就職、結婚……。人生には様々なターニングポイントがあり、中でもとても悩むのが転職です。しかも、巷には転職に関する情報が溢れており、一体どれを信じたらいいのかわかりません。今回はベストセラー『転職の思考法』著者で「職業人生の専門家」として大活躍している北野唯我さんに「失敗しない転職の知恵」を教えてもらいます。

    転職は自由を与えてくれる

    社員は会社に「雇われている」と考えがちですが、実はそうではありません。社員は自分という商品を会社に売り、会社はその商品を買っています。いわば、雇用とは一つの取引なのです。

    会社あるいは上司ばかり見て仕事をしている人の商品力は一向に上がりません。そのため会社がなくなってしまえば、誰も取引をしてくれなくなります。逆に、会社ではなく、大きなマーケットを見て仕事をしている人の商品力は自ずと上がっていきます。もし会社が潰れてしまっても、違う企業と取引をすればいいだけの話です。

    そして、転職とは自らの商品力を大きく向上させる一つの手段なのです。もちろん転職をするにあたっては、誰もが不安を抱きます。しかし、同時に「いつでも転職できる」というカードを持つことは生き方に自由を与えてくれるものだということを理解しておきましょう。

    正しい転職は自分のマーケットバリューを理解することから

    転職を検討する前に、まずは自分の商品力、つまりマーケットバリューを測ることから始めましょう。マーケットバリューは、技術資産、人的資産、業界の生産性の3つで構成されています。そして、この3つを結んだ箱が大きいほど給与の期待値は高くなります。

    まず技術資産は、「専門性」と「経験」の2つに分けられます。専門性とは職種に近いもので、営業、マーケティング、プログラミング、デザインなどがそれにあたります。一方で、経験とは職種に紐づかない技術のことです。代表的なものは、プロジェクトリーダーなどチームを率いた経験や、商品開発など企画系の仕事です。これらを振り返るために、これまでの自分の仕事の棚卸しをするといいでしょう。

    ちなみに、専門性と経験のどちらが大事なのかは年齢によって変わってきます。平均的な企業では、20代は専門性、30代は経験を重視するといいでしょう。対して、スタートアップなどではこれが5歳は早まるイメージでしょう。専門性は誰でも学べば獲得可能ですが、経験は誰でもというわけではありません。では、どんな人が経験を獲得できるかというと、専門性のある人です。だからこそ、20代は専門性に磨きをかけて、30代はそれを生かして経験を積んでいった方がいいのです。

    次に、人的資産は、簡単に言えば人脈のことです。皆さんの周りにも、誰にでも可愛がられて、人脈だけで仕事を取ってくる人がいませんか。優秀な人ほど「あの人のためなら一肌脱ごう」といった貸し借りで動くことが意外と多いもので、人的資産は40代以降になると極めて重要になります。ただし、そういった価値を生み出すには非常に時間がかかります。ですので20代は専門性、30代は経験、40代は人脈を伸ばしていった方がいいでしょう。

    そして、マーケットバリューに一番影響を及ぼすのが、業界の生産性です。同じくらい忙しい仕事でも、ある業界は30代で年収1000万円、他のある業界は年収300万円ということが起こっています。これは業界の生産性によって生まれる差なのです。その業界の一人当たりがどのくらい価値を生み出しているかによって、業界自体の給料は大きく変わります。もちろん一人当たりが生み出す価値が高いほど、業界の生産性は高くなります。

    マーケットバリューは、3つのうち2つが高いことが理想的ですが、20〜30代で実現できている方は少数だと思います。次は、それを踏まえて転職の際に陥りがちな3つの落とし穴を解説していきます。

    1.衰退産業を選んでしまう

    誰しも憧れの仕事や興味のある仕事は異なります。どうしてもその仕事にこだわるあまり、知ってか知らずか、衰退業界に転職してしまうケースが多く見受けられます。特に、技術資産と人的資産が低い場合、そもそもの業界選びを間違ってしまったら、いつまでたっても自分のマーケットバリューは高くなりません。それこそ、特定の会社でしか生き残れない人材になってしまいます。

    ですから、技術資産と人的資産が低いと感じる方が転職先を選ぶ際は、まず業界の生産性が高いかを軸に判断してください。

    しかし、必ずしも生産性の高い業界に自身の興味があるとは限りません。その場合は、伸びている業界を選びましょう。なぜなら、伸びている業界で働いた経験はそれ自体が価値となるからです。伸びている業界というのは、例えるならば上りのエスカレーターに乗っているようなもので、極端に言うと、自分が何もしなくとも売上が1.5倍になることすらあります。つまり、その業界で働いていれば、それだけ技術資産や人的資産が高まるチャンスが増えるということです。

    反対に、縮小している産業は下りのエスカレーターです。何もしないとどんどん売上が下がっていくため、必死になって防がなければいけません。余裕がないために、技術資産や人的資産が高まるチャンスも少なく、せっかく経験を積んで転職してきたとしても意味をなさなくなってしまいます。

    2.福利厚生で選んでしまう

    就職サイトの企業説明文などに「福利厚生が充実」と書いてあり、ついつい見てしまった経験はありませんか。中には、すでに会社の福利厚生を活用して子育てと仕事を両立させている方もいるでしょう。しかし、子育てと仕事を両立させたい方ほど、福利厚生だけで仕事を選ばないように気を付けたほうがいいでしょう。

    もちろん福利厚生は大事ですが、長い目で見ると専門性と経験を考えて転職先を選んだ方が絶対にいいのです。なぜなら、福利厚生は会社の業績自体が悪くなったらなくなる可能性があるからです。言い換えれば、福利厚生とは自分ではコントロールできないもの。だからこそ、キャリアは自分でコントロールできる状態にしておき、家庭の事情に合わせて自由に働き方を選択できるようになっていた方がいいのです。

    3.活躍できない企業に入ってしまう

    せっかく転職を成功させても、入ってみたら全く活躍できなかったというパターンは少なくありません。そうならないためにも、自分の職種と検討している企業の強みが一致しているかを事前に確認しておきましょう。

    各企業には強みとなるエンジンが必ずあります。企業の事業や商品は、営業、開発、マーケティングなど、それぞれの強みをもとに作られていることが多いです。例えば、同じECサイトを運営する企業でも、スピーディーな配達が売りであれば開発や管理部門などが強く、豊富な品揃えが売りであれば渉外や営業などが強い可能性があります。実際に自分で試してみるとよりよくわかるはずです。検討している企業がBtoB企業でサービスが確認できない場合は、どの部門の出身者が出世しているかなどをみるといいでしょう。

    そして面接の時には、具体的に以下の3つを聞いてみてください。

    • どんな人物を求めていて、どんな活躍を期待しているのか?
    • 今いちばん社内で活躍している人はどんな人物か?なぜ活躍しているのか?
    • 中途で入った人物で、今活躍している人はどんな部署を経て、どんな業務を担当しているのか?

    これらを聞いて、自分が社内で活躍できるイメージを持てたらOKです。反対に持てなければ転職後に苦しむ可能性が高いので相当の覚悟を持ちましょう。

    ポジショニングは平等

    「辞められない」という思い込みの中に閉じ込められると、自分らしく働けないことでストレスがたまってしまうかもしれません。そんな事態を避けるためにも、転職というカードは常に持っておくとよいでしょう。

    たとえ今の会社で活躍できていなかったとしても、違う場所に移ったら輝き始める人は本当にたくさんいます。才能は不平等かもしれませんが、どこで働くかというポジショニングは平等です。だからこそ、正しい転職は人生を大きく変える可能性を秘めているのです。

    <専門家プロフィール>

    ●文/北野唯我(きたの ゆいが)

    ワンキャリア最高戦略責任者。兵庫県出身。就職氷河期に博報堂へ入社し、経営企画局・経理財務局で勤務。その後、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年ワンキャリアに参画。2019年1月からは子会社の代表取締役、社外IT企業の戦略担当ディレクターも兼務。TV・ラジオ番組のほか、日本経済新聞、東洋経済、プレジデントなどのビジネス誌で専門家としてコメントを寄せる。主な著書に、14万部突破のベストセラー『転職の思考法』(ダイヤモンド社)や、発売3ヶ月で9万部を突破した『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)がある。

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