家計

電力・ガス会社はどう選べばいい?今更聞けない自由化後の家計の見直しテクニック


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    家計のスリム化を思い立ったとき、これといった効果を出しにくいのが光熱費。ところが2016年に電力が、2017年には都市ガスが自由化され、契約会社を乗り換えるだけで費用を抑えられる“かもしれない”状況が整いました。しかし、そもそも乗り換えをすべきなのか、乗り換えるのであればどう選べばいいか、考えることが多くて、後回しにしているという人も多いのではないでしょうか。今回は、ファイナンシャル・プランナーの山口京子先生に、家計における光熱費の見直しポイントや、会社比較の注意点などをお聞きしました。

    光熱費の節約はどれくらいできれば合格点?

    家計における電気代・ガス代。子育て世帯であれば、少なくない出費です。とはいえ、節約しようと思っても目に見えた効果が出にくく、手をつけるのを先伸ばしにしがちな費目でもあります。

    住んでいる地域やオール電化など家庭のインフラ状況によって電気代・ガス代のかかり方は大きく異なってきますが、まずは自分の家庭でかかっている費用がどれくらいなのかチェックしてみましょう。参考までに、全国の平均的な金額を下記に載せています。

    <3人世帯の場合>
    電気…10,638円/月
    ガス…4,905円/月

    <4人世帯の場合>
    電気…11,468円/月
    ガス…5,027円/月

    ※出典:『総務省家計調査2019 二人以上の世帯 勤労者世帯』

    「お住まいの地域や季節によって必要な電気・ガスの量は違いますから、一概に“~円以下ならOK”“収入の何%以下ならOK”とは言えません。

    ただ、どの家庭でも共通して言えることは、『節約すればその分出費が抑えられる』ということ。当たり前ですが、意外と意識できていない家庭が多いです。電気代・ガス代を減らしたいと思うなら、まずはできることから始めましょう」と山口先生。

    意外とやっていない人が多いという節約テクニックを教えていただきました。

    《電気の節約》

    • □ テレビ画面や照明の傘などは、こまめに拭き掃除をしてきれいに保ちましょう。弱い光でも明るくなります。
    • □ エアコンのフィルターはマメに掃除を。室外機周りに物を置かないようにしましょう。
    • □ 冷蔵庫は物を詰め込み過ぎないようにしましょう。
    • □ 古い家電は電気の消費量が多い傾向にあります。家電とコンセントの間に電力量を測れるメーターを設置すると、どの家電が電力を使うのかを見える化できます。
    • □ 新型の家電は待機時の消費電力が小さいものが多く出ているので、適正な時期に買い替えの検討を。家電を買い替えると電気代がどれくらい得になるかシミュレーションできるサイトを利用するのもおすすめです。
    • □ 白熱灯はLEDなど省エネ型照明に順次切り替えましょう。

    《ガスの節約》

    • □ ガスの温度は使用するときに、適した温度に切り替えましょう。夏場の手洗いや食器洗いは、給湯器をオフにしましょう。
    • □ 鍋やフライパンをガス火にかけるときには、底に水滴がついていたら拭き取り、底面から火が出ないように火力を調整しましょう。

    《電気・ガス両方》

    電力会社・ガス会社によっては、アプリでお悩みに答えてくれたり、LINEで友達になると使用量が前年同月比で8割になった時点でお知らせを届けてくれたり……といったサポートサービスをしている場合もあります。使えるサービスをうまく使って、節約しやすい環境を整えるのがおすすめです。

    簡単にできることばかりなので、すぐに始められそうですね。とはいえ、自分1人が頑張っていても、家族の協力が得られなければ著しい効果は出ないでしょう。

    「節電・節ガスで大事なのは、なんといっても家族を巻き込むこと。1人で頑張らないでください。家族のそれぞれが問題意識を持って、できることから取組めるよう、まずは話し合うことが大切です。

    そのために、例えば環境問題の話から始めても良いですし、わかりやすくやる気を出させるためにご褒美の話をしても良いでしょう。

    『今、光熱費がこんなに高いからみんなも節約に協力してね』と呼びかけた後、『3カ月節約を頑張ったら、浮いたお金でピザを頼もう!』などみんなが幸せを感じられるゴールを作ると良いでしょう。日常的に意識できるように節エネルギーを呼びかける紙をスイッチ近くに貼っておくのもいいですね」と山口先生。

    ちなみに、どれくらい節約できると良いのでしょうか。目安が難しいところではありますが、育ち盛りの子どもが1~2人いる家庭なら、「1割削減できれば成功。2割削減できれば大成功」とのこと。

    電気代・ガス代が合わせて月に1万5,000円かかっている家庭なら、目標値は1,500~3,000円ということ。ご褒美が楽しみになる金額です。

    ただし、やりすぎるとガマン大会になりつらくなってしまうことも。不自由なく健康的に暮らせるレベルで意識をしましょう。

    節電・節ガスももちろん大事ですが、出費を減らすには、電力会社やガス会社の契約そのものを見直すのも一つの手です。

    電気・ガス会社、どう選ぶのが正解?

    電力と都市ガスの自由化が始まって5年弱が経ち、広告でキャンペーンのお知らせを目にする機会も増えました。でも、見れば見るほど、どんなタイミングで、どんな会社と、どんなプランを契約すればいいのかがわからなくなってしまいます。

    「新しいプランやキャンペーンはどんどん出てきます。それを逐一チェックして検討していると、時間がいくらあっても足りません。

    引っ越しなどは見直しの良い機会ですが、10年、20年と住み続ける人もいるでしょう。その場合は、5~7年ごとに訪れる、大型家電を買い換えるタイミングをきっかけに見直しをしてみてはいかがでしょうか。それくらいの期間が経つと世の中も生活スタイルも変わっているものなので、見直しの効果も出やすくなります」

    ただ、電力会社の数は非常に増えていて、なんと655社(2020年6月5日現在)もあります。

    ※出典:経済産業省 資産エネルギー庁『登録小売電気事業者一覧』

    また、選ぶ基準は金額面だけではありません。自由化により、その電力会社がどんな特徴を持っているかという部分に焦点を当てることもできるのです。

    そうなると、どの会社を選べばいいのか迷ってしまいますよね。

    そこで、比較をする際の注意点や、どんな選び方があるのかを山口先生にお聞きしました。

    《比較する際の注意点》

    • □ 比較サイトは複数見て情報の精度を確認しましょう。
    • □ 比較サイトの料金のなかには、キャンペーン適用後の料金が記載されていることも。自分がそのキャンペーンの対象かどうか、よく確認しましょう。
    • □ 料金が安くなるかどうかは、使用量によって変わることも。サイトや広告で例として出ているシミュレーション値だけでなく、自分の家庭での使用量を確認し、乗り換え後の基本料金+使用料金が安くなるかを自分で計算してみましょう。
    • □ 乗り換え後の料金が安くなる場合でも、現在契約中の会社に支払う違約金を加味するとお得でないことも。解約時に違約金が発生するかどうか、契約に期間の縛りがあるかどうかも併せてチェックしましょう。

    《会社を選ぶ基準となり得る点》

    • □ 基本料金、使用料が安い。
    • □ 現在使っている他のサービス(携帯電話やガソリン、ネット回線など)と提携していて、ポイントや割引などで優遇がある。
    • □ 太陽光、水力、風力、バイオマスなど環境に優しい発電をしている。
    • □ 応援している自治体(居住地・出身地など)の企業である。または応援している企業である。
    • □ 使用量を確認できるアプリがある、電気のトラブルをサポートしてくれるなど、サービスが充実している。
    • □ 子どもがいると料金が安くなる、自宅にソーラーパネルを設置していると割引になるなど自分のライフスタイルにあったプランがある。

    実際に、電力会社の選び方でどんな変化があるのか、シミュレーションしてみました。

    《従量電灯A50A、年間電気代180,000円の家庭の場合のシミュレーション例》

    (A社)

    • 使用料が年間約1万円安くなる
    • 提携クレジットカードのポイントが最大4倍

    (B社)

    • 使用料が年間約1万8,000円安くなる
    • 旅行会社と提携しており、専用ダイヤルから旅行を予約すると旅行代金が最大3,000円割引

    (C社)

    • 使用料は現在と変わらない
    • 環境に配慮した鶏糞を利用して発電をするバイオマスや地熱、太陽光、水力でCO2の排出を抑えた再生可能エネルギーを利用できる

    (D社)

    • 使用料が年間約7,000円安くなる
    • 契約時に3万3,000円分のギフト券プレゼント
    • 18歳以下の子どもがいる世帯が契約可能

    ※A~D社は架空の電力会社です。

    「上の4社を比べると、単純に年間の電気使用料が最も安くなるのはB社です。

    しかし家庭によっては、対象のクレジットカードのポイント還元が効果を発揮し、A社が最も支出を抑えられるかもしれませんし、定期的に見直すのであれば、D社のような契約特典付きプランが最もお得かもしれません。

    また、金額こそ安くはなりませんが、C社のような環境に配慮したエネルギーを選ぶことで、相対的な満足度が最も高くなるという場合もあるでしょう。

    もちろん料金が安くなるのは嬉しいことですが、電気やガスを使うことで環境保全活動に参加できたり、地元を応援できたりするのは、違った喜びもありますね。今は暮らしを選べる時代。納得できる企業にお金を使いたいという方にも、電力・ガスの自由化は向いています。

    経済的・心理的な面の両方から、“自分にとってお得”なのはどの会社か選ぶと良いでしょう」

    ただし、ガス会社に関しては、「電力を扱っている会社に比べて数が少なく、選択肢がそれほど多くないため、電力とセットで考えると良いのではないか」と山口先生は言います。

    「最初に電力会社の候補を出し、ガスをセットにするとおトクになるかどうかを確認してみると良いでしょう。また、せっかく電力会社、ガス会社の検討をするのであれば、それを機に節電・節ガスをスタートできるといいですね」

    電気・ガスの料金から、将来のお金を考えてみて

    節電・節ガスや、会社の乗り換えによる光熱費の削減。山口先生のおすすめは、それによってできたお金で“つもり投資”をすることだそうです。

    「1カ月で1,000円節約できたらもちろん嬉しいですが、それだけではただ1,000円使わずに済んだだけです。でも、これをコツコツと投資に回していくとどうなるでしょう?

    10年後、20年後に大きなお金が貯まっているかもしれません。ちなみに我が家では老後の備えとして、iDeCoを活用して積立投資を実践しています」

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    私もトクするiDeCo(イデコ)とは?知りたいメリット・デメリット。スゴ腕FPの運用成績も大公開!

    「節約できたお金は、もともと支出する予定のお金だったものなので、この金額内であればあまり怖がらずに投資にチャレンジできると思います。普段から、将来の自分のために、少額でいいので積立投資を実践していくと、いざというときの助けになるかもしれません」

    特に子どもが小さなうちは、毎日がフル稼働。「将来のために何かしなくては」と思っても何もできずに気持ちだけが焦っていく……そんな思いを抱えたことがあるのではないでしょうか。

    「忙しい中でも何ができるかなと、無理なくできることを探すのは、仕事も投資も節約も同じです。私自身も、『才能のない私でもできることってなんだろう?』と悩みながら生きてきました。その中で得た答えの一つが、大きなお金を育てるには時間が必要ということ。特に投資は少しずつやっていくと、ちりが積もるだけでなく、大きく育つときがあるんですよね。だから、今は大きな結果が出なくても、まずはやめないことを目標に、楽しくゆるゆると育てていきましょう」

    毎日の生活を支えてくれる電気やガス。必要不可欠なインフラだからこそ、それを見直すタイミングで、家計と向き合えるチャンスになるといいですね。そして、変えたことで生まれたプラスは、ぜひ将来に活かしたいものです。

    <専門家プロフィール>

    山口京子先生

    ファイナンシャル・プランナー。他の保有資格に証券外務員、生命保険、損害保険、宅地建物取引士など。新婚当初は世帯年収200万円台だったが、庭付き一戸建てを購入し、2年で完済費用を貯める。生活とお金の関係をレベルアップさせるアドバイスが好評。テレビ、ラジオにも多数出演。著書に「なまけものが得をするワンコインつみたて投資術」など。

    取材・執筆/招来にゃんこ

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