家計

増税前にやっておくべきことは?知っておきたい「医療費」事情


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    みなさまご存じの通り、2019年10月から消費税が増税され、現行の8%から10%に引き上げられますね。大きな買い物は増税前に済ませておこうと、家電やマイカーの買替えを検討しているご家庭も多いのではないでしょうか。消費増税と聞いてすぐに思い浮かぶのは食費や光熱費など日々の出費への影響ですが、非課税と思われがちな“医療費”にも、実は増税の影響があるんです。「初診料」は60円アップ、「再診料」は10円アップすると2月に中央社会保険医療協議会から発表されました。そのほか歯科での診察料や入院費用なども保険点数が上がることになっています。家族が増えると医療費は自ずと増えるもの。そこで今回は、「消費税増税と医療費」についてファイナンシャルプランナーの北野美也子先生にお話を伺いました。

    ※参考:厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会(第408回) 議事次第」

    消費税増税で医療費はどれだけ上がる?

    公的医療保険でカバーされる医療費には、消費税はかかりません。そのため、「医療費って、増税と関係あるの?」と思われる方もいるのではないでしょうか。

    ですが、病院が医薬品の卸会社から薬や衛生用品などを仕入れる際、その支払いには消費税がかかります。そのため、消費税が病院の負担にならないよう、保険点数を上げるという調整措置が取られることになりました。でも、それだけでなく、増税を機に“ちょっとしたところ”で増税対策をする病院が出てきそうです。

    北野先生によると「細かいところですが、薬を入れる紙の薬袋の取り扱いを廃止したり、軟膏や水薬などを入れる容器が有料になったりする可能性は考えられます」とのこと。1日の服用回数やタイミングが書かれた薬袋がなくなると、不便に感じるかもしれません。また、子どもは水薬やスポイトを出してもらうことも多いことでしょう。これまで無料だったものが有料になると、少額でも抵抗がありますよね。

    さらに、もっと大きく増税の影響を受けるのが“自由診療”です。

    「保険診療には消費税はかかりませんが、自由診療には消費税がかかります。例えば、人間ドックや、イボ・シミ取りなどのプチ整形、歯列矯正、インプラントなどが当てはまります。自由診療での治療を検討している方は、増税前に受けておくといいかもしれません」

    これらは金額が大きいものも多いので、言わずもがな増税の影響も大きくなります。

    まとめ

    • 公的医療保険内の医療費⇒保険点数が上がることによって、若干の増加があります。
    • 自由診療の医療費⇒診療費・医薬品費ともに消費税がかかるため、ダイレクトに増税の影響があります。

    覚えておきたい!意外と知らない医療まわりの制度

    自治体にもよりますが、現在子どもには医療費助成制度があり、医療費がかからない、もしくはかかってもごくわずかです。「大人はほとんど病院に行かないから、医療費なんてほとんどかかってないけど……?」という方も多いかもしれませんね。そのため、医療費控除などの制度も「うちには関係ないわ」と思ってしまいがち。でも、「控除できるのは病院で支払うお金だけではない」ということを知っていましたか?

    制度をよく知ることで、医療費を節約できるかもしれません。そこで、増税に関わらず覚えておくと便利な制度についても、北野先生に教えていただきました。

    高額療養費制度

    その月の1日から月末までにかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、限度額を超えた分が後で払い戻される制度です。自己負担限度額は所得によって異なります。

    入院や手術の際には当てはまる可能性がありますので、事前に分かっている場合は、各健康保険の窓口に申請をして「限度額適用認定証」をあらかじめ取得しておきましょう。病院の窓口で支払う金額が、自己負担限度額となります。(例:69歳以下で健康保険組合に加入しており、所得が月額28万~50万円の方の場合、自己負担額の上限は80,100円+(総医療費-267,000円)×1%)

    また、1年間のうち3カ月以上高額療養費の支給を受けた場合、4カ月目からは、さらに自己負担額が軽減されます。

    ※参考:厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

    医療費控除

    1年間にかかった医療費が10万円を超える場合に、所得控除を受けられる制度です。確定申告することにより、支払った税金が還付されます。実は控除できるのは、病院に支払った治療費や処方薬だけではありません。次のものも控除できるので、レシートはしっかりとっておきましょう。

    控除できる医療費に含まれるもの

    • 治療または療養に必要な医薬品(薬局で購入した風邪薬や頭痛薬などもOK)。
    • 保険適用ができる接骨院(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師など)による施術。ただし、治療でない場合は控除できません。
    • 診察の際に使った交通費(タクシーも可)。
    • 入院の際の部屋代や食事代、付添人の付添料。ただし、差額ベッド代や入院時に購入した寝巻きや洗面具などの身の回りの品は控除できません。
    • コルセットや松葉杖など医療用器具等の購入代やレンタル料。薬の容器や包帯なども含まれます。
    • 補聴器、義歯など。
    • 健康診断や人間ドックを受けた際に異常が見つかり、その治療を行なった場合の、健康診断や人間ドックにかかった費用。
    • レーシック手術。

    ※参考:厚生労働省「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」
    ※参考:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

    セルフメディケーション税制

    スイッチOTC薬(従来処方薬だったものが市販薬として認可され、ドラッグストアなどで買えるようになったもの)を年間12,000円以上購入した場合に所得控除を受けることができます。鎮痛剤や風邪薬、貼付薬など約1600種類が対象となり、身近なところではハミガキやニキビ治療薬にも対象となっているものがあります。

    「セルフメディケーション税控除対象」というマークがパッケージについていること、レシートに対象商品である旨が記載されていることが目印です。

    注意しておきたいのは、セルフメディケーション税制と従来の医療費控除は併用できないこと。どちらを使った方がより負担金額が少なくなるか計算してから確定申告をしましょう。出産や入院、インプラント等で医療費にお金がかかった年は、従来の医療費控除を受けられる可能性が高いので、薬もできるだけ病院でもらうなど意識をしておくと良いかもしれません。

    セルフメディケーション税控除対象の商品一覧は、厚生労働省のHPで検索できます。家庭の常備薬がスイッチOTCなのかどうか、一度チェックしてみては?

    ※参考:厚生労働省「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について」

    また最近は、処方箋薬局などで比較的安価に購入できる「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」を勧められることもあります。ジェネリック医薬品は、先発薬(新薬)と色や形、香りなどの添加剤が異なる場合がありますが、同じ有効成分を含むため、効き目も十分に確認されています。

    ジェネリック医薬品の中でも、北野先生のおすすめは“オーソライズド・ジェネリック”とのこと。

    「オーソライズド・ジェネリック(AG)とは、先発メーカーに特許等の使用を許可されているジェネリック薬品のこと。特許の期間が切れているなどの事情があるだけで、先発薬とほぼ同一の商品です。先発薬と同じつくりの薬を選びつつ医療費を節約するなら、クリニックや調剤薬局で『オーソライズド・ジェネリックで』と申し出ましょう」

    ※すべてのジェネリック医薬品にオーソライズド・ジェネリックがあるわけではありません。

    まとめ

    • 「高額療養費制度」「医療費控除orセルフメディケーション税制」で医療費を節約できる可能性があります。
    • ジェネリック医薬品(後発医薬品)の中でも、「オーソライズド・ジェネリック(AG)」を選ぶのがおすすめ。

    補助の手厚い日本で、それでも保険が必要な理由とは?

    「これまでご紹介したように、日本は健康保険や各種補助で手厚く守られています。そのため、日常の医療費についてはそれほど怖がらなくても大丈夫です。それでも2人に1人がガンに罹患する現代ですから、公的補助でカバーできない部分は保険で賄うと良い、と常にアドバイスしています」

    ところで、カバーできない分とはどれくらいなのでしょうか。“現金3,000万円あれば医療保険に加入する必要はない”という一説もありますが、これだけの大金を準備するのはとても大変。一体どれくらいの保障を準備すべきなのでしょう?

    「日々の生活を脅かされるほどの医療費がかかる場合に保険が必要だと考えましょう。どのようなリスクを想定すべきなのかは、『お酒が好きで肝臓ガンが心配だからガン保険に入っておこう』というように個人によって異なります。おすすめは、どのような医療保険に入るにしても、自由診療(高度な先進医療等)を受けたいと思った時に、悩まず選択できるようにしておくことです」

    治療方法を選ぶとき、金額によって選択肢を狭められない状況をつくっておけば、自分も家族も安心できますね。

    「また、最近の保険には『相談サービス』が付帯されていることがほとんどです。夜中に子どもが急に高熱を出した場合にも気軽に利用できるので好評なんですよ。さらに、重篤な病気が発覚した際には、その分野の専門医に相談できるだけでなく、紹介予約までしてくれる保険もあります。このように、いざという時の“安心感”に着目して選んでみるのも良いかもしれません。」

    心身の健康維持を心がけよう

    「医療費の準備や制度の知識も大切ですが、最も大事にして欲しいのは『事前対応』です。定期的に健康診断を受け、早期発見早期治療をすることで、治療費も予後の生活も大きく異なってきます。バランスの良い食事と適度な運動で、日頃から心身ともに健康を維持していきたいものですね」と、北野先生。

    中でも、働くママに心がけてほしいことは「一人で楽しめる時間を見つけること」だと言います。2児の母でもある北野先生に、先輩としてのアドバイスもいただきました。

    「子育て中は、どうしても自分のことが後回しになりがち。私も子どもたちが小さい時は、一人になれる空間(運転中など)で気持ちを整えていました。家事、育児、仕事の両立は大変ですが、唯一コントロールできるのは自分の人生だけです。人生を楽しむには、心身の健康とバランスが大前提ですよ!」

    ※本記事の情報は平成30年度の社会保障制度に基づき作成しております。詳しくは健康保険組合または各市町村等にご確認ください。

    <専門家プロフィール>

    北野美也子先生

    ファイナンシャルプランナー、相続診断士。外資系保険会社に約22年間勤務。「保険でこんなにお金が貯まるんだ!」「保険でこんなに生活を守れるんだ!」と感動したことから、ファイナンシャルプランナーとして多くの相談業務を行なう。また、ママ講師として育児と仕事の両立の経験を生かした女性向けマネーセミナーは、非常に好評を博している。

    LPP1904-007【20210331】

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