家計

知らないうちにお金が逃げる!暮らしに潜む「ムダ」を見つけ出す


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    普段の生活の中で、「これぐらいならいいか」と目をつぶりがちなムダ、本人はそう思っていなくても損をしているケースなどをピックアップしてみます。7月はボーナスをもらって家計管理も緩みがちなタイミングでもあります。暮らしに潜む気づきにくいムダや損していること、皆さんの家計に意外と隠れていないでしょうか?

    気づかなければ一生そのまま?3つの視点でムダをチェック

    企業の業績が好調なためか、給与やボーナスの金額アップといったニュースも目にするようになりました。しかし、収入が増えるとついつい家計管理も緩みがちになります。そのままではなかなか「お金が貯まる家計」にはなれません。そこで今回は3つの視点からムダや損をチェックして、「貯まる家計」へ生まれ変わるヒントをご紹介します。

    チェック1 便利さと引き換えにムダ遣いをしない

    時間や手間の節約になるからと便利さを優先して、余計なコストを払っているのはムダにつながりやすいパターンです。その代表選手がコンビニATMです。

    <近くて便利なコンビニATMは手数料に注意>

    銀行のATMより身近にあって、いつでも利用でき、買い物ついでにお金が下ろせるなど便利なコンビニATM。しかし、時間帯や曜日などにより利用手数料がかかる銀行があるにもかかわらず、手数料の事を忘れていたり、見て見ぬ振りをしていたりする人が多々見受けられます。

    メガバンクと呼ばれる三行の場合、平日の日中(8:45から18:00)は108円、日中以外の早朝深夜や週末・祝日などは倍の216円となっています(いずれも税込)。これがどれほどムダにつながるかを考えてみましょう。

    例えば年に4、5回程度、会社帰りの深夜や週末に普通預金からコンビニATMでお金を引き出すと、それだけで利用手数料が1,000円前後かかってしまいます。

    一方、預金の超低金利は今も継続中。メガバンクの1年もの定期預金の金利は年0.01%、普通預金では年0.001%となっています。このため100万円を1年もの定期預金に預けても利息は100円。ここからさらに税金(20.315%)が引かれるため、1年間で約80円しか増えません。定期預金よりさらに低金利の普通預金では約8円です。

    いかがですか。「これぐらいはいいだろう」と思って利用したコンビニATMの手数料は、利息をもらっても、圧倒的にマイナスとなるのです。

    本当に今引き出す必要があるお金かどうかなど、コンビニATMを利用する前に考え、なるべくお金は口座を持っている銀行のATMから引き出すなどの習慣をつけると良いでしょう。また一定額以上の預金残高や住宅ローン等の利用といった所定の条件を満たせば、コンビニATMの利用手数料、時間外手数料が「月○回まで無料」となるような特典も提供されています。そうした特典も利用してムダな出費をなくしていきましょう。

    *20.315%の内訳は所得税15%、住民税5%、復興財源を確保するための復興特別所得税(2037年12月31日までの間、所得税額に対して2.1%追加で課税される)

    ※ATM引き出し手数料、普通預金・定期預金金利はメガバンクの2018年6月12日現在の実績

    チェック2 「何に使ったのかわからない」お金はムダの象徴

    使った覚えはないのに残っていないお金、何に使ったか思い出せないようなお金などが、いわゆる使途不明金です。例えば自販機で現金で買った飲み物、コンビニで買った商品のレシートのもらい忘れ、親戚の子どもなどに渡したお年玉やお小遣い、お祭りをはじめイベントでの食事代などなど。少額で記憶に残りにくい、現金払いで電子マネーなどの利用履歴がない、レシートや領収書が手元に残っていないといったときに使途不明金が発生しやすいようです。

    また、使途不明金の中には「なんであんな物を買ってしまったのだろう」と後悔してしまうような、不要不急の使い方も含まれていることがあります。コンビニやドラッグストア、デパートなどでの<ついで買い>、勤め先の同僚や友人たちと居酒屋や食事に行った際に、予定外にごちそうをしてしまったなどです。

    使途不明金は一つひとつは小さな金額ですが、私が相談を受けた例では年間でまとめると少なくても20~30万円、多い家庭では100万円単位になることも珍しくありませんでした。もし、こうした使途不明金によるムダを省いて貯蓄に回したとすれば、大きな蓄えになるでしょう。

    ただ、きちんと家計が管理されていないと、使途不明金は知らないうちに、ざるの目から水が漏れるように発生していきますから、今すぐ見つけようとしても難しいことが多いのも事実。まずは3カ月だけでいいので家計簿をつけてみましょう。収入・支出・その差し引きの収支、そして貯蓄額を洩れなく記録してみると、「こんなお金の使い方をしていたんだ」ということがよくわかります。ボーナスについては、夏と冬の収入と支出を記録してみてください。ボーナスのように一度に多くの収入があったときは、使途不明金も多くなりがちということがわかります。

    このように何となく使っていた使途不明金を減らすのは、食費や小遣いを減らすときほどの我慢や辛さを伴わないことがほとんどです。使途不明金を見つけられたら、その全額を貯蓄に回すことも不可能ではありません。使途不明金の多い家計はムダが多い家計の代表ともいえますが、ちゃんと見つけて退治していけば、無理なく貯蓄力をパワーアップできます。

    チェック3 「必要だから仕方ない」の思い込みにムダが隠れている

    毎週、毎月、数カ月おきなど、定期的に使うお金を固定費と呼びます。住居費、水道光熱費、各種保険料、通信費などが代表例ですが、「どれも必要なものだし、仕方ないか」という思い込みにムダが隠れています。

    そうした固定費のムダを見つけるには、固定費と払っている金額を箇条書きにして、その中から「絶対に削れないもの」に印をしていきます。印がつかずに残ったものが削減可能な固定費の候補です。

    次に残ったものに「もっと安い商品やサービスに変えられるか」「使う量や回数などを減らせるか」「なくせるか」などの観点から、「削れる→削りたくない」の優先順位をつけていきます。この作業は夫婦や家族で話し合いをしながら進めていくことをおススメします。家族の中でも価値観や優先度合いが異なるからです。家族の同意が得られない固定費の削減は決して長続きしません。

    家庭の環境によっても異なりますが、この作業を経て削減対象としてよく出てくるものに、次のようなものがあります。

    この他にも下記のようなものもあります。

    ・使っていないクレジットカードの年会費やその他の会費

    ・あまり読んでいない定期購読の雑誌

    これらのムダな固定費を一度削減すればその効果はずっと続き、一つひとつはちょっとした金額でも、長い期間の総額で見ると大きな節約効果が期待できます。固定費の削減はそのまま貯蓄力のアップにつながるのです。

    ムダを省いても、お金は自然に増えていかない

    上記のような取り組みでムダを省いたからといって安心はできません。貯まったお金をタンス預金にしたり、普通預金・定期預金に入れておくだけでは、生活費など物価が上昇していけば実質的な目減りは避けられないからです。

    現在、日本銀行は物価上昇率の目標を年間2%としています。この目標通りになった場合、今は100万円で買えている物の値段が1年後は102万円となり、実質2万円値上がりすることになります。

    一方で貯めたお金を銀行の定期預金に1年間預けておいても、前述したメガバンクの金利では100万円が約80円(税引後)しか増えず、約1万9,920円のマイナスとなります。

    生活の中の隠れたムダを省くのは、ゆとりある家計を生み出すための第一歩に過ぎません。将来の充実した生活を実現するために、「ムダを省いて減らさない」から「増やす」ことにも目を向ける必要があります。

    文:ファイナンシャルプランナー 平田浩章

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