家計

専門家が伝授!職場復帰前のママが育休中に準備すべき大事なこと3つ


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    「働くママになる!」そう決めたときから向き合うことになる育児と仕事の両立。育休が明けて、職場復帰すると始まるのは想像以上に慌ただしい毎日です。「あれ、なんだか生活がスムーズに送れない!」「予想以上にお金がかかって全然貯金ができない!」と思っても、根本的な生活の見直しやマネープランの作成のために、時間と労力を生み出すのは至難の業。できれば時間に余裕のある産休・育休中に、“これからの家族の生活”を一度じっくり考えたいものです。

    今回は、育休後コンサルタントの山口理栄さんと、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんのお2人のスペシャル対談を設け、育休中に準備しておきたいことについて、たっぷり教えていただきました。

    子どもの預け場所を確保する

    「共働き育児を始めるにあたり、まず最も大切なことは保育園の確保です。職場と約束した時期に復帰することをまず第一に考えましょう」と、山口さん。地域によっては待機児童の数も多く、ちゃんと入れるかどうかは悩ましいところでしょう。

    認可保育園に限らず選択肢を広げて探すことが大切

    山口「待機児童の多い地域での育休中の優先順位第1位は、なんといっても保活です。産前休暇に入ったらすぐに見学できるように調べておきましょう。自治体によっては保育コンシェルジュという相談員がいて、利用者の立場で預け先を探してくれます。まずは行政の窓口に足を運び、ネットでは得られない情報を取得してください。新規園の場所や開設時期などの情報を入手できる可能性もありますよ。また、この時、認可保育園だけでなく、自治体の基準を満たした園(例:東京都の認証保育所)や小規模保育園の他、認可外も視野に入れ、通える場所はすべてみておくぐらいの気持ちでいる必要があります」

    風呂内「認可だけにこだわらないのは大切ですね。もしかしたら『値段が高いから……』と躊躇する方もいるかもしれません。でも、ベビーシッターや病児保育など、一時的な出費は “投資”と認識するとよいでしょう。長期的な視点に立つと、出産で一度退職してしまうのと、働き続けるのでは生涯賃金が大きく変わります。」

    山口「育休後の時期は、キャリアパスをとにかく繋ぐ時期。夫婦のどちらかが子どものためにキャリアを犠牲にするのではなく、両方が少しずつ仕事を調整し、子育てをしたいですね。そういった面も踏まえて、保育園見学は、ぜひパートナーと一緒に行き、通園した時のことを想定した話し合いが持てるといいですね。」

    子どもが休んだときの対応策は多く持つ

    山口「育休が明けた初年度は、子どもは本当に何度も熱を出して保育園をお休みします。子どもが熱を出す回数は減らせませんが、仕事を休む日数は減らせます。パートナーと交替で休む、病児・病児後保育を利用する、シッターを頼む、親御さんにお願いするなど多くの手段を職場復帰前に用意しておきましょう。遠くに住んでいる親でも頼みたいと思うほどの時期は意外と短いものです。この時期は甘えてもいいと思いますよ」

    子どもが発熱して急なお迎え…なんていう時にタクシーに乗る機会もグッと増えます。病児保育も費用が高く、「こんなことをしたら贅沢かな?」と不安になることも少なからずあります。

    風呂内「無駄遣いをするときは考えずにお金を使っていることが多いもの。利用前に、『これは時間が短くなるのかな?』『手間が減るのかな?』などと自分に問いかけてみましょう。メリットをしっかり感じられれば、それはGOで大丈夫。それでも気になる場合は、例えばタクシーならタクシー代だけでレシートを集めてみて、1カ月の金額を見て判断するとよいでしょう」

    月収もボーナスも減る時短勤務。利用は要話し合い!

    山口「職場復帰後は育児時短勤務を利用する方もいるかと思います。このとき、注意してほしいのが月収もボーナスも減るということ。会社の人事などに問い合わせて、どれくらい減るのかあらかじめ計算しておくとよいでしょう。減った額と、時短で得られる気持ちや生活の余裕を天秤にかけてみる必要があります。また、職場によっては時短勤務に対する理解が少ないこともありますので、肩身の狭さのような精神面での負担もあることを考慮にいれましょう」

    風呂内「この時期は、気持ちの面で本当に大変と、共働き夫婦のお話を聞きます。『給料は減るのに保育料はかかるし、一体何のために仕事をしているのか分からない』と思ってしまうこともあるかもしれません。お金の面ではいわば息を止めて走る時期。小学校(公立の場合)に上がる頃には楽になることを頭に入れておいてくださいね」

    山口「時短勤務は徐々にフルタイムに戻っていくまでのステップ。一番大事なのはパートナーとの連携です。保育園の送り迎えや家事の分担などを育休中に話し合っておくことで『全部私がやるのが当然になってしまっている』という状況を防げますよ」

    まとめ

    ・保育園を確保する。

    ・子どもが病気でも仕事を休めない場合の対策を考える。

    ・時短勤務の利用はメリットと収入減を天秤にかける。

    ・育児の分担についてパートナーや家族と話し合い、情報を共有する。

    育児と仕事を両立させる生活の仕組みづくり

    育児と仕事を効率よく両立させていくために、家事にかける手間暇を上手にカットしたいもの。プロのお2人のオススメは一体どんなものでしょうか?

    まずゲットすべきは三種の神器「食洗機」「乾燥機付き洗濯機」「お掃除ロボット」

    山口「“投資”とも言えるのは三種の神器である『食洗機』『乾燥機付き洗濯機』『お掃除ロボット』です」

    風呂内「ちょっと高いかなと思いがちですが、乾燥機付き洗濯機はドラム型が評判いいですね。時間がある時は『頑張って干そう』と思えますが、職場復帰すると干す労力や時間も惜しくなるほど」

    山口「少し値が張っても家事が節約できるものは、取り入れたほうがいいですね。実際に使っている人の感想なども聞いて育休中に用意しておきましょう」

    風呂内「そうですね。このとき気をつけてほしいのがキッチン系。パン焼き器やスムージーメーカーのように最新家電ってステキなのですが、時短に繋がらないものも多いんです。ここは慎重にしたほうがいいかもしれません」

    家事のアウトソーシングも積極的に取り入れる

    家事の負担を減らす仕組みはまだまだあります。

    山口「時間を節約しながら生活の質を維持したい、仕事の時間を確保したいという方は、家事のアウトソーシングを検討してもよいでしょう。掃除、料理、子どもの送り迎えなど様々なサービスがあります。中にはニーズにあわせて利用者と提供者をスマホでマッチングができるものもあります。ただ、家の中に外部の人が入ってきてほしくないというパートナーもいるかもしれませんね。その時には、『じゃあ、パパやってくれる? あなたができないんだったら私もできないから、これを頼むしかないんじゃない?』と相談できます。様々なサービスをお試し利用するのも育休中にやっておきたいですね」

    風呂内「あとは買い物系のお試し利用もオススメです」

    山口「食品宅配サービスやネットスーパーなど数ある中からどれが自分にとって使いやすいのか選ぶ必要がありますね」

    風呂内「ネットスーパーは生鮮食品を除く専門店だと送料無料になる金額が下がるとか、定期便だと割引になるなど、サービスによっていろいろな仕組みがあるので、それを把握しておくと費用も手間も節約できます」

    ワンオペ育児を防ぐ!生活をパターン化する

    山口「生活スタイルを見直す際には、ぜひ一度、1日のタイムテーブルを書き出してみましょう。一番大変なのは、帰宅してから寝かしつけまでの時間。たった3~4時間のなかで、食事、お風呂、家事などを済ませなければなりません。でも、子どもって思う通りに動かないんですよね。この時間が常にワンオペ育児(※)だと、笑顔がなくなってしまいます。ワンオペを防ぐために、家事と育児の分担を決めておくといいですね」

    風呂内「そうですね。このとき、お風呂はパパなどパターン化できるところはしておくといいかもしれません。パターン化は応用が効いて便利ですよ。例えば通勤の服なども、インナーはファストファッションで揃えておき、上着とスカートは定番のものを合わせると決めておけば迷いません」

    山口「迷う時間が1番もったいないんですよね」

    ※ワンオペ育児……ワンオペレーション育児。ひとりですべてを行う育児のこと。

    まとめ

    ・家電の三種の神器を購入する。

    ・家事代行サービスを検討する。

    ・ネットショップや食品宅配サービスをお試し利用する。

    ・パートナーとの家事分担を話し合う。

    ・生活内でのパターン化を図る

    子どもの教育費や老後資金準備、人生のマネープランを練る

    収入が減り、けれども新しい生活のために出費もかさむのが出産後。貯金に手をつけて「お金がなくなっちゃう!」とヒヤヒヤする人もいるかもしれません。そんなとき、お金はどのように管理すればいいのでしょうか?

    育休中は貯金減もOK。職場復帰後は収入の5%貯金できれば合格点

    風呂内「これまで自由にお金を使ってきたカップルの場合、貯金が減ってしまうこともあるでしょう。年間100万円くらいなら問題ナシという目安をもっておくといいかもしれません。しっかり管理してきたカップルなら、夫の給料+5万円くらいでやりくりできるといいですね。職場復帰後も何かとお金がかかる時期なので、手取り収入の5%貯金できれば合格点です。小学校に上がればまた貯めやすい時期がやってきますよ」

    山口「ただ、ハイスペックなベビーカーを買ってしまうなど必要以上に高価なものを買うのは注意したほうがいいかもしれませんね。また、レジャーも小さな子どもは高価な人気スポットや遊園地などに連れていっても、価値が分からない場合も多いです。私自身も、公園で身体を思い切り動かす方が、家族全員にとって良かったのかも……なんて思い出があります」

    教育資金の準備の目安は18歳までに200~400万円

    子どもが生まれると、最も気になる“お金のコト”は、やはり教育費。一体どれくらい準備しておくとよいのでしょうか。

    風呂内「お子さんが18歳になるまでに1人あたり200~400万円が目安です。現在の制度がそのままだと、児童手当を丸々貯めると200万円くらいになりますね。多くの方がまず考える学資保険に関しては、諸説ありますがかけすぎずに上手に使えばいいと思います。保障が手厚い学資保険は、満期解約返戻金が支払った保険料より少ないこともあるため気をつけましょう。200万円を学資保険で準備する上限とすると良いですね」

    山口「それくらいあると大学に入る時の入学金など急な出費が用意できますね」

    風呂内「はい、基本的に高校までは生活費のなかでやりくりし、大学費用のみ別で貯める教育プランを立てることを私は勧めています。もし私学に通わせたいなら、月々のフローでいつから行けるのか見ておくといいですね」

    山口「わが家では2人とも中学から私立に行かせましたが、学費だけでなく、部活の費用や保護者のつきあいで、想像以上にお金がかかるという印象がありました」

    風呂内「生活の全体的なランクアップが家計には重く乗りかかるんですよね。“ちょっといい生活”が1番お金を食うのだと知っておくといいのかもしれません」

    必要なお金は貯金で準備、投資は家計をたくましくするためのもの

    教育費を貯める際、学資保険や定期預金で積み立てる人が多いようですが、他に何かオススメはあるのでしょうか。金利が低い今、投資に興味のあるママも多そうです。

    風呂内「投資を活用するのも良い方法の1つですね。その場合、まず注意してほしいのが大きなお金を一気に注ぎ込まないこと。それから、貯蓄で足りないから投資で補うことは避けてほしいですね。投資は物価の変動などを補填し、家計をたくましくするためのもの。教育費のように必要なお金は貯蓄などで準備しましょう」

    山口「学資保険はいざというときに、契約者貸付でお金を借りることもできるので便利ですよね」

    風呂内「そうですね。ここで注意して欲しいのが、『学資保険』『ジュニアNISA』のようにネーミングが子ども専用になっているから、教育資金を貯めるのにベストな金融商品だと思ってしまうこと。例えば、通常のNISAがいつでも引き出せるのに対して、ジュニアNISAは原則18歳にならないと引き出せない特徴があります。自由に出し入れできるほうが便利だと考える場合は、NISAで学資を準備する方がいいのかもしれません。このように、自分の生活には何があっているのか柔軟に対応していけるといいですね。そのためにも、ある程度情報を自分で集めておくことが大切です」

    山口「マネー系の雑誌などを見て、自分はこれに興味があると知っておくとよさそうですね」

    風呂内「そうですね。具体的な商品選びの段階で証券会社に足を運ぶとスムーズです」

    これから投資デビューをする方に、オススメの商品はあるのでしょうか。

    風呂内「初めてなら変動10年の国債がいいと思います。今は金利が低いですが、金利が上がれば上がっていきます。そして、次にステップするなら投資信託ですね。投資をするとき、銀行の残高と証券会社の買付余力が連携するサービスを利用するなど、仕組み化すると便利でオトクですよ。このようなサービスの導入や長期のマネープランも育休中に立てておいてほしいですね」

    まとめ

    ・貯金が減っても、貯金できなくても必要以上に自分を責めない。

    ・金融サービスや商品の情報を手に入れる。

    ・教育費の準備は仕組み化する。

    ・長期のマネープランを立てる。

    育児休業中は、いわば“キャリアの棚卸し時期”。パートナーと共に働き方を見直して、仕事のプラン、お金のプランを長期の視点で考えてみましょう。この時期に、大切な家族を守るための話し合いができるかどうかで、将来の金融資産だけでなく、家族の幸せもパートナーシップも大きく変わっていくのではないでしょうか。

    専門家プロフィール

    山口理栄(やまぐち りえ)

    育休後コンサルタント。総合電機メーカーに在職中、2度の育休を取り、部長職まで務める。社内の女性活躍推進プロジェクトのリーダーを経て、育休後コンサルタントとして独立。

    風呂内亜矢(ふろうち あや)

    ファイナンシャルプランナー。自宅マンションの衝動買いを機にお金について学びはじめる。現在は、テレビや雑誌など各媒体で「お金に関する情報」を精力的に発信している。

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