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FPが指南!結婚後のお金のハナシ Vol.2 こんなに違う? DINKS/DEWKS それぞれのマネープラン


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    同じ共働き夫婦でも、子どもを持たない「DINKS(ディンクス)」と、子育てと仕事を両立させる「DEWKS(デュークス)」で、家計事情は大きく異なります。また、夫婦の働き方や世帯年収によっても、将来に向けたマネープランの立て方は変わってきます。当然、労働による収入がなくなる老後の生活まで考慮しなくてはなりません。

    そこで今回は、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに、DINKS、DEWKSそれぞれが心がけたい家計管理のコツや貯蓄プランについて、アドバイスをもらいました。

    経済的にゆとりがあるように見える「DINKS」こそ要注意!?

    風呂内さんによると、「人生でお金のことを考えようと思うきっかけは主に4回しかない」のだそう。「結婚、マイホーム購入、出産、定年退職のタイミングです。ただ、結婚したときは、ふたりとも働いていれば生活スタイルもそう変わりませんし、マイホームを購入するときも、頭金やローン返済額などは数字で見えるので、将来のマネープランを立てやすいんです」

    そんな中、もっとも読みにくいのが、「子ども」なのだとか。生活費や教育費にいったいどのくらいかかるのかわからないからこそ不安になって、お金について真面目に考える人が多いそうです。つまり逆を言えば、収入を自由に使えるDINKSは、必要に迫られる機会がないため、なかなか本気で考えづらいよう。

    「ですからDINKSは、お互いの収入や貯蓄額も把握していないまま生活レベルだけを上げてしまう可能性が、DEWKSよりも高いんです。子どもがいない分、長期的な視野も持ちにくいので、老後が厳しくなるというリスクもはらんでいます。また、子どもを持たないと決めていたとしても、思わぬタイミングで授かるということもあります」と風呂内さん。

    では、DINKSの場合は、どのようにマネープランを立てるといいのでしょうか。

    「DINKS」は世帯年収の25~50%を“機械的”に貯蓄するべし

    DINKSもいつか子どもができる可能性があるとはいえ、子どもにかかるお金を考えてマネープランを立てるのは、さすがに難しいもの。「まずは、夫婦ふたりで老後にどんな生活をしたいのかを話し合うのがいい」とのこと。「その上で、もらえる退職金や年金の額から逆算して、定年までに貯蓄する額を決めましょう」

    そして貯蓄は「機械的」に行うほうがいいのだそう。「DINKSはDEWKSに比べて、どうしても貯蓄をしようという気持ちを持ちづらいんです。そうなると、どちらかが失業したり収入が減ったり、または親の介護が発生したりなど、生活が変化したときにうまく順応できません。ですからDINKSは、自動的に貯蓄できるシステムをつくることをおすすめします」

    その際は、共同口座やお互いに開示する口座をつくって、夫婦としての貯蓄をするのがベター。「それぞれが自分名義の貯金をするのもいいですが、できれば50万円単位でいいので、相手の貯蓄額は把握しておいたほうがいいでしょう。それは、貯蓄があるのに高い保険料を払っていたりなど無駄な出費を抑えるためです」と風呂内さん。では、いざ貯蓄を始める際の金額の目安とは?

    「一般的には、世帯年収の25%くらいの貯金を続けていけば、残りの余生にうまくあてられると言われています。また、意識を高めに持って貯めている共働き家庭では、30%程度を貯蓄している世帯も多いですね。さらに、今後子どもを産もうと思っている世帯の中には、どちらかの収入だけで生活をまかなうことを想定して、世帯年収の50%を貯蓄に回している人も。ですから、この3つの割合を目安に、我が家の家計をふまえて、機械的に貯蓄する額を決めるといいでしょう」

    続いて、先の読めない“子どもの予算”を抱えるDEWKSが立てるべきマネープランのコツを見ていきましょう。

    子どもの成長に合わせて家計が変動する「DEWKS」は貯蓄も柔軟に

    「将来、子どもにいくらかかるのかわからないからといって、心配しすぎることに注意しましょう」と風呂内さん。

    「先ほど、子どもを持つ予定にしている夫婦は世帯年収の50%を貯めている人も多いと話しましたが、いざ子どもが生まれると、同じようには貯蓄できなくなります。産休・育休、時短勤務などで収入も減る上、子どもが小さいうちは出費も増えますし、ちょっと手間がかかる部分をお金で解決したいという気持ちにもなります。そのため、場合によっては月々の支出がプラスマイナス0になることも。そうなると、真面目に貯蓄プランを立てていた人ほど、ものすごくストレスを感じてしまうんですよね」

    そこでDEWKSにとっては、「収入が減り支出が増え、貯蓄がままならない」というストレスをどう落ち着かせるかが重要になってきます。風呂内さんがおすすめするのは、「一度、子育て期間中にいつお金がかかるのかというライフプランを立ててみること」だとか。

    「子育て期間の中にも、一時的に多くのお金がかかるタイミングがあります。一般的には、保育園に預ける未就学児時代と、大学に行く前後にもっともお金がかかると言われています。その期間をどうやって赤字にならないように乗り切るかだけを考えればOK。これまでの貯蓄をキープできていれば◎で、赤字になったからといって気に病みすぎないことが大切です」

    貯めどきは、「フルタイムで働ける軌道に乗せやすい小学校から、大学に入る前の時期」とのこと。その際は、教育費とは別に、世帯年収の10~25%を貯蓄に回したいところ。「ひと昔前とちがい、今は老後に子どもからの援助は織り込みづらいので、DEWKSも老後に備えた貯蓄はがんばりたいですね」

    どちらかが「転勤族」だった場合、転勤後の生活を見据えて家計を管理

    共働き夫婦の家計事情をいちばん左右するのは「子ども」ですが、ほかにも今後のマネープランに影響する要素はあるようです。そのひとつが「転勤」。どちらかが転勤族だった場合、もう片方のキャリアをどうするのかという問題が出てきます。

    「転勤族は、“自分の会社では何年ごとに転勤がある”と見えているケースも多いですから、事前に話し合って意思を統一しておくほうがいい」と風呂内さんは言います。

    「転勤があったときについていくのか、単身赴任をするのか。ついていく場合には、合わせる側がどのくらいの収入を確保できうるのか、単身赴任を選ぶなら、会社から手当などがつくのかどうか、など確認しておいたほうがいいでしょう。いずれにしても、転勤前の家計と同じにはなりませんから、転勤を見据えて、どちらかの収入で生活ができるようなスタイルを確立しておくほうが安心です」

    世帯年収600万円と1,000万円以上でマネープランは変わる?

    もうひとつ、「世帯年収」の額によっても、共働き夫婦のマネープランは変わります。30代の共働き夫婦の世帯年収で現実的で家計を回しやすいのは、夫450万円(正社員)+妻150万円(パート)=600万円のパターン。そして比較的裕福といえるのが、夫も妻もバリバリ働いて1,000万円以上を確保している世帯です。そこで、この2パターンに分けて考えてみましょう。

    風呂内さんによると、「世帯年収1,000万円以上の家庭は、先ほどのDINKSの考え方と同じ」なのだそう。

    「金銭的にゆとりがあるからこそ、機械的に貯蓄する必要があります。こちらも、収入の25~50%の貯蓄をめざしたいですね。というのも、高収入世帯は、生活レベルを上げていることも多いため、ちょっと節約しようと工夫したところで、焼け石に水なんです。また高収入を得るためにキャリアチェンジを繰り返している人も多いので、実は退職金が出ないなどリスクをはらんでいる可能性も。そういったことを織り込んで、何かひとつ買うにしても、本当に必要なのかどうかをしっかりと見極めたいですね」

    一方、世帯年収600万円の共働き夫婦の場合は、時間や気持ちにゆとりのある妻の工夫次第なのだとか。「もちろん子どもの有無によって、マネープランはかなり変わります。ただ、DEWKSの場合も、子どもが少し手を離れてくれば、家計を見直すことにパワーを割く余裕が出てきます。そのとき、収入を増やす以外の方法、つまり生活のコストを抑える方向で家計に貢献できる方法を模索しましょう」

    子あり・子なしはもちろん、転勤の有無や世帯年収によっても大きく変わるマネープラン。我が家のライフスタイルによって、最適な家計管理や貯蓄を心がけたいものですね。

    取材協力:ファイナンシャルプランナー 風呂内亜矢

    取材・文:ヨダヒロコ(六識)

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