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FPが指南!結婚後のお金のハナシ Vol.1 持ち家VS賃貸 私はどちらを選択すべき? メリット・デメリットを分析


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    結婚や出産といったライフイベントがあるたびに、夫婦間で持ち上がる「マイホーム」問題。家は一生でもっとも大きな買い物とも言われますから、分譲を買うのか、それとも賃貸に住み続けるのか、なかなか簡単には決められません。単純に考えると、最終的に資産になる分譲がお得な気もしますが、ライフスタイルが多様化し、ローン返済や昨今の空き家問題などのリスクもふまえると、案外どちらとも言えないかも!?そんな疑問に、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんが答えてくれました。

    長い目で見ると総住居費は変わらない!?

    「立地や広さなど同一条件の物件で比較すると、ローン完済後に維持費しかかからない分譲のほうが、長期的に見れば総住居費が安くなる可能性はあります」と風呂内さん。しかしそれは、あくまでも同一条件の物件に住み続ける場合、なのだとか。

    「分譲の場合は、買った時点で将来支払う住居費がほぼ確定してしまいます。子どもの教育費や老後の準備など今後のマネープランを立てやすいというメリットがある一方で、家計がピンチになったとしても支払う金額は変わらないというデメリットがあります。しかし賃貸であれば、ライフスタイルや家族構成の変化に応じて間取りや広さ、住むエリアなどを自在に変えられるため、その時々の身の丈に合った住居費を支払うことができます。そういう意味では、総額はそれほど変わらないと言えます」

    では、分譲か賃貸かを選ぶ際に、それぞれ気をつけるべきポイントはあるのでしょうか。

    分譲は「さばきやすさ」、賃貸は「老後の家計」がポイントに

    風呂内さんによると、分譲を買う場合には「さばきやすさ=売りやすさ、貸しやすさ」をふまえて検討したほうがいいのだそう。

    「転勤があったり家族構成が変わったりして住み替えが必要な状況になったときに、“さばきやすい”かどうかで、その後の家計に大きく影響します。首都圏であれば、一般的には30~50m2のコンパクトな物件が貸しやすく、60~70m2くらいの3LDKが売りやすいと言われています。都心に近いなど立地のよさもポイントになりますね」。

    一方で、賃貸を選択する場合は「老後の家計」をしっかり見据えておく必要があるとのこと。

    「家賃の支払いが一生続くわけですから、老後の住居費に備えた貯蓄が必須です。特に専業主婦家庭は、夫が亡くなった場合も家賃を払い続けられるかどうかを考えなければいけません。十分な貯蓄があることはもちろん、場合によっては、住宅ローンの団体信用生命保険に相当するような生命保険に入っておくという選択肢も考えたほうがいいかもしれません」

    どうやら、「妻が共働きか専業主婦か」「子どもがいるかいないか」も分譲 or 賃貸を判断するひとつの目安になりそうです。それぞれのパターン別に、メリット・デメリットを見ていきましょう。

    子どもの勉強部屋が必要な期間はせいぜい6~10年

    子あり家庭の場合、分譲を買うとなると勉強部屋のことなどを考えて、より大きな物件がほしいと思うものですが、そこに落とし穴があると風呂内さんは言います。

    「広い間取りが必要な期間はどれくらいか、ということを考えたほうがいいでしょう。というのも、子どもが小さいうちは1LDKや2LDKでも十分生活できます。自分の勉強部屋がほしいと言いはじめるのは中学生になる頃と考えれば、そのひと部屋が必要な期間はせいぜい6~10年程度。この一時だけのために無理をして広い物件を買って、子どもが独立したあとも高いローンを払い続けるメリットがあるかどうか。そこをはっきりさせておくべきです」

    かつては郊外に広い家を買って、老後は都心のコンパクトな物件に買い替えるという流れもありましたが、昨今の空き家問題を考えると「郊外の広い部屋はさばきにくいため、そのパターンはおすすめしない」とも。

    「どうしても分譲を買いたいのであれば、貸しやすい物件を買って、勉強部屋が必要な期間だけ賃貸物件に住む、という選択肢もあります。また共働きの場合は、専業主婦家庭に比べて老後のお金に対する不安もそうないでしょうから、子どもの成長具合に応じた賃貸に住み替えをしていくのもありです」

    ただし、“安心”という面では分譲のほうに分があるとのこと。「名義人が亡くなった場合はローンもチャラになりますから、子どもの教育費なども考えると、住居が保障されているという意味では安心が得られます。ただし、夫婦が共同名義で買うとローンは半分残ってしまいますので、できれば共働きの場合も片方の名義で買うことをおすすめします」。

    分譲を買うメリットが大きいのは「子なしの共働き夫婦」

    では、子なし家庭の場合はどうなのでしょうか。風呂内さん曰く「子なしの共働き夫婦は、断然分譲がお得」なのだそう。

    「最初に、長く住めば住むほど分譲のほうが総住居費は安くなるという話をしましたが、まさに子なし家庭が該当します。子どもの成長具合に左右されないので、一度買ってしまえば、そのままずっと住み続けることができるからです。さらに共働きであれば予算もかけられるため、さばきやすい好条件の物件を買うことも可能です」

    つまり、子なしの共働き夫婦は、自分たちのライフスタイルにも合い、かつ事情により引っ越しを余儀なくされた場合にもさばける物件が買える可能性が高いということ。そういう意味で、もっとも分譲を買うメリットがあると言えるようです。

    一方、子なしの専業主婦家庭はというと「絶対買ったほうがいいという度合いは薄まります」と風呂内さん。

    「夫が亡くなったときに残されるのは、妻だけ。子どもの教育費を捻出しなければならないという心配がないため、子供がいる家庭ほど保障を必要としない上、夫の収入のみで物件を購入する場合、家計における住居費が高くなりすぎてしまう可能性もあります」

    分譲も賃貸も、大きな住居費がかかるという点では同じ。どちらにもメリット・デメリットがあります。今だけでなく、将来のライフスタイルの変化もきちんと加味したうえで、我が家はどうするのかを決めるようにしましょう。

    取材協力:ファイナンシャルプランナー 風呂内亜矢

    取材・文:ヨダヒロコ(六識)

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