芸人としても活躍するファイナンシャル・プランナー(FP)のさんきゅう倉田さんに、女性のライフスタイルに応じたお金の増やし方を紹介してもらう「女性のためのお金の増やし方講座」。共働きママの場合はどうお金を増やすべきか。多彩な肩書を持つ倉田さんの視点で語ってもらいました。
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ダブルインカムでも安心できない 合計約1億円……人生の三大支出にどう備える!?

そもそも三大支出って?
さっそくですが、世間にはたくさんの“三大○○”がありますが、人生の支出においてもそれはあります。支出額が大きい教育資金・住宅購入資金・老後資金がそれにあたります。
教育資金は、3歳から大学卒業まで私立に通った場合、1人あたりおよそ2,000万円。
そして3,000万円の家を購入する場合、目安として頭金600万円を払った上で、月々の住宅ローンなどを支払っていくことになります。
この2つだけでもかなりの額ですが、将来的には老後資金という支出も待構えています。ゆとりある老後のためにはなんと3,900万円が必要という試算も!
つまり三大支出の合計は約1億円です。
人生の三大支出の目安

教育資金
2000万円
3歳から大学卒業まで私立に通った場合のおおよその金額

マイホーム
3000万円
(頭金600万円)
購入金額が3000万円の場合20%の頭金600万円が必要

老後
3900万円
65歳から25年間、夫婦でゆとりある老後生活を送るために必要とされる金額
※ 教育資金:文部科学省 平成28年度子供の学習費調査・国立大学等の授業料その他の費用に関する省令・私立大学等の平成28年度入学者に係る学生納付金等調査結果
※ 老後:(公財)生命保険文化センター 平成28年度生活保障に関する調査によるゆとりある老後生活費月額35万で算出した場合
計画性とコツで『1億円払える人』に
ただ、これらのお金は同時期にすべて出ていくわけではありませんので、『1億円稼ぐ人』になることを考えるのではなく、『1億円払える家計』にすることを念頭に、ダブルインカムに計画性とコツをプラスすれば、きっと解決策が見えてきます。
共働きママはどう働く?どうお金を増やす?

夫婦でスキルアップして収入を増やす
『働くこと=お金を稼ぐこと』と考える人も少なくないと思いますが、仕事は本来楽しいもので、自分の成長ともリンクしています。私も元国税局職員、芸人、FP、ワインエキスパートといろいろな顔を持って活動しています。そして、すべての経験が自分自身の成長や新しい仕事につながっていると感じています。
ママが働くのは時間的にも体力的にもかなり大変なことだと思うのですが、だからこそ、貯蓄するためだけに働くのではなく「もっと成長するためにはどうしたらいいのか?」を考えるべきだと思います。
例えば、夫婦で希望の働き方の目線合わせをしながら、社内でのキャリアアップや転職を考える。資格をとるなどしてスキルを掛算していくのもいいかもしれません。私も、資格を取るなどの自己投資を続けたことで仕事の幅が広がりました。
また、副業としてなら、やりたいことを思い切って始めたり、ママという立場を活かしながら文章を書いたりデザインしたり、家でできることもあります。最近は副業のスキルを身に付けるべく、専門学校に通う女性も増えているようです。
何も考えない支出に要注意
収入を増やすと同時に、保険料や通信費などに無駄がないかもチェックすべきです。
私の吉本の同期で、ギャンブルもやらないしお酒も飲まないし、恋人もいないのに、借金がある男性がいます。よくよく聞くと、服とかフィギュアとか、必要でなさそうなものを、何も考えずに買っているんです。このような支出は気づかないうちに家計を圧迫するので、注意が必要です。
ただ、節約ばかりしていては人生を楽しめません。ダブルインカムで余裕があるのなら、節約ばかりに走らず、お金を使うことで自分らしく暮らす方法を模索すべきです。
お金にも一緒に働いてもらう
ずばり、夫婦だけでなくお金にも働いてもらう(=投資)ことも考えましょう。今は超低金利時代ですから、普通預金ではお金は増えません。仮にすぐに使う予定のないまとまったお金があるのなら、その一部を投資に回すなど、積極的に増やす努力も忘れずに。
かしこいママの家計はお金も共働き!?

投資する人としない人の資産に差
じつは、投資する人と投資しない人の資産の額は、年を経るごとにどんどん離れていくというデータがあります。つまり、お金にも働いてもらっているかいないかで差がどんどん広がっていくということです。
今は、国がNISAやiDeCoといった税制的に有利なしくみをつくって、国民に投資を勧めていますので、始めやすい状況だと言えるでしょう。
投資信託でお金も共働き
投資できる金融商品には、さまざまな種類やリスクがあります。しかし、共働きママの場合、自分で調べる時間が取れないこともあるでしょう。そんなときは、プロに運用を任せられる投資信託が1つの手です。
投資信託はいろいろな資産を組合わせることでリスクを分散できます。つまり、夫婦共働きのように、働く先が複数あることで、不測の事態にも家計の安定を保つことができるわけです。また、月々100円単位、1,000円単位など少額から始められるため、投資初心者にも向いているのです。
そんな中でも毎月一定額を積立てる積立型の投資信託が計画的でいいかもしれません。金融商品を調べるきっかけや、知るきっかけとして、少額からスタートするのもよいでしょう。10年後、20年後を見据えるなら、早めに始めるに越したことはありません。
ちなみに下記のつみたてシミュレーションでは、例えば、夫婦あわせて月7万円を老後資金のために30年間積立てる(想定利回り3%)と、最終積立金額が4,000万円を超えました。人によっては退職金が出る場合もあるので、こういった試算があれば『1億円払える家計』になる姿が想像できるのではないでしょうか。仮に月7万円を普通預金で貯めた場合(月7万円×12ヵ月×30年=2,520万円※金利は考慮せず)と比較すると、約1,500万円の差がつきます。
投資信託自体も種類が多いので迷ってしまうかもしれませんが、まずは自分が興味を持てそうなものを選ぶといいと思います。値上がり率、騰落率などの投資信託ランキングなども発表されているので、最初はそれらを参考に、購入する投資信託を選んでみるのもいいかもしれません。
共働きママの投資の始め方

なぜ『1億円払える家計』にしたいの?
ここまで「1億円払える家計にするには?」という観点で話を進めてきましたが、大事なのはその先の幸せをイメージすることです。そして、無理のない範囲で準備していくことです。
なので、資産運用を始める前に考えたいのが、やる目的と必要な金額、そしてそのために投資する金額です。教育資金のためか、老後資金のためか。そしてそれはいくら必要か。ある程度まとまった額で投資するのか、月々の余剰金を少しずつ投資するのかなど。ライフプランと照らし合わせながら考える必要があります。夫婦でしっかり話し合っておきましょう。
そういったことを整理した上で、前述した、つみたてNISA、iDeCoなども活用したいもの。毎月少しずつ積立てたいのであれば、つみたてNISA。ある程度まとまった額を投資したいのであれば、NISA。老後資金を貯めたいのであれば、60歳以降に年金か一時金で受取れるiDeCoなど、目的によって使分けてください。
NISA・つみたてNISA・iDeCoの特徴
NISA | つみたてNISA | iDeCo | |
---|---|---|---|
対象者 | 20歳以上 | 20歳以上 | 60歳未満 |
利用限度額 | 年間120万円 | 年間40万円 | 月額1万2,000円〜6万8,000円 (職業によって異なる) |
運用時の 非課税期間 |
最長5年 | 最長20年 | 引き出しまで |
節税メリット | 運用益が非課税 | 運用益が非課税 | 運用益が非課税、 掛金が全額所得控除の対象 |
引き出し | いつでも可能 | いつでも可能 | 原則60歳以降 |
NISA | |
---|---|
対象者 | 20歳以上 |
利用限度額 | 年間120万円 |
運用時の 非課税期間 |
最長5年 |
節税メリット | 運用益が非課税 |
引き出し | いつでも可能 |
つみたてNISA | |
---|---|
対象者 | 20歳以上 |
利用限度額 | 年間40万円 |
運用時の 非課税期間 |
最長20年 |
節税メリット | 運用益が非課税 |
引き出し | いつでも可能 |
iDeCo | |
---|---|
対象者 | 60歳未満 |
利用限度額 | 月額1万2,000円〜6万8,000円 (職業によって異なる) |
運用時の 非課税期間 |
引き出しまで |
節税メリット | 運用益が非課税、 掛金が全額所得控除の対象 |
引き出し | 原則60歳以降 |
※制度の情報は2020年5月時点のものであり、今後変更となる場合があります。
※2023年1月1日より「20歳」と記載の箇所は「18歳」となります。
資産運用のパートナーは安心感で選ぶ
投資を始める際には、金融機関に口座を開く必要があります。ここでどの金融機関を選ぶかも重要です。投資に慣れていないのであれば、サポート体制が整っている大手金融機関を選ぶと良いでしょう。分からないことがあったときにも丁寧に寄添ってくれるので、安心感があります。
多少なりともリスクがある投資に一歩踏出すのですから、商品選びだけでなく、金融機関選びでも、リスクは減らしておきたいものです。
以上、共働きママのお金の増やし方をご紹介しました。働くママは時間の制約がありますが、ぜひ楽しく働いて、収入アップを目指しつつ、お金に働いてもらうことにもチャレンジしてみてください。
取材協力

さんきゅう倉田さん
芸人、ファイナンシャルプランナー、ワインエキスパート
大学卒業後、東京国税局に入庁。約2年勤務したのち退職。NSC(吉本総合芸能学院)東京校に入学。現在は、税金や確定申告を題材にした芸風で講演会を行なう他、関連する書籍、ネットでの連載記事等の執筆も多数。常に向上心を忘れないために“日本で2番目くらいにおもしろいFP”を自称。
取材・文/斉藤一美
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