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お金の使い方を考えよう!
わたしも社会も幸せになる「エシカル消費」とは

公開/2020年12月

コロナ禍により、これまでと生活が大きく変わってきています。そんな中、お金の使い方をあらためて考え、「自分のためだけでなく、困っている誰かのためにお金を使いたい」、そんな風に思った方も多いのではないでしょうか。そうした考え方でお金を使うと、もっと幸せになれるのかもしれません。そこで今回は、自分も社会も元気になるお金の使い方を考えてみましょう。

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エシカル消費とは

エシカル消費をしているイメージ写真

誰かを応援するためにお金を使いたい

近年では寄付やクラウドファンディング、ふるさと納税をする人も増えてきていますし、コロナ禍により消費が落ち込んだものの購入など、「応援消費」をしたという方もいるでしょう。そんな、「誰かを応援するために、お金を使いたい」という気持ちは、これからもさらに高まっていくのではないでしょうか。

誰かを応援するお金の使い方である「応援消費」にも近い言葉で、近年注目が高まっている言葉に「エシカル消費」があります。「“エシカル”って聞いたことはあるけれどよくわからない…」という方もいるかもしれません。

商品の物語に共感

All About『ボランティア』ガイドの筑波君枝さんは、「エシカル消費とは『商品やサービスができあがって届くまでの“物語”を買うこと』と考えてはいかがでしょうか?」と話します。

「エシカルは、“倫理的”“道義上の”といった意味の英語です。素材の産地の環境、製造した国の労働者の雇用状況などにも配慮したものや、社会の課題解決に取り組んでいる商品という意味を指します。どんなモノでも、生産地や作り手の方々がいて、作り方にそれぞれこだわりがあるはず。それらが適切に行なわれているものかどうかという物語を知り、それに対してお金を支払うのが、エシカル消費です。

モノやサービスができあがるところから届くまでの過程を知ることで、職人さんや生産地を身近に感じたりして、愛着がわきますよね。大切に使ってくれる人がいれば、生産者の方も『責任をもってちゃんと作ろう』という思いにつながり、好循環が生まれると思います」(筑波さん、以下省略)

エシカル消費とSDGs

2015年の国連サミットで、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標としてかかげられた「SDGs」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。

SDGsの項目には、貧困や気候変動、持続可能な消費と生産などの課題がありますが、これらの解決につながるような、正しい労働環境や自然環境でつくられたものや、社会的に弱い立場にある生産者の商品を、先進国の消費者が対等な立場で買うフェアトレードも、「エシカル消費」の一つです。

エシカル消費への関心が高まる

女性の関心が高い

消費者庁のデータでは、「エシカル消費について興味がある」と答えた人が2019年度の調査では59.1%にのぼり、2016年の35.9%に比べて、大幅に上昇しているようです。

しかも男女で興味差があることもわかりました。例えば、女性の場合、30代が59.5%、40代が68.9%、50代・60代が73.4%なのに対して、男性は、30代が50.4%、40代が52.5%、50代・60代が57.0%というように、女性の方が関心が高いことがわかります。

また、エシカル消費に関連する行動に関しても、近年は「実践している」と答えた方が増えてきているようです。
(令和2年8月消費者庁発表「エシカル消費(倫理的消費)に関する消費者意識調査報告書の概要について」より)

あなたは、エシカル消費について、
どの程度興味がありますか?

エシカル消費について興味があるかの調査結果

※令和2年8月消費者庁発表「エシカル消費(倫理的消費)に関する消費者意識調査報告書の概要について」内のグラフを元にAll About作成

「30〜60代くらいの女性は子育て世代とも重なりますし、年齢に応じてお金にも多少余裕ができてくるからかもしれません。子どもがいると、食べものにも気を使いますし、安全安心なものに気持ちがいきますよね。子どもたちが成長した先の社会がどうなるか、親としても気になることで、正しい環境や想いで作られたものにお金を出したいという気持ちが高まるのかもしれません」

エシカルの輪が広がりやすい社会

最近は、災害に対する募金やクラウドファンディングも広がっているほか、ネット上では、ポイントなどで寄付できるケースも増えています。SNSなどのネットにより、情報を入手しやすくなったことも、エシカル消費や応援消費を後押ししていると言えそうです。

「以前は、困った人に寄付をしたいと思っても、募金箱に現金を入れるくらいのイメージでしたが、今はネットで調べれば、すぐに寄付ができるようになりました。また、生産者の想いやモノが作られる過程なども、ネットから情報を入手しやすくなりました。

せっかく買いものをするなら、環境に負荷がかかっていないものや、倫理的に正しく作られたものなど、より良い社会をつくるものを選びたいという価値観が広がっているように思います。

スーパーで「応援消費」を後押ししていたり、食品メーカーが、商品の購入点数に応じて発展途上国に寄付をするといったキャンペーンを行なっていたりと、エシカル消費はどんどん身近になってきています。

例えば、“子ども食堂”を支援している企業など、社会問題に積極的に取り組んでいる企業の製品やサービスを選ぶということも、広い意味での“エシカル消費”になるでしょう。企業のHPにも、社会貢献についての取組みを載せているところが多いので、気になる企業があればぜひチェックしてみてください。消費者である私たちが、社会貢献をしている企業を評価し、応援していくことで、企業の活動も後押しできると思います」

「エシカル金融」という方法にも注目

エシカル金融のイメージ写真

預けたお金がどう使われるか

モノやコトにお金を払うだけでなく、エシカルな観点でお金の流れを考える「エシカル金融」というキーワードも、近年注目されています。

エシカル金融とは、人や地球環境、社会のことを配慮しながら、自分のお金の預け先や投資先を選ぶことで、世の中のお金の流れをより良くするという考え方です。例えば銀行や証券会社などの金融機関を通じてお金を預けたり、投資をしたりする場合、もう一歩進んで「そのお金がどこに使われているか」と意識してみることです。

より良い事業を行なう企業とは

今後より良い社会をつくるために、より良い活動をしている企業を選び、投資していく姿勢はますます広がっていくのではないでしょうか。

私たちができる投資としては、良い社会事業を行なっている企業のモノやサービスを買ったりするほか、それらの企業へ投資するという方法もあります。

その一つが「ESG投資」です。ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)に配慮している企業を重視・選別して行なう投資のこと。

財務省の広報誌「ファイナンス」(令和2年1月号)の「ESG投資の動向と課題」によれば、2018年に投資家が保有する総運用資産のうち、ESG資産の割合が、欧州や、カナダ、オーストラリアなどでは過半を占める水準にまで到達しています。

このように、すでに潮流となっているESG投資。では、私たちがESG投資を考えるとき、企業のどのようなポイントを見れば良いのでしょうか。その一つがSDGsに注力している=SDGs関連銘柄かどうかです。

なので、ESG投資とは、SDGs関連銘柄に投資をすることでもあり、このようなお金の使い方が、より良い社会の実現につながっていくでしょう。

SDGs銘柄への投資で幸せになれるわけ

社会的課題解決に取り組む様子

企業と一緒に社会を変えられる

SDGsの達成に関連する銘柄としては、例えば、女性職員の比率を50%にすることを目指している企業や、医療の研究を進めている企業、無公害・再生可能エネルギーを利用した発電に取り組む企業などがあげられます。これらの銘柄に投資をすることは、社会的課題の解決をサポートできるだけでなく、世界的に注目される事業内容であるため、企業としても成長が見込まれ、投資効果も期待できるはずです。

自分が投資したお金で社会がより良くなり、さらに自分の資産が増えるのであれば、自分も社会も、みんなが幸せになれる投資だといえます。

社会への貢献感を持てる

このような「エシカル」の考え方について、筑波さんは「社会がより良くなることに加えて、自分自身の充実感がえられる効果も大きい」と話します。

「誰かを助けたつもりが、自分自身が助けられていたということがありますよね。これに近い感覚で、より良い社会に向けて頑張っている人や企業を応援することで、社会の一員としての“貢献感”を得られるのではないでしょうか。

お金を使うとしたら、本当に気に入るものや、良いものに対してお金を使いたいもの。気に入ったものであれば、より大切に使いますよね。世の中が変わりつつある今、みんなで助け合って、いい社会につなげていくというお金の使い方は、これからも増えていくと思います」

一人ひとりがより良い社会をつくる、そしてみんなが幸せになる。そのために、日々のお金の使い方や、投資をする際のお金の預け先などについて、今一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

SDGs関連ファンド

取材協力

筑波君枝さん

ボランティアライター。広告会社、雑誌会社などの勤務を経て、1993年に独立してフリーライターとして活動するかたわら、在日外国人の支援団体でボランティア活動を開始。ボランティア活動に関する取材・原稿執筆や講演などを行なっている。All Aboutでは『ボランティア』ガイドをつとめる。

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