「投資を始めてみたい」と思ったとき、「一体、私は何に投資ができるのだろう?」と疑問に思う人や「『株式』や『投資信託』などさまざまな商品があるけどどう違うの? 何から始めたら良いの?」と悩む人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、数ある商品の中から『株式』と『投資信託』の特徴と、それぞれに向いている人について紹介していきます。
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まずは知りたい! 株式と投資信託の違いとは?
株式とは、その会社を応援できる“特別なチケット”
投資と聞くと、まず思いつくのが株式投資。株式とは、お金を必要としている会社が、お金を提供してくれた投資家(個人や会社)に対して発行する証明書のことで、もともとは株券という名前の通り紙で発行されていました。また、株式は『株』と略されることもあり、株を売買するときの価格を『株価』と呼びます。ファイナンシャルプランナーで、All About『資産運用』ガイドも務める久富有里加さんは「株式はその会社を応援することができる“特別なチケット”と思ってください」と話します。

「株式は、会社が何か新しいことをしたい、事業を拡大したいと思ったときに、必要な資金を集めるために発行するものです。その資金を利用して事業がうまくいき、業績が評価されたら、その会社の株価が上がるしくみ。またそこで出た利益の一部は、株を買ってくれた人、つまりその会社に資金を出してくれた人に配当などで還元するというしくみになっています」(久富さん)
株式投資で利益を得る方法は主に2つ。その株式を買った価格より高く売れたときに得る「売却益」と、株式を持っているときに一定の条件を満たすと受取れる「配当金や株主優待」による利益です。配当金は文字通りお金を受取ることができ、株主優待はその会社の商品やサービスなどがプレゼントされることが多いです(配当や株主優待はすべての株式会社が行なっているものではありません)。
注意したいのは、どちらの利益も確実に得られるとは限らないこと。その会社の行なったことが世間から評価されなかった場合や、業績の低迷、日本や世界の経済状況なども株の価格変動に影響します。また、当初は受取れた配当金や株主優待が、業績悪化により縮小されたり廃止されたりすることもあります。
「だからこそ、株式はその会社の応援チケットという見方が大切。会社の今後の成長のためにお金を出して、順調に成長すれば配当や優待を受取り、将来的には株価が上昇して値上がり益を得られることに期待する。そんなふうに長い目で考えると良いですね」(久富さん)
投資信託は金融商品を組合わせたパッケージ商品
株式同様、よく耳にするのが投資信託。これは国内外の株式や多様な金融商品を組合わせたパッケージ商品です。組合わせもさまざまで、「国内株式と国内債券を中心に幅広く投資する」「海外の成長企業を中心に投資する」など、投資信託ごとにあらかじめ方針を決めて運用されています。

「投資信託は、あらかじめ定められた運用方針に沿って、専門家が金融商品を売買することで利益の確保を目指す商品です。また、さまざまな金融商品や地域に分散して投資するタイプの投資信託は、『分散投資』という手法を用いることで、一つの金融商品に集中して投資することによるリスクを排除できるため、比較的値動きを抑えやすい傾向があります」(久富さん)
投資信託では、値上がりした投資信託を売却して得られる「売却益」と、投資信託を持っているときに得られる「分配金」のうち「普通分配金」が利益に当たります。こちらも株式同様、未来の成長を期待して投資するので、必ずしも利益が得られるものではありません。
株式投資に向いているのはこんな女子!
では、株式投資に向いているのはどんな人でしょうか。久富さんは「投資を通じて自分の世界をどんどん広げていきたい人」だといいます。

「株式投資で応援したい会社を探すうちに、今までの生活では接点がなかった会社を知ることもあります。参加資格を満たせば株主総会というその会社の会議に出席することもでき、経営陣の話を直接聞く機会があるなど、刺激的な経験もできます」(久富さん)
また、株式投資の世界に足を踏み入れると、新商品のリリースや業界のトレンドに敏感になるなど、自然と経済の勉強に繋がることがあります。「最近はSDGsなどにフォーカスした発信をしている会社も多く、女性ならではの感性が役立つことも多くあります」と久富さん。
そのほか、好みの会社の優待券や新商品などを試すことができる株主優待に興味がある人にも、株式投資は魅力的でしょう。
「以前は、株式投資はそれなりのお金が必要でしたが、最近は少額からでも始められるようになりました。また、アメリカの市場で売買される株式は基本的に1株単位で購入できるため、誰もが知っているような有名化粧品ブランド、先進的なIT企業などの株が数万円で買えてしまいます。少額からお試し感覚で買って、どんどん世界を広げてみてほしいと思います」(久富さん)
投資信託に向いているのはこんな女子!
次に、投資信託への投資が向いているのはどんな人でしょうか。「日頃の生活であまりお金のことは考えずにいたい、お金の運用はプロに任せたい人」だと、久富さん。

「投資信託は、運用を専門家に任せられるため、お金のことを考えるのが苦手という人にオススメです。また、月々数百円、数千円といった少額から積み立てることもできるので、今はあまり投資にお金が回せないという人にも向いています。まずは少額から積立を始めてみることで、お金と上手に付合えるようになるのではないでしょうか」(久富さん)
投資には興味があるけど、なかなか行動できないという人は、自分が投資をした未来が想像できていないからかもしれません。久富さんは「少ない金額で始めてもしょうがないから、と思うかもしれませんが、何もしないでお金の不安やもやもやを抱える生活を続けて良いのでしょうか? もし仮にこうなれたら……と未来を夢みるように、投資という行動で未来が変わります」と一歩踏み出すことを応援します。いまは無料で積立のシミュレーションができるサービスのほか、自分に合った積立商品や、具体的な銘柄まで見つけられるサービスもあるので、ぜひここから体験してみては。
株式と投資信託のダブル投資にもメリットが? 自分に合った方法を探そう
株式と投資信託、それぞれの特徴と投資に向いているタイプを紹介してきましたが、久富さんは「難しく考えすぎず、まずは自分がやってみたいかも!と思えるものからスタートしてみて」とアドバイス。
「例えば初めてお料理を作ったときを思い出してみてください。自分のできそうな、または作った後に食べたいと思える、そんな興味があるものから始めたのではないでしょうか? 投資やお金のことでは完璧主義になりがちで、なかなか行動できない人も多いのですが、投資も初めてのお料理と同じように、自分の興味があるものから始めて、少しずつ興味の対象を広げていくと、やがて世界がぐんぐん広がって、さらに楽しくなるはずです」(久富さん)

さらに株式だけ、投資信託だけと、一つに絞るのではなく、両方に投資することにもメリットはあるそうです。
「一般的に投資信託の値動きは緩やかなことが多く、面白みを感じられない人もいるかもしれません。そうした人は株式投資を同時に行なうことで、値動きの楽しみも得られると思います」(久富さん)
値上がりで利益が期待できる株式と、安定運用が期待できる投資信託の両方に投資することは、リスク分散にも役立つと久富さんは話します。
最後に久富さんは、投資は目的を持って始めてほしいと強調します。
「なんとなく投資を始めると、価格が値下がりしたときに慌てて売ってしまい、その後に再び値上がりして後悔する、といったことも多いからです。ただ、いくら長期投資が大切と思っていても、人の心理は株価や投資信託の価格変動にドキドキしてしまうもの。そうならないためのポイントは、『投資を何のために行なうのか?』という具体的な目的を決めてからスタートすることです。例えば『投資金額が〇〇円まで増えたら旅行に行く』や『ずっと欲しかったバッグを買う』といった、自分の楽しみにつながる投資のゴールを決めて始めることをおすすめします。このゴールがあればワクワクしながら投資期間を待てるはず」(久富さん)
さらに最近は老後資金のために、と投資を始める人も多いようですが、久富さんは「老後資金を貯めるなら、まずiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用すべき」といいます。
「iDeCoにはさまざまな税制上のメリットがあり、運用成果を受取れるのは基本的に60歳以降と、老後資金のために設けられた制度です。若い女性で、もし老後が心配であれば、まず老後資金は公的年金やiDeCoへの投資で、株式や投資信託での投資は5年、10年後に手に入れたいものを目的にしてはどうでしょうか」(久富さん)
最近は証券会社の口座開設も簡単になり、「スマホだけで、思った以上にスムーズに口座開設ができた」という声もよく聞かれます。

「証券会社に口座を持っているだけでも、ちょっとカッコいいですよ。株や投資信託など投資の話で盛上れるのも、これまでとは違う新しい世界が開ける感じがするでしょう。投資でお金をコントロールすることは、自分の未来を明るくする行動の一つ。まずは興味のあるものから始めてみてください」(久富さん)
取材協力
久富有里加さん
大学卒業後、大手国内証券会社へ入社し、入社2年目で約100億円の資産を預かるまでに。その後、欧米型の独立系アドバイザーを目指しインターネット証券会社に転職。ベンチャー企業を経て、2016年に独立。情報サイトAll Aboutで「資産運用ガイド」を務め、YouTubeでも分かりやすい解説を配信。
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