ネットでかんたん! はじめよう、口座開設。

自分らしい銘柄の選び方【投資信託編】

公開/2022年5月

初めて投資をする人にお勧めの商品として紹介されることが多い「投資信託」。しかし、実際に調べてみると種類も多く、何をどう選べば良いのか迷うかもしれません。そこで、投資の始め方などに詳しいファイナンシャル・プランナーの横山利香さんに、「投資信託を詳しく知るためのポイント」や「こんな人にはこんな投資信託が向いている」など、初めての投資信託選びに役立つアドバイスをいただきました。

続きを読む

投資信託なら自分の興味や今のトレンドをもとに投資できる

投資信託はファンドとも呼ばれ、「複数の投資家から集めたお金をまとめて大きな資金にして、運用の専門家がさまざまな金融商品に投資する」というパッケージ商品。一人ひとりの投資額は100円からと、少額でも投資を始められるのも大きな魅力です。横山さんは「20〜30代なら将来の楽しみとして、年間数万円くらいの投資を考えても良いのでは?」と話します。

「毎月数千円の積立てでも、資金に余裕のあるときにまとめて投資しても構いません。2、3年すると貯まってきたと実感できるはず。投資先は自分の興味のあるテーマ、今のトレンドなどから考えると親しみやすいかもしれませんね。とはいえSDGsやカーボンニュートラルのような今どきの話題から入ると、実際にどんな業界・企業が関連しているのかを調べるのは大変です。そんなとき、投資信託なら運用の専門家が、決まったテーマをもとに投資先を選んで投資してくれます」(横山さん)

投資信託は銘柄ごとに運用方針が異なり、運用を指示する会社(運用会社)や販売会社のホームページに掲載された説明資料などで「こういう考え方でこんな対象に投資します」と紹介しています。それらを読めば、自分の興味や今のトレンドにあった投資先を選ぶ参考になるはずです。

「ニュースなどで『アメリカの株式市場は好調のようだ』と感じても、株式投資ではアメリカの企業について詳しく調べて投資先を絞込む手間がかかります。それに比べて投資信託は、『米国株に投資する』というテーマだけでも探せます。少額から投資したい人、個別の企業情報まで調べる余裕がない人は、投資信託が向いているといえます」(横山さん)

女性が経済についての新聞記事を読んでいる様子

株式市場全体や複数の金融商品にまとめて投資可能

投資信託の投資対象となる“さまざまな金融商品”は、国内外の株式、債券(※1)、不動産、金やプラチナのような資源など多種多様で、ドルやユーロなどの外貨建ての資産も対象となります。投資対象や運用方針が違えば、期待できる運用成績や値動きの特徴などが大きく変わることから、自分の希望にそった投資信託をどう選ぶかが大切になります。

例えば、投資信託の運用方針の一つとして、株価指数に連動するように運用する方法があります。株価指数とは株式市場の動きを示す指標で、東京証券取引所(東証)に上場する多様な銘柄の値動きをもとに算出されるTOPIX(※2)、代表的な225銘柄の値動きをもとにした日経平均株価(※3)などがよく知られています。アメリカの株式市場にもダウ平均株価(※4)といった株式指数があります。

「株価指数は英語でインデックスと言い、株価指数に連動するような投資信託を『インデックスファンド』と呼びます。日本やアメリカの株価指数はニュースでもよく目にしますし、日々の値動きも分かりやすいはず。株式市場全体や、株式市場の代表的な企業にまとめて投資したい人にインデックスファンドはピッタリだと思います」(横山さん)

さらに「日本の株式と債券、外国の株式と債券」というように、複数の金融商品に資金を分けて投資をする分散投資型のファンドもあります。一般的に株式や債券、不動産などはそれぞれ値上がりを期待できる市場環境が異なるため、複数の金融商品への分散投資はさまざまな経済状況でも比較的値動きを抑えやすい傾向があります。横山さんも「自分で考えて投資先を分けなくても、分散投資型のファンドならプロが投資先を選んで運用してくれますから、初めての人にも向いているでしょう」と勧めます。

少額から始められる、専門家が運用する、バランスを考えて投資するものもあるなど、メリットの多い投資信託ですが、一方で注意点として「購入時や運用中は手数料がかかるのを忘れずに」と横山さん。

「手数料の多い・少ないは運用損益に影響してきます。同じような運用方針の投資信託でも、銘柄によって手数料が異なる場合があるので、購入時には比較することをお勧めします。また、プロが運用するのだからと放置しがちですが、運用状況や投資先となる企業などの定期的なチェックは欠かせません。運用がうまくいっていないと思うとき、投資信託の規模を示す純資産総額が減り続けているとき、投資先が当初期待していたものではなくなったときなどは、一度売却して別の投資信託を選び直すことも検討しましょう」(横山さん)

世界の経済圏

※1 国・地方自治体、企業、団体などが資金を調達し、見返りに発行する借用書に相当する金融商品のこと。株式や投資信託と比べて安全性が高いとされ、満期まで保有すれば投資したお金が戻ってくるほか、利子が得られ、これが投資家の収益となります

※2 東京証券取引所のプライム市場・スタンダード市場・グロース市場(2022年4月の市場区分見直し後の名称)から東京証券取引所が選んだ多様な銘柄による株価指数

※3 東京証券取引所のプライム市場(同上)から日本経済新聞社が選んだ代表的な225銘柄による株価指数

※4 米ダウ・ジョーンズ社が算出・公表している、ニューヨーク証券取引所やナスダックの代表的な30銘柄による株価指数

長期運用派から収益期待派まで希望にマッチする投資信託は?

ところで、投資信託を始めるのに適した時期はあるのでしょうか?横山さんは「投資はいつからでも始められますが、少額から売買できる投資信託は若いうちからぜひ始めてみては」とアドバイス。

「社会人になると『お金を貯めて旅行をしたい』とか『年金は大丈夫かな』など、将来のお金のことにも興味がわいてきます。そうしたときに、投資信託で10年後、20年後まで続ける長期的な投資を始めてほしいですね。例えば市場を代表するような企業を中心にした投資信託なら、大きな値上がりはしなくても、長期的に安定した運用成績が期待できると考えられます」(横山さん)

加えて、株式と債券のインデックスファンドを自分で組合わせたり、そうした分散投資を行なう投資信託を選んだりするのも長期投資には向いているそう。

「株式市場は激しく値動きする局面も見られますが、長期的には大きな成長を期待できる場合があります。20〜30代の人なら将来の収益も考えて、株式を7割、債券を3割くらいの比率で投資するのもいいでしょう。海外にも幅広く投資したいなら、日本と外国のインデックスファンドを組合わせることもできます」(横山さん)

また、前述したSDGsやカーボンニュートラルのほか、ヘルスケア、AI、エネルギー、食糧、注目の国や地域といった特定の分野に投資するテーマ型のファンドもあります。これらは指数連動を目指すインデックス型の運用とは違い、運用の責任者が業界や企業を選んで投資することからアクティブ型の運用と呼ばれます。

ECO分野に興味がある様子

「テーマ型のファンドは、そのときどきの話題からつくられることが多いようです。テーマが一過性のものなら長期的には運用成績が伸び悩む可能性もあるので、長続きしそうなテーマを選ぶ、数年間の投資と割り切って売買するなどの工夫が必要でしょう。インデックス型に比べて、アクティブ型は運用コストが高い傾向にあり、それを上回る収益が期待できるかどうかも検討してください」(横山さん)

なお、定期的に分配金の受取りが見込めるタイプの投資信託もありますが、横山さんは「退職後など定期的な収入に期待したい時期とは異なり、20〜30代は将来に向けてお金をしっかり増やす時期。その利益や元本の一部を、早くから分配金として受取るのは考えものです」と若い世代に対してはあまりお勧めはしないとのこと。

横山さんによる投資信託選びの例をまとめると以下のようになります。

POINT
  • 株式市場や債券市場など、市場全体にまとめて投資したいなら
    ➡︎ 各市場のインデックスファンド
  • 海外に幅広く投資したいなら
    ➡︎ 外国の株式市場、債券市場のインデックスファンドなど
  • 長期投資で安定した運用成果に期待したいなら
    ➡︎ 株式市場を代表するような企業を中心にした投資信託
  • 長期投資で将来の収益にも期待したいなら
    ➡︎ インデックスファンドで株式の割合を多めに株式と債券に分散投資
  • 環境や公平性など話題の分野、応援したい分野に手軽に投資したいなら
    ➡︎ テーマ型のファンド

投資信託選びの最終判断に欠かせない重要項目をまとめて紹介

投資したい投資信託が見つかったとき、最終的な判断に欠かせない重要項目について横山さんに聞きました。

「投資信託の運用方針、投資のリスクなどのほか、『純資産総額』、『基準価額』、『騰落率』、購入時や運用中のコストとなる各種の『手数料』はとても重要です。また、販売会社のホームページにある純資産総額の増加額や、一定期間に買付けされた金額・件数、値上がり率などのランキングも参考になると思います」(横山さん)

純資産総額や基準価額は投資信託のこれまでの運用状況を知る手がかりになり、騰落率では一定期間内の値動きの状態が分かります(各項目の詳細はこの記事の最後にまとめていますのでご参照ください)。こうした運用実績に加えて、「大事なお金の運用を任せる運用会社についても調べてみましょう」と横山さん。

投資信託について詳しく調べている様子

「会社名が分かれば、これまでにどんな投資信託を運用して、どれくらいの運用実績を残しているかを確認できますから判断材料の一つになるでしょう。また、運用方針と実際の投資先を見比べて、自分が納得できるかどうかも大事なことです」(横山さん)

こうした重要な情報は、販売会社などのホームページで見られる「目論見書(もくろみしょ)」にまとまっているので購入前に確認しておきましょう。

「投資信託は短期的な値上がりを狙うより、長期的な視点で成長を目指す運用に向く金融商品。それだけに早く投資をはじめたほうが運用期間を長くとれ、途中で多少の値動きはあっても安定した運用成績につながりやすいと考えられます。教育資金やマイホーム資金などお金が必要な時期は投資金額を一時的に減らすこともできますから、自分自身の明るい未来のためにも、早いうちから継続して投資することをお勧めします」(横山さん)

【投資信託選びの重要項目の例】
・純資産総額とは…投資信託に組入れられている金融商品の時価評価に、配当などの収入を合計した金額から、所定の経費を引いた金額で、投資信託の規模を表します。

・基準価額とは…投資信託の取引は1口(くち)単位で行ない、基準価額は1口が現在いくらで売買されるかを示しています(純資産総額を総口数で割った金額が基準価額)。運用開始時は1口1円で設定され、運用が好調なら値上がりし、逆の場合は値下がりします。一般的に投資信託は1万口以上で取引されるため、ホームページなどで表示されているのは1万口分の基準価額です。

・騰落率とは…1カ月、6カ月、1年など一定の期間内にどれだけ値上がり・値下がりしたかを知るために、分配金も考慮して計算された価格の変化率のことです。手数料や税金を勘案していないため、実際の運用損益とは異なります。また、投資信託の損益状況を一目で把握したい場合は、評価金額と累計受取分配金、累計売付金額の合算値から累計買付金額を差引いた金額であるトータルリターンを活用しましょう。

・手数料とは…主に購入時の手数料と運用管理費用(信託報酬)などの諸経費があります。銘柄ごとに手数料率が異なるため、購入時には必ず確認しましょう。また、売却時に手数料(信託財産留保額)がかかる銘柄もあります。

取材協力

横山 利香さん

国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)、日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー。自身の投資体験をもとに株式や不動産、外貨、投資信託など、資産運用をテーマとした執筆や講演活動、投資塾などを行なう。All Aboutでは「投資をはじめてみよう」ガイドをつとめる。著書に『リスクが嫌いな人のお金の教科書』(WAVE出版)他多数。

この記事をシェアする

お取引はこちらから!