人生100年時代、将来への不安から投資を始めてみようかな……と思う人が増えています。そこで、投資を始める前の心構えを、ベストセラー『はじめての人のための3000円投資生活』シリーズの著者である家計再生コンサルタントの横山光昭さんに伺いました。
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投資は「未来の自分」のためのプレゼント

コツコツ貯金をしていても、お金はなかなか増えないもの。そこで、投資を始めてみようと考えながらも、一方では「損したらイヤだな……」という思いがつきまといます。
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「投資は未来の自分のためのプレゼントのようなものです。
『マイホームを買うための充分な頭金がほしい』『会社を辞めて事業を起こしたい』『これから大きくなる子どもたちのために、充分な教育費を用意したい』などの思いを抱いている人にとっては、投資は強い味方になってくれます。
正しい投資をしていれば、時間の経過とともにお金が増える可能性が高まります。お金が増えれば、暮らしもラクになり、ゆとりが持てるはずなのです」
多くの人が安心だと思っている普通預金では、資産が目減りするというのは本当ですか?
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「インフレの影響などで時間と共に価値が目減りする可能性もあります。
また現在は超低金利時代。多くの銀行で設定している普通預金の金利は0.001%(2020年3月末時点)です。
これは、100万円を1年間預けていても、受取れる利息はわずか10円。そこからさらに、税金が引かれてしまうのです」
しかし、投資ならやり方次第で、お金を増やせる可能性がありますね。
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「私が2016年に提唱した、“3000円投資生活”は、月々3000円ずつ投資をするというもの。“3000円投資生活”を始めた人の中には、それまで貯金0円だったのに、たった4年間で貯金が1000万円以上になった人がたくさん登場しています」
たくさんの人が投資を始めた背景には、インターネット上での投資が簡単になっていることがあるのでしょうか?
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「金融機関の取引サイトが劇的に使いやすくなりましたし、さまざまな金融商品が登場しています。
それに、数カ月続けていると『お金が増える』という感覚が分かるようになります。
もちろん元本は保証されませんが、お金が増減するという変化の波を肌感覚で分かるようになると、投資が楽しくなる。
節約のようにガマンばかりではないので、続けやすいのです」
「お金が増える」という直接的なものだけでなく、他にも、政治や経済、時代の空気に敏感になるというメリットがありそうですね。仕事上にも良い影響が出る人もいるかもしれません。
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「世の中の動向は株価に反映されることが多いことがわかり、モノを見る視点が変わります。それにより買い物の仕方が変わり、意義ある商品を選ぶようになるでしょう。支出の管理ができるようになり、赤字だった家計が黒字化するケースも増えていますね」
「大儲けしたい! お金を増やしたい!」と考えて、投資を始めたいと考える人も多いのではないでしょうか?
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「世の中には、おいしい話が溢れています。人が成功しているから私もできる、と短絡的に考えてはいけません。儲け話の裏にあるリスクを認識しなければなりません」

では、リスクを回避しつつお金を増やしていきたいという人のために、投資を始める前の基礎知識を教えていただけますか?
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「投資の基本ルールは、余剰資金でやることです。私は、『毎月の生活費の7.5カ月分の貯えをし、その上で投資を始めてください』とアドバイスしています。投資は長期スパンで行なうのが鉄則。生活費と貯金を確保し、ローリスク・ローリターンな投資を、積立で行なうことを勧めています」
「充分な貯金がないまま、投資にお金をつぎこんでしまい、病気やケガなど急に現金が必要になって、泣く泣く売ったために損をしたという人も少なくありません。そういう事態を避けるためにも、毎月の生活費の7.5カ月分が必要なのです」
POINT
横山さんがおすすめするのは、世界経済全体の指数に連動した運用を目指している全世界株式型の投資信託や、株や債券など様々な資産に均等に分散投資をしているようなバランス型の投資信託。
ただしいずれも、投資には元本割れするリスクが伴います。
投資で資産を増やす3つのルールとは?

投資と一言で言っても、個別株、債券、投資信託、FX、仮想通貨などさまざまな種類がありますね。
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「私は、投資したお金を大きく減らす可能性がある、FXや仮想通貨などのハイリスク・ハイリターンな投資はおすすめしていません。
それに、市場を読み、買い時と売り時の見極めが難しい個別株も、よほど知識とセンスがある人でないと難しいと思います。先ほど紹介した投資信託をおすすめしているのはそのためです」
投資スタイルは千差万別 どの投資にも共通する“横山流投資の3つのルール”をご紹介
その1
「最低でも10年間は保有を」
世界経済の市場は、日々、上昇したり、下落したりを繰り返しています。
今まで、リーマン・ショックや東日本大震災時などに、市場全体が暴落したことがありましたが、数年経てば回復します。損をすることを恐れて、慌てて売却すると大損する可能性が高まるのです。
その2
「投資先と種類を分散させる」
例えば、ある会社の株だけに投資していると、そこの会社が倒産してしまえば、一気に資産を失います。でも、さまざまな会社、国などに分散して投資しておけばリスクを分散し、抑えることができるのです。
その3
「少額ずつ、積立て購入する」
投資のプロでない私たちが、買い時、売り時を見極めるのはとても難しいです。
そのため、まとまった金額を一気に投資するよりも、高値の時には少しだけ、安値の時にたくさん購入するということを自動的にしてくれる、定額購入(毎営業日、毎月など)の積立投資をおすすめします。
定額で購入することで購入単価が平準化され、投資のリスクを軽減することができるのが最大のメリットです。
教えてくれた人

横山光昭
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表
お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の問題の抜本的解決、確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を受けている。これまでの相談件数は2万3000件を突破。各種メディアへの執筆・講演も多数。著書にシリーズ70万部突破の『はじめての人のための3000円投資生活』(アスコム)や『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー21)などがある。オンラインサロンでFPの育成にも取り組んでいる。
取材・文/前川亜紀
まとめ
- 横山さんによれば、最初は毎月3000円ずつから始めて、感覚がつかめたところで月々の投資額を少しずつ増額するのが賢い方法だそうです。これを続けていくと、怪しい儲け話などには飛びつかなくなるそうです
- 何事も己を知り、冷静さを保ちながら、コツコツ続けることが成功への一番の近道。それは投資も同じなのです
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