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●増加する個人向け社債
◆増加の背景は?
2008年後半以降、個人向けに発行される円建て社債が増加しています。2008年の発行額は過去最高の1兆3338億円となりました。それ以前に1兆円を超えたのは、1999年および2001年と、やはり市場が混乱していた年です。
こうした時期、機関投資家は信用リスクや価格変動リスクに対して敏感になっており、社債投資に慎重になる傾向があります。他方、国債や預貯金をはじめとする金利商品の利回りが全般的に低下する中で、相対的に高い利回りを提供してくれる社債への需要が個人投資家のあいだで高まり、結果として、個人向けの発行が増加することとなります。
◆社債といっても、種類はいろいろ
ひとことに社債といっても、公共性の高い電力会社が発行する社債もあれば、一般の事業会社が発行する社債もあり、元利金の支払い順位が普通社債よりも低い劣後社債といったものもあります。満期は個人が投資しやすい3年から5年に設定されることが多く、利率は社債を発行する企業の信用力(格付け)や発行時の金利水準等によって異なります。
●劣後債人気の背景
◆今注目の劣後債
| 社債のなかでも、いま注目を集めているのが期限付劣後債です。劣後債は、デフォルト時の元利金の支払い順位が一般債務よりも低くなっており、その分、普通社債よりも利率は高く設定されます。比較的信用力の高い企業への債券投資でありながら、プラスαの金利を得られる点が劣後債投資の魅力です。 |
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【バランスシートから見た劣後債】 |
◆なぜ、劣後債の発行体は金融機関が多いのか
ところで、劣後債の発行体をみると、金融機関が非常に多いことに気付きます。実は、劣後債は、会計上は負債に分類されますが、銀行経営の健全性を維持するための国際ルールであるBIS規制では、自己資本の補完的項目(Tier2)への算入が一定限度まで認められているのです。自己資本の増強が求められる金融機関にとって、株式希薄化が回避でき、超低金利環境下のため調達コストも低位にとどまっている劣後債はとても魅力的な自己資本増強手段というわけです。 これまで、劣後債の大半が機関投資家向けとなっていましたが、2008年8月以降、個人向け劣後債の発行も目立つようになっています。金融市場の混乱と円高の進展により、個人投資家のあいだで円建て安定運用商品へのニーズが強まっていることが背景にあります。 発行体、投資家双方のニーズが合致した劣後債の人気は当面継続しそうです。
●劣後債が繰上償還されやすい理由
劣後債には、満期前に繰上償還される「期限前償還条項」が付いているものが珍しくありません。一般的に、繰上償還をするかどうかは発行体が任意で決めることができるため、いつ償還となるか事前には確定していません。しかし、実際には残存5年のタイミングで繰上償還となるケースが大半となっています。なぜでしょうか?
劣後債は、BIS規制において自己資本に算入可能ではあるものの、残存期間が5年を切ると年率20%で累積的に減価しなければならないという決まりがあります。従って、金融機関には残存5年のタイミングで繰上償還し、再度劣後調達を行うインセンティブが働くわけです。
| 実際、大手金融機関がこれまで発行した劣後債で繰上償還が見送られた事例は多くありません。繰上償還が見送られるケースとしては、発行体の財務内容が大幅に悪化した場合やマーケットの混乱などにより再調達コストが大幅に上昇した場合などが考えられますが、一般的には、発行体にとって繰上償還するインセンティブが働く限り、残存5年で繰上償還する可能性が高いと思われます。 |
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| 5年超の期限付劣後債は一定限度までTier2に算入可能 |
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既存期間が5年以内になると、毎年20%ずつ累積的に減価する |
| 【劣後債の残存期間と“資本性”】 |
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主なリスクおよび留意点
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