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2019年1月11日
ロボットによる手術も実現!「医療×テクノロジー」の可能性に投資するには?
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    掃除をしたり、コミュニケーションを楽しんだり、受付や案内も担当してくれたりと、私たちの暮らしにロボットは身近な存在になってきました。それは医療分野でも同様で、例えばロボットを利用した手術も広がりを見せるなど、テクノロジーの進歩により、患者の身体への負担が少なく、より安全性の高い治療が可能になっています。こうした分野に詳しい医師の菅原道仁先生に、現状や将来への期待について伺いながら、医療機器市場への投資機会についても考えてみましょう。

    菅原道仁先生
    脳神経外科医。救急から在宅まで一貫した医療を提供できる医療システムの構築を目指し、総合病院を辞して地域に根付いた脳神経外科専門病院へ。「お互いに考える医療」「人生目標から考える医療」の診療スタイルを確立。脳血管障害を中心に、救急医療からリハビリテーション、予防医療までの現場経験を元に、一般の人にも役立つ医療情報を発信中。

    ロボットを利用した手術が現実に!進化する医療現場

    「ロボットを利用した手術」と聞いて、どんな風景を思い浮かべるでしょうか。「人間みたいなロボットが手術をするの?」と思う人もいるかもしれませんが、現在行なわれているのは、医師がロボットアームを操作して手術を行なう「ロボット支援下内視鏡手術」です。菅原道仁先生はこの手術を以下の様に説明します。

    「ロボット支援下内視鏡手術とは、高解像度の3D映像を見ることができる内視鏡とロボットアームを使った手術です」

    手術というと、かつてはメスで患者さんのお腹や胸を切り開いて行なう開腹、開胸手術が中心でした。しかし最近では患者さんのお腹や胸などに開けた小さな穴から内視鏡(腹腔鏡・胸腔鏡)や器具を入れ、医師が手術を行なう内視鏡手術(腹腔鏡・胸腔鏡手術)も一般化しています。内視鏡手術は小さな穴を開けるだけなので、開腹、開胸に比べて傷口が小さく、手術中の出血量が少ないうえに、痛みが少ない、手術後の回復が早いなど、患者さんの身体への負担が少ないというメリットがあります。

    こうした内視鏡手術をさらに進化させたのがロボット支援手術で、患者さんのお腹などに開けた小さな穴から3D内視鏡や手術器具を取り付けたロボットアームを入れて手術を行ないます。医師は患者から少し離れた場所に置かれた操作ユニットの前にいて、3D映像を見ながらロボットアームを遠隔操作します。

    「鮮明な3D映像で体内を立体的に映し出し、かつ拡大できるので患部をはっきり見られるのがメリット。加えて手先の微細な震えが伝わらないよう手ぶれを補正できるため、細かな作業でも正確な操作が可能になり、手術の精度も高まります。また、ロボットアームは人間の手と異なり、完全滅菌ができるという利点もあります」

    ロボット支援手術によって精度の高い手術が可能になることで、患者にとっては出血や手術後の痛みが少なく、手術後の回復が早いなど、医療の質や安全性の向上などの面で大いにメリットがありそうです。

    しかも、従来は前立腺がんの全摘や腎臓がんの部分切除など一部の病気に限られていたロボット支援手術の健康保険適用が、2018年4月からは胃がんや食道がんなどにも適用されることになりました(表1)。これにより、6歳以上70歳未満の人や70歳以上の現役並み所得者は自己負担が3割、70歳から74歳の一般・低所得者は2割、75歳以上の一般・低所得者は1割の自己負担でロボット支援手術を受けることができるようになっています。経済的な負担が軽くなったことで、こうした手術を受けられる患者が増えると期待されているのです。

    とはいえ、保険適用となるには病院が所定の施設基準や手術実績を満たす必要があり、「ロボット導入の費用が高額になるなど課題もある」(菅原先生)ため、まだ実施できる施設が限られているのが現状のようです。

    医療分野でのテクノロジーの活用は社会全体にも大きなメリット

    「現在のロボット支援手術は、患者から数メートル離れた場所にあるコントローラーを医師が操作して行なっています。これがもっと離れた場所での遠隔操作が可能になれば、例えば患者さんは自分が住んでいる地域の病院にいながら、そこから遠く離れた大学病院などにいる専門の医師の手術が受けられるようになるでしょう。地方の病院などで医師不足が大きな問題になっていますが、ロボット支援手術による遠隔医療が実用化されれば、都市と地方の医療格差の是正にもつながる可能性があります」

    医療分野のテクノロジーの進歩は、こうしたロボット支援手術だけではありません。さまざまな検査機器を活用した診断技術の発達もそのひとつです。

    「MRIや内視鏡検査などで体内の見える化が進んだことで、より早く病気を見つけることができるようになりました。とはいえ、人間の認知力には限界がありますし、先入観による見逃しの可能性もあります。そうした場合、AIなどを併用することで見逃しが減ることが期待できます」

    現在はさまざまな企業、団体、大学などが、AIを使った医療用画像の診断システムの開発に取り組んでいます。このほかにもテクノロジーを活用して、先進的で安全な医療を提供する取り組みが実用化されています。

    飲み込むタイプの内視鏡で小腸を検査する

    一般的な内視鏡は先端に小型カメラを内蔵した細長い管を使い、検査では口や大腸から、手術では腹部や胸部の小さな穴から出し入れします。一方で、飲み込むタイプの内視鏡は超小型カメラと撮影画像を無線で送る機能を内蔵し、水と一緒に飲み込むことで、これまでの内視鏡では見えなかった小腸の画像検査も可能になりました。2007年から小腸用カプセル内視鏡が、2014年から大腸用カプセル内視鏡が、それぞれ保険適用となっています。

    開胸手術なしに難しい心臓の手術を行なう

    血液を全身に循環させるため、心臓内にある弁は大切な役割を担っています。この弁の働きに不具合が起きるのが心臓弁膜症ですが、現在は開胸手術なしに心臓を動かしたまま、カテーテルによって人工弁を植え込むTAVIという治療法も可能になっています。

    さらに設備面では、手術を受けている患者さんの状況や手術の進行状況などの情報を統合し、適切な判断をしながら治療を進める「スマート手術室」が実現しつつあります。

    「現在開発が進められているものでは、手術室内の医療機器や設備全体をネットワークで結び、医師やスタッフ間のコミュニケーションツールなどとも連携させることも可能になるようです。全員が情報を常に共有・確認できるため、より早い判断が可能になり、手術の精度と安全性を向上させるとともに、手術の迅速化にもつながると見られます」

    手術室だけでなく、「スマートホスピタル」として病院全体で情報のリアルタイムな共有や機器の連携などが進めば、患者の来院から診察、会計までが今まで以上にスムーズになるでしょう。すでに一部の病院ではロボットを使った薬品運搬なども実現しています。さらに医療機関と家庭や地域とをつなぐ仕組みが広がることで、患者さんの日常生活や体調などが把握できるようになり、遠隔医療による医師の問診をより高い精度で行なうことができるようになります。

    「いずれはAIなどの機械にできることは機械に任せて、医師は自分の専門性を必要とする業務に集中できるようになるでしょう。また遠隔医療により、自宅で医師の診察を受けられるのが当たり前になれば、患者さんが病院に足を運んだり、医師が訪問したりといった移動時間の節約にもなります。そうなれば、医師や看護師、そのほかの医療従事者は、患者と家族の話に耳を傾け、寄り添うという医療の本質にもっと力を注げるようになると思います」

    医療現場でのテクノロジーの活用は、医療格差の是正、医師不足や医師の過剰労働といった社会問題の解消にもつながりそうです。

    現代の医療に欠かせない医療機器、どれだけ市場があるの?

    菅原先生は、「ITの分野で起きている変化は医療分野との親和性が高く、今後の成長が見込まれる」と話します。中でも顔認証センサーや体内埋め込み型IoT機器は、早急な導入と普及を期待したい分野だそうです。

    「顔認証センサーの導入が進めば、患者さんを取り違えるなどの事故を防ぐことに役立ちます。高度なテクノロジーを活用した医療機器の普及は患者さんにもメリットが大きく、医師をはじめとする医療関係者の負担軽減、増え続ける医療費の抑制など、社会全体に大きなプラスのインパクトを与えるでしょう。このため医療機器市場は今後も拡大するものと考えられます」

    世界的にも高齢化が進み、老化や生活習慣に起因するがんや糖尿病、長年の喫煙などが原因で肺が炎症を起こすCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などが増加すると考えられ、医療へのニーズが高まるとみられます。加えて、新興国では経済発展によって所得が増えた人たちを中心に、より高度で質の高い医療を求めるようになっています。これらの要因からも世界の医療機器市場は成長傾向にあるといえそうです。

    一口に医療機器といっても、病院では検査・診断、手術をはじめさまざまな場面で医療機器が活用されています。検査は、必要なら病気の状態や薬の効き具合などを遺伝子レベルで調べることも行なわれ、バイオ分野の技術を採り入れた医療機器が活躍しています。画像診断には放射線や強力な磁気などが厳重な管理の下で用いられ、近年では脳の内部、血管や心臓まで画像で明確に捉えることができます。これらの画像の診断を今後はAIがサポートしてくれるようになることは前述の通りです。手術では映像の立体視やロボット技術が重要になるなど、IT分野以外にも多様な分野のテクノロジーが生かされているのです。

    これから医療機器関連の企業に投資することは、このような医療の進歩を応援し、安全で効率的な医療を支える一助になり、自分や家族が安心して治療を受けられる未来へとつながっていくかもしれません。しかし、実際に投資先を選ぶとなると、医療の知識に加えテクノロジーについての幅広い知識が必要で、特に医療機器は欧米の企業が高いシェアを持っているため、海外の動向が重要になってきます。

    そうした場合に役立つのが、特定の分野に関連した企業を投資対象にした「投資信託」です。医療機器分野の中でも、世界中の関連企業から今後の成長が期待できると思われる企業に投資できるファンドの運用も始まっています。

    取材・文:ファイナンシャル・プランナー 大山弘子

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