西口晃平の「ファンダメンタルズ分析」講座 みなさん、こんにちは!債券ストラテジストの西口晃平です。情報は世の中に溢れていますが、今のマーケットのテーマを見極め、今後の展開を予想するのが「ファンダメンタルズ分析」です。そのノウハウを分かりやすく解説します! 西口晃平の「ファンダメンタルズ分析」講座 目次

みなさん、こんにちは!債券ストラテジストの西口晃平です。情報は世の中に溢れていますが、今のマーケットのテーマを見極め、今後の展開を予想するのが「ファンダメンタルズ分析」です。そのノウハウを分かりやすく解説します!

【第6回】株式市場とGDPギャップ

【第5回】身近な景気を分析する方法では、ファンダメンタルズ分析の実際のやり方について、今の企業業績・経済がどのように変化しているのかを捉える方法をご紹介しました。

ファンダメンタルズ分析講座【第6回】では、ファンダメンタルズ分析のレベルを一歩進めて、株式市場とGDPギャップの関係についてみていきましょう!

分析のレベルを上げましょう!ファイト!

株式市場とGDPギャップ

ファンダメンタルズ分析から今後のマーケットの方向性を考える時に、私が一番大事にしているのが、株式市場とGDPギャップの関係です。
GDPギャップとは、少し聞きなれない言葉かもしれませんが、今の経済が実力ベースに対して強めに走っているのか、弱めに留まっているのかを示す経済指標です。

それでは、世界の株式市場とGDPギャップの関係を見てみましょう。

MSCI世界株式指数と先進国のGDPギャップ MSCI世界株式指数と先進国のGDPギャップ
出所:Haver Analytics、IMF

経済が強い時には株価は上昇トレンド経済がピークを超えてしまった時には株価も下落トレンドに転換していることが分かります。
過去30年の中では、1990年代終盤のITバブル期2008年のリーマンショック時に二つの山がみられます。
足元の2018年では、世界経済がリーマンショック後のダメージから立ち直りつつあり、GDPギャップのマイナス幅が解消されていく局面にあります。

GDPギャップが現在どの程度あるのかを把握しておくことは、今マーケットがどのようなトレンドの中にあるのかを知る羅針盤になります。

経済がまだまだ上向きで元気な時は、株式市場に強気で臨みましょう
そろそろ景気の転換点かな?という時には、強気スタンスの賞味期限を探るため、ファンダメンタルズ分析をこれまで以上にしっかりとする必要があります。

経済というマラソンランナー

GDPギャップについて、もう少し詳しく確認してみましょう。
経済は、マラソンランナーに例えることができます。
マラソンは、自分のペースで走ることが良い結果につながりますので、速すぎず遅すぎずちょうど良いペースを守ることが大事です。これは経済にとっても同様です。経済にとっての自分のペースを示す言葉に「潜在GDP」というものがあります。

経済が強いときには、その国で働く人の数や残業時間は増え、工場もフル稼働に近くなります。
一方で経済が弱いときには、働く人の数や残業時間は削られ、工場も生産ラインが空いている時間が増えます。

こうした景気循環の波を除き、ほどほどの残業時間とほどほどの設備稼働率なら、どれくらいその国は成長できるのか、と考えるのが「潜在GDP」です。

この経済にとっての自分のペースである「潜在GDP」の水準に対して、強すぎず弱すぎずちょうど良いペースを守れるように、金融政策(財政政策)が調整されます。

経済が実力以上に走ってしまうと、経済が過熱し、インフレが進んでしまうので、金融引き締めが行われます。一方、経済が実力以下の成長しかできていない時には、本来のペースまで加速できるよう、金融緩和のサポートが行われます。
経済というマラソンランナーにとって、「金融政策」はランナーが自身のペースを守れるようにサポートしてくれるコーチのような存在です。金融政策がマーケットに与える影響が非常に大きくなっている今、GDPギャップは金融政策の方向性を考える上でも押さえておきたい概念です。

今の経済の明るさは、長続きする?

私たち投資家にとって一番気になるのは、今から株を買ったとして、これからも上がる余地があるのか?ということです。
今、グローバル経済はリーマンショックによる経済の落ち込みから立ち直り、GDPギャップは解消されつつあるのでは?と見られています。
そのため、投資家の一部では、そろそろ株は売り時か?と考える人もいるようです。
この時に重要なのは、今の経済の明るさは、長続きするのか?ということです。

先進国のGDPギャップと米国企業・家計の
借り入れ状況指数
先進国のGDPギャップと米国企業・家計の借り入れ状況指数
出所:IMF、シカゴ連銀

経済が明るい時は、皆が先行きに対して強気になるので、お金を借りて事業を拡大しようと考える人が増えます。お金を借りること自体は、新規ビジネスを立ち上げて経済を活性化する前向きな動きです。
ただ、経済が明るい時は、往々にして過度に楽観的な事業計画の下での借り入れが増えてしまいます。そうした借り入れが増えることで経済は一時的に加速しますが、長続きしません。

経済が過熱し、インフレの懸念が高まると、金融政策は経済をクールダウンさせます。そうすると、先ほどの過度に楽観的な事業計画には狂いが生じ、借り入れが返済できる見込みが立たなくなってしまいます。

こうした状況に陥ると、借り入れをできるだけ返済することに焦点が移ってしまうため、前向きな投資が減り、経済は落ち込んでいくことになります。

この借り入れを梃子(てこ)にした人々の動きの波が、経済のサイクルを生み出していきます。
金融政策とは、この借り入れによる経済の波の振れ幅をできるだけならしていく政策です。借り入れが過剰ではなく、実力に合った事業計画が多ければ、その経済の明るさは長続きします。

2018年4月の時点では、米国経済が過剰な借り入れで無理をしている様子はありませんので、株の賞味期限を気にするのはまだ早いと思われます。インフレや企業・家計の借り入れの状況がどうなっているのかを気にかけつつも、まだまだ明るい展開が続くことに期待しましょう!

まとめ

  • ファンダメンタルズ分析で一番大事なもの:GDPギャップ

    GDPギャップとは、今の経済が実力ベースに対して強めに走っているのか、弱めに留まっているのかを示す経済指標。世界の株式市場とGDPギャップの関係を見てみると、経済が強い時は株価も上昇トレンド、経済がピークを超えてしまった時に株価も下落トレンドに転換。

  • 借り入れを梃子(てこ)にした人々の動きの波が、経済のサイクルを生み出す

    株の明るさの賞味期限は、今の経済の明るさが長続きするかどうか次第。借り入れが過剰ではなく、実力に合った事業計画が多ければ、その経済の明るさは長続きする。

次回もお楽しみに!

今回の講座では株式市場とGDPギャップの関係について確認しました。
次回は、ファンダメンタルズ分析講座の最終回として、株式市場と経済・金融政策のバランスについてみていきましょう!

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