マイクロファイナンス・ボンド特集|国際金融公社のマイクロファイナンスの拡大への取り組み
ジョン・ボスウィック(John R. Borthwick)氏
国際金融公社 財務副担当、資金調達ヘッド
2010年7月実施

国際金融公社(IFC)のマイクロファイナンスへの取り組みについて

まずはIFCのマイクロファイナンスへの取り組みについてお伺いしたいのですが、数多くの重要な開発目標がある中で、なぜIFCはマイクロファイナンス事業に重点をおいているのでしょうか。
そうですね。IFCは、気候変動、最貧国援助、貧困層に対するファイナンスへのアクセス支援の分野において複数の主要な開発目標を設定していますが、貧困層にファイナンスへのアクセスを提供できれば、それが貧困から脱却するための非常に効果的な援助手段になると考えているからです。われわれがサービスを提供できる人々が増えるほど、より多くの人々が貧困からの脱却するのを支援できることになります。本来、マイクロファイナンスはそれ以外の方法でサービスを提供するのがきわめて困難な、小規模なビジネスや零細企業を対象としており、われわれが貧困層の生活改善を直接的に支援できる手段なのです。
マイクロファイナンスには30年以上の歴史がありますが、IFCがマイクロファイナンス事業を始めたのはいつごろでしょうか。
90年代初めです。われわれはマイクロファイナンスのごく、ごく初期から関わってきました。それは早い段階で民間部門に雇用を創出するというわれわれのコア業務に関係していると認識したからです。
長い期間を経て開発の焦点は資本集約産業に巨額の資金を投入することから、雇用創出を促進するために効果を上げる最善の手段を見出すことに移行しています。そして分析の結果、雇用創出に最も効果的なのは、大規模な資本投資や資本集約的な業種ではなく、中小規模の業種、そしてあらゆる種類のマイクロファイナンスであることがわかりました。
ですからわれわれが行う必要があったのは、マイクロファイナンスを効率的に拡大し、人々に提供する方法を探ることでした。何と言ってもIFCは大きな国際機関ですから、数多くの国々で個人にまでサービスを提供するような仕組みになっていません。そのために各国でわれわれの援助を受け手にサービスを提供できる既存の組織を持つ人々を探す必要がありました。
マイクロファイナンスに対し90年代初めから注力しているということですが、現在の融資の内容について教えていただけますでしょうか。
われわれは最貧国を中心にアフリカのサハラ以南21カ国を含む60カ国以上の100以上の金融機関とマイクロファイナンスで協働しています。最貧国にマイクロファイナンスへのアクセスを提供することがIFCの優先事項の一つだからです。最貧国とはいわゆるIDA借入国で、世界銀行のグループ機関である国際開発協会(International Development Association)が提供する譲許的融資の融資適格国です。IDA借入国は世界の全地域に数カ国ずつ存在していますが、そのほとんどがアフリカに集中しています。

近年は、毎年約4億米ドルをマイクロファイナンスに投資しています。2010年6月までの累積投資額では17億米ドル以上となります。総投資額規模は年々増大しており、事業を拡大する方法を探っています。というのは現時点において世界中でマイクロファイナンスを必要としている人々のわずか20%ほどしかそれを利用できていないと推計されるからです。潜在的需要は非常に大きく、多くの国に協力する必要のあるパートナーがいるのです。

※主に開発途上国を対象とした緩やかな条件(金利、償還期間、据置期間)で行う融資を譲許的融資といい、それ以外の一般的な融資を非譲許的融資という。
今以上の投資が求められているわけですね。ではIFCのマイクロファイナンス支援活動についてお聞かせいただけますでしょうか。
マイクロファイナンス・プログラムの非常に大きい部分を占めているのがアドバイザリー・サービスです。単なる直接投資に対する付加部分です。経営や技術支援など広範なアドバイザリー・サービスを提供しています。マイクロファイナンスの提供方法の改善、それに対する知識、アクセス、認識を改善する方法に取り組んでいます。資金を提供することにとどまらず、知識、アクセス、効率性の向上にも努め、より多くの人々がマイクロファイナンスを迅速に利用できるようにしています。多くのマイクロファイナンス・アドバイザリー・サービスを行なっているのはそのためです。
資金を提供して終わりというわけではなく、専門技術や経営のノウハウについても支援しているということですね。
その通りです。というのも金銭的支援だけでは常に何らかの制約に突き当たることがわかっているからです。地域のマイクロファイナンス機関はIFCの貸出条件を知らず、そもそもIFCが何を提供できるか知らないため、結果としてサービスを利用できないままでいるかもしれません。われわれが新しい地域にアクセスするためには、お金だけではなくもっと包括的な計画を用意する必要があります。つまり、融資対象を拡大したり、マイクロファイナンスの認識を広めたり、地域に合わせて商品を変更したり、新しい商品を提供したりすることです。これは一見時間がかかるように思われるかもしれませんが、実際には大きなボトルネックに直面することなく、結果的に進展を早めることになります。
これはマイクロファイナンスの分野で20年以上活動してきて学んだ教訓の一つです。大事なのは単なる資金提供にとどまらず、技術的なサービスを提供し、実際に現場でマイクロファイナンスを提供している金融機関を多面的に支援することなのです。
提供するサービスは広範囲に及んでいますが、それぞれの専門家がいて、プロジェクトごとの専門チームがあるのでしょうか。
おっしゃる通り、現在、われわれのサービスを必要としている国が多いため、マイクロファイナンスの専門チームがあります。投資の専門家が12名おりまして、彼らが実際にプロジェクトを見つけだし、プロジェクトのストラクチャリングを行ない、資金を配分します。さらにアドバイザリーの専門家が10名おりまして、プロジェクトの準備、研修や事業計画作成の支援を行なっています。この二つのチームは各国を飛び回っています。先ほど言いましたようにアフリカのサハラ以南20カ国以上で活動しているので、現場の人々と協力するために国から国へ動き回らなければなりません。
マイクロファイナンスの専門家は多くはいないと思いますが、そのような専門知識をもった人材を集めることは難しいのではないでしょうか。
IFCのスタッフはIFCで働くことに魅力を感じています。それはIFCが世界中の人々にマイクロファイナンスを提供しているからであり、先駆者であり、リーダーだからです。また、特にこの分野に興味のある人々はIFCのような先駆的な金融機関で働きたいと思っています。ですから人材の確保に苦労はしていません。
ではマイクロファイナンス分野のリーダーとして、プロジェクト以外で力を入れていることはあるのでしょうか。
個別のプロジェクトに加えて、開発機関としてマイクロファイナンスに対する認識を世界的に高めることがわれわれの役割のひとつです。これは支援を望んでいる金融機関に対してばかりではなく、われわれを投資家としてみている金融機関に対してもです。ですから御社と行なったようなセミナーも非常に重要なのです。マイクロファイナンスに関する認識を高めるほど、さまざまな手段による支援が得られるからです。マイクロファイナンスを支援している金融機関はIFCだけではありませんし、われわれとは別の方法による支援があるかもしれません。したがって、マイクロファイナンスの実績を評価し、貧困からの脱却を支援する非常に有効な手段としてのマイクロファイナンスの認識を高めることはわれわれの役割の一部なのです。

マイクロファイナンス・ボンドについて

2009年11月に日本国内で初めて販売したマイクロファイナンス・ボンドを販売しましたが、その引受と販売に大和証券グループを選択した理由は何でしょうか。
世界銀行が財務マネージャーを務めるIFFIm(予防接種のための国際金融ファシリティ)のワクチン債の実績があり、大和証券は日本の債券投資家にとって社会的責任ある取り組みのリーダーであることを証明したと考えています。
ですから大和証券から起債の提案を受けた時に、IFCのマイクロファイナンス活動に日本の投資家が参加できる機会を提供することができ、個人投資家にこの活動とIFCについて知ってもらう素晴らしい方法であると感じました。大和証券が開催した投資家向けのマイクロファイナンス・フォーラム(ダイジェスト版 全編版)には大いに感心させられました。
マイクロファイナンス・ボンドは一般投資家から多くの資金を集めることができ、メディアや投資家、また国内だけでなく国外からも注目を浴びました。
そうですね。マイクロファイナンス・ボンドの発行には世界中が興味を持っています。われわれは国際的に大いに認知されており、この概念に追随しようとする金融機関から多くの照会も受けています。しかし、われわれが強く意識しているのは、発行した事実だけではなく、マイクロファイナンス・ボンドの発行額がマイクロファイナンス事業への投資額と一致していることなのです。というのは、マイクロファイナンス・ボンドの購入者にとっては発行代金が本当にマイクロファイナンス活動に向けられ、他の活動の資金にならないことが非常に重要だからです。その他の活動がどんなに重要なことであっても、マイクロファイナンス・ボンドに投資した投資家が考えていた活動ではないかもしれないからです。
確かにマイクロファイナンス・ボンドの投資家は、投資した資金が何に利用されているかを知りたいと思っています。IFCのマイクロファイナンス活動についてのレポートを作成していただきましたが、このレポートは投資家に対する非常に重要なコミュニケーションツールですね。
そのとおりです。投資家への約束を守り、マイクロファイナンスの分野で何をしたかの定期的な報告はわれわれにとっても非常に重要なことです。そうすることで投資家はわれわれが投資を継続しこの分野のリーダーであり続けていること、そしてIFCのマイクロファイナンス・ボンドに投資した投資家の求める開発の成果が上がっていることを知ることができます。
最後に、日本の投資家へメッセージをお願いします。
IFCは常に日本のリテール投資家からの支援を大いに感謝しており、そうした支援を単なる一般的な金銭的な支援ではなく、マイクロファイナンスというIFCの優先事項にまで拡げられたことを大変うれしく思っています。IFCがリーダーであるマイクロファイナンス、そしてその他の分野においてまた起債できることを期待しています。
(2010年7月)

お取引にあたっての手数料等およびリスクについて

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