マイクロファイナンス・ボンド特集
イザベル・ローレント氏/欧州復興開発銀行 財務副部長
EBRD財務副部長、資金調達ヘッド。EBRDの資金調達部門責任者。1997年にEBRDに入行する前は、ナットウェスト・マーケッツ(ロンドン)、野村インターナショナル(ロンドン及び香港)、スイス銀行コーポレイション(ロンドン)に勤務した。

欧州復興開発銀行(EBRD)について

EBRDの歴史、組織、また事業地域についてお聞かせいただけますでしょうか?
欧州復興開発銀行(EBRD)は冷戦終結後、最初に設立された国際金融機関です。EBRDは、1989年のベルリンの壁崩壊後、中・東欧諸国が中央政府により計画された統制経済システムから自由で民主的な制度と自由市場経済に基づくシステムへ移行したことに伴い、主要7カ国(G7)、欧州諸国のほか多数の国が中・東欧地域での未曾有の変化と挑戦に対応することを目的に1991年に設立されました。
現在、EBRDは中欧から中央アジアにまたがる地域の29カ国におけるプロジェクトを支援しています。主として市場が十分にニーズを満たすことが出来ない民間のプロジェクトへの投資により、民間の活力、起業家精神を支持し、開かれた民主的な市場経済への移行を促進することを目的としています。
EBRDには61カ国および二つの政府系機関が出資しており、EBRDは設立の目的を達成するために、政府、関係当局および市民社会の代表者と緊密な政治的意思疎通を行なっています。その全活動にわたり、EBRDはコーポレート・ガバナンスと持続可能な発展に関して最高水準を維持しています。
EBRDの活動内容についてお聞かせいただけますでしょうか?
EBRDは前述の地域において単独では最大の投資家であり、また投資対象地域への海外からの大規模な直接投資を集める役割も担っています。また、通常は民間セクターのパートナーと提携して民間事業に投資をします。金融業界と実体経済において、新規事業と既存事業の双方にプロジェクト融資を提供するとともに、民営化、国有企業の構造改革、また地方自治体の提供するサービスの向上のために、公的企業と共同で事業を展開しています。
2010年には次の三つの方針を継続します。
・ 新興諸国において金融商品を提供する絶好の機会を見つけること
・ 組成した商品に関して、経験豊富な投資家のパートナーとなること
・ 資本市場の発展を刺激し奨励するという任務の一環として、当行が事業を展開する諸国の市場で現地通貨による起債を行うこと
2010年の起債計画の下で、当行は今年中に60億ユーロの資金調達を行う予定です。もし必要があれば、現地通貨起債計画の下で、7億5000万ユーロを追加的に調達する予定です。今までのところ、当行の起債計画の約半分が完了しています。
ジェシカ・ピューレイ氏/欧州復興開発銀行ロンドン 資金調達部門副部長
EBRDロンドンで資金調達部門副部長を務めている。1999年にEBRDに入行する前は、クレディ・スイス・ファースト・ボストンのキャピタル・マーケット部門でオリジネーション業務に従事した後、ゴールドマン・サックスのキャピタル・マーケット部門及びモルガン・スタンレーのキャピタル・マーケット部門でエグゼクティブ・ディレクターとして勤務した。オックスフォード大学卒業。

マイクロファイナンス(マイクロ・小企業[Micro and Small Enterprise]向け融資事業)について

マイクロファイナンスの現状について教えていただけますでしょうか?
EBRDは刻々変化する市場の動きと顧客のニーズに対応して、融資事業のパートナーに対して革新的な金融商品を提供しています。EBRDはマイクロ・小企業向け金融商品のポートフォリオが豊富であり、先述の地域でのマイクロファイナンスに関しては最も成功している有数の機関投資家の一つです。EBRDはマイクロファイナンス専門のノンバンクと、金融商品を起業家に提供している商業銀行に対して中期的な融資を行なっています。なお、選別的に株式に投資することも出来ます。また、融資の効果を最大限に引き出すために、企業設立やマイクロファイナンスの専門的知識を創作することに重点を置く技術的な援助も行なっています。

EBRDのマイクロファイナンスのイニシアティブ

EBRDの歴史、組織、また事業地域についてお聞かせいただけますでしょうか?
EBRDは長期にわたってマイクロ・小企業を支援してきました。その理由は、同セクターは、市場経済と活力のある民間セクターを支援するというEBRDの目的に基本的に合致するからです。EBRDの融資計画は、融資を受けるのが難しい個別の起業家と事業に対して、投資環境と経済成長に適合した条件で資金を供給するものです。マイクロ・小企業が持続的に成長していくことは、持続可能な金融業界にとって重要であるだけでなく、雇用創出、民間セクターの成長、また景気回復にとっても重要であると考えられています。EBRDは1994年から2009年までの間に15億ユーロ以上の投資を行ないました。それは東欧と中央アジアで最大のマイクロファイナンス投資となっています。
EBRDは他の組織(政府と民間セクター)が出来ないことを何か実行されているのですか?
EBRDの融資計画は、融資を受けるのが難しい個人の起業家と小事業主に供給しています。通常、EBRDがまず現地の銀行団(一部はマイクロファイナンスに特化)に対して融資を行い、次にその銀行団が起業家や小事業主に融資を実行したり、幅広い銀行業務を提供したりします。
融資資金が効率的に使われ、また目的とする顧客に届くようにするために、EBRDは加盟国による個別プロジェクト用の基金を設定します。一般的には、同資金を利用して、専門知識を持ったアドバイザーを選別された銀行へ送り込み行員を訓練して、効率的な融資をマイクロ・小企業に向けて行ないます。また、マイクロファイナンス用の新しい金融商品の開発に対する援助を行い、新しい地域への融資を拡大します。さらに、事業の設立や専門の金融機関の業務拡大も支援しています。
マイクロ・小企業業界の中でこそ起業家精神・競争力・革新が育まれ、技術が進歩し、ひいては雇用が創出されます。マイクロ・小企業こそ新規の雇用の源泉であり、経済成長の原動力なのです。マイクロ・小企業は金融支援を受けることによって、大手事業に成長することができ、それが雇用の増加、貧困からの救済、経済成長に繋がり得るわけです。
マイクロファイナンスに関するEBRDの活動を教えていただけますでしょうか?
EBRDは商業銀行(62行)、マイクロファイナンス専門のノンバンク(34社)、および同専門の銀行(13行)からなる109のパートナー組織と「東南ヨーロッパ・ファンド(Fund for South-East Europe)」と呼ばれる地域投資ファンド(1本)と連携して活動しています。
事業を展開する国には、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ボスニア・へルツェゴビナ、ブルガリア、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国、グルジア、カザフスタン、キルギス、モルドバ、モンゴル、モンテネグロ、ポーランド、ルーマニア、ロシア、セルビア・コソボ、タジキスタン、トルコ、ウクライナ、並びにウズベキスタンが含まれています。つまり、バルカン半島西部からロシア連邦の極東地方を含む、EBRDが事業展開をするほぼ全ての国で融資業務が行なわれていることになります。
融資業務はパートナー金融機関の2,500ヶ所に上る支店網を通して行なわれ、融資を受けている顧客はアルバニアの製パン業者からタジキスタン共和国の有力な女性経営者まで多岐に亘っています。
マイクロファイナンスに対する融資額は、融資総額のうちどれくらいの割合を占めているのでしょうか?
EBRDの2009年末時点での総融資残高は256億ユーロでしたが、マイクロファイナンスの融資残高は7億6700万ユーロでした。毎年、約2億ユーロに上る融資を行なう予定です。
今後の融資計画について教えていただけますでしょうか?
金融危機の結果、EBRDのマイクロ・小企業に対する支援は今後強化されそうです。金融危機以前には、多くの民間金融機関が当セクターに参入して、小額の借り手に対する事業展開を拡大しました。しかし、金融危機の期間中に銀行が融資を削減したため、マイクロ・小企業事業主が融資を受ける資金は減少し、借り手の事業分野は縮小しました。これを受け、EBRDは地域内の発展途上国だけでなく経済的過渡期にある諸国でも、マイクロファイナンス事業を継続して、また、より活発に展開する予定です。
6月に売出しが予定されているマイクロファイナンス・ボンドについてご説明いただけますでしょうか?
EBRDの『マイクロファイナンス・ボンド』は、3年満期の南アフリカ・ランド建て債券です。『マイクロファイナンス・ボンド』により調達される資金は、マイクロファイナンスを提供する金融機関への金融支援などの、マイクロファイナンス融資事業に使用されます。
同債券の発行による調達資金は、どのようなプロジェクトに投資される予定ですか?
現時点では、マイクロファイナンス融資事業の対象となる具体的なプロジェクトは決定しておりませんので、過去の実績についてご紹介いたします。
モンゴル共和国の非常に業績のよいXac銀行は、ゲル(毛布で覆った、遊牧民の伝統的な簡易住居)をマイクロファイナンスの顧客のローンの担保として受け入れています。Xac銀行の実績は、マイクロファイナンス事業の信条、つまり貧しい人々が最も信頼できる借り手である、ということを証明しています。また、顧客の支払い能力を鑑定する際には、価値のある担保を要求するよりも借り手の評判や考え方を評価する方が、より重要だということも証明しています。この特性がEBRDのマイクロファイナンス事業の基本であり、それに基づきEBRDはモンゴル共和国で初めての融資プロジェクトであるXac銀行への500万ドルに上る融資を実行しました。
1994年にイヴァンはブルガリアのボヤジィク(Boyadzhik)という故郷の村で畜産農場を設立しました。彼の事業は毎年拡大し、2001年に彼は荒地になっていた農地を買い付けることができました。イヴァンは2006年にプロクレジット銀行(ProCredit Bank)が中小規模の農場経営者に対する融資に関して特別の条件を提案しているという情報を耳にしました。彼はそれまで銀行から融資を受けたことは一度もありませんでした。現在はマイクロファイナンス融資を受け、羊と牛の他に、育種と乗馬用にハノーバー種と英国産のサラブレッド種の馬を11頭飼育しています。
(2010年5月)

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