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マイクロファイナンスの現場から お金を借りることで生活の糧を稼ぎ、家畜や貴金属ではなくお金を貯蓄できるようになった!よりよい生活をおくる手助けとなっているマイクロファイナンスの実態について実務者の視点から解説!(隔週更新)

[更新日:2010年3月17日]

第4回 マリのマイクロファイナンスの事例

今回はアフリカ西部に位置するマリ国の農村部で、人々がマイクロファイナンスを使って、生活をよりよくしてい る試みを紹介します。230名余りが居住するある村では外国の支援(プロジェクト)により、井戸や小規模な灌漑施設をつくり、高く売れる作物である野菜を 栽培したり、雨期になると水浸しになって通れなくなる道路の修繕等を行ったりしていました。これらは村のための活動なので村の人々は作業に参加すると同時 に、必要な資金の一部を出し合いました。この集めたお金はプロジェクトで供与された小型の金庫に蓄えられ、村で選ばれた人により構成される村の開発委員会 が出納の責任を担い、必要な時に適宜支出されました。人びとはこの金庫を「マイクロバンク」と呼び、村で選ばれた人達が記帳の仕方などお金の管理方法につ いての訓練を受けて、日々の入出金を管理しました。これがきっかけとなり村の中にお金を貯蓄し、貸付ける仕組みが始まりました。 プロジェクトで供与された小型の金庫

村の状況とマイクロバンクの使われ方

村は幹線道路から雨期には道路が水面下に陥没して使えなくなるような道をかなり奥に入った場所にあり、当然のことながら銀行などありません。 水面下に陥没して使えなくなるような道

そのためプロジェクト実施前には村落内に人びとがお金を安心して預けられる場所はありませんでした。本連載第3回「貧困層と貯蓄」でも触れたよう に、多くの途上国の人々にとって、お金を安全に貯蓄することはとても重要です。上記金庫が設置されたことによりプロジェクトの活動資金だけではなく、次第 に個人もお金も預けるようになりました。石けん等を作って村落周辺で販売し所得を得ていた女性グループが、販売代金を貯蓄して次回の材料購入費に充てる ケースも見られました。さらに自分たちも一部資金を負担してプロジェクトで購入した製粉機の利用料金を貯蓄したケースも見られました。 プロジェクトで購入した製粉機

この地域では主食であるミレット(粟やキビのような雑穀)を臼と杵でついて粉にし、調理して食べます。主に女性や子供が粉にひきますが、この地域に 多い10名以上で構成される大家族が食べる分の粉をひくだけで毎回2〜3時間かかります。それに対して製粉機はミレットを瞬時に粉にすることができるの で、お金はかかっても冠婚葬祭などで大量に粉が必要なときなどに重宝され、周辺の他の村からも人びとが製粉機を使うためにやってくるほど繁盛していまし た。その利用料金はマイクロバンクに貯蓄され、機械の運転・メンテナンス費用に使われていました。 ミレットを臼と杵でついて粉に

マイクロバンクに貯蓄している女性達は、自分の資金をいつでも自分の好きなときに引き出したり、時にはお金を借りてピーナッツ、コメなどの小商いな どに使えたりすることが嬉しいと話していました。ある女性は「5,000FCFA(約980円)を2ヶ月借り、小商いを行った後で225FCFA(約44 円)の金利とともに返済した。それまではお金の必要な時には、村に昔からある女性グループの中で融通し合い、羊を売るなどして返済していた。今は、原材料 に使うお金以外は貯蓄して貯めているので必要な時に使える」と話していました。

このマイクロバンクは基本的に牛、バイク、ロバ等の動産を担保に貸付を行っていました。貸付はヤギや鶏など小動物の飼育や肥育、穀物等村近隣で購入 した農産物を地域の拠点都市の市場で売る小商いなど、収益を生む活動に限定していました。貸付期間は最大で4ヶ月とし、年利27%(中央銀行の定めた上限 金利)を適用していました。聞き取りを行った時点の借入者数はのべ338名、貯蓄額は553,800 FCFA(約108,544円)、累計貸付額は1,570,000 FCFA (約307,720円)でした。

村落という限られた地域で活動するマイクロファイナンス機関について

この村は幹線道路からも遠く、周囲には他の居住地もない遠隔地にあります。言い換えると村を出ても都市などに移住しない限り生計を立てることがなか なか困難な地域です。また複数の世帯が同じ敷地内に家を構えて居住する大家族も見られます。このような土地では、誰かが不正を行えばすぐに他者の知るとこ ろとなり、村に居づらくなります。村落内の人びとが皆顔見知りである土地柄では、例え期日に支払いができなくても後日返済するなど、マイクロバンクへの返 済率は比較的高いものでした。村の人々の間にある強い結束もマイクロバンクの活動に何らかの影響を与えていると思われます。  他方、このように限られた地域で活動する場合、マイクロファイナンス機関が有する現金には限りがあるため、時には他の人が返すまで自分は借りられないと いった問題も生じます。人々から集めた貯蓄だけでは旺盛な資金需要に十分に対応しきれないことを認識したこのマイクロバンクは、世界銀行とマリ国政府が出 資して作られた貧困削減を目的とする銀行からの借り入れも検討していました。

 

(鳥海直子)

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ライタープロフィール
三井久明(みつい ひさあき)
専門分野はマイクロファイナンス、公共財政、民間部門振興、援助政策。 早稲田大学大学院経済学研究科修士課程およびUniversity of Sussex (IDS) Mphil課程修了。1990年に財団法人国際開発センターに入職し、現在は主任研究員。明治学院大学および早稲田大学にて非常勤講師を勤める。主に東南 アジア、南アジア地域において貧困削減、産業振興、国営部門改革にかかわる各種の調査研究に従事。
鳥海直子(とりうみ なおこ)
専門分野はマイクロファイナンス、農村金融、開発経済、農村開発。 世界銀行認定マイクロファイナンス・トレーナー。Institute of Social Studies 開発経済学修士課程修了。民間企業勤務、アジア経済研究所開発スクール、留学を経て、1994年に財団法人国際開発センターに入職し、現在は主任研究員。 市場経済移行諸国における農業開発、アフリカ農村地域の生計維持についての調査研究等、農業・農村開発分野を中心とした複数の調査研究に従事。
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